教育で平和をつくる の商品レビュー
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平和とは戦争の対極なのでしょうか。戦争がない時でも、構造的な暴力が存在している場合があります。p4 平和学者ヨハン・ガルトゥングは平和を「積極的平和」と「消極的平和」に二分しました。p4 消極的平和→戦争がない状態 積極的平和→構造的暴力がない状態。公正な社会、市民全員に教育の機会が保障されている状態。 ユネスコの教育政策のスローガン「すべての人に協力を」 「文民」の役割 ①行政の執行 ②統治組織づくり ユーゴスラビアは「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの民族、2つの文字、1つのユーゴスラビア」と表現されます。p12 「コソボの教育行政官としての大きな役目はやはり、異なる民族が平等に教育を受けられるようにすること、そして、異なる民族に属する子供たちがわかりあえる環境を作ることでした。p54 アルバニアvsセルビア アルバニア人とセルビア人のこどもの教育における大きな問題の一つが、「誰が教育内容を決め、誰が教育行政の責任を負うのか」ということです。p55 外部の人間が無理やり作った「機会」は長続きしません。「接点」を見出し、それをもとに両者を引きあわせて、対話を始めることが大事だと考えました。p57 民族性に関わる歴史や文学、地理といった科目の内容については、両者が歩み寄るのは困難なことです。p66 現地の人の心理は民族融和というよりは、いかに自分と家族が安心して生活を暮らせるかが一番の関心。p70 教育に関わるものとして、民間人を殺した人間が教壇に立つことを認めていいのか。p80 疑わしきは罰せず。 お互いの言葉を理解し、お互いの言葉を話す- 将来のコソボの姿なのでしょうか。p84 「子供たちが民族、宗教の違いに関係なく共存できる社会」p92 「異なる民族が共存していくためには何が必要か?」「子供たちは何を学ぶべきか?」その答えの一つとして、試みられたのが「市民教育」です。p118 人権教育は一人一人が持っている人権に着目します。つまり、個人を「ある民族集団の一人」という捉え方をするのではなく、あくまで人権の主体は個人であるという考え方です。「セルビア人を憎む」「アルバニア人を憎む」という単純思考から脱却するのが理想です。p122 教育はその行政のあり方も含めて、さまざまな点で「平和構築」であると言えると思います。学校建築に始まり、子供の保護、異民族間の協力、人権保護、創造的活動の提供、民主主義の理解と参加、どれもが平和で安定した社会の構築において大事な要素といえるでしょう。p125 教育は基本的人権です。これは、ずっと年代をさかのぼった1948年の世界人権宣言で明記されています。しかし、依然として世界には教育を受けていない子供達や、受けたことがない大人たちが大勢います。 2001年、人々の生命と安全を守るために必要な施策を議論・提言する「人間の安全保障委員会」を設立しました。この委員会が作成した報告書の中では、「人間は複数のアイデンティティを持てることを知るべきである」と述べられています。特定民族に属しながらも、地域や専門性、世代や性別といった複数のアイデンティティを人間は持っているということです。そして複数のアイデンティティを持っているということは、それだけ多くの人との共通項が生まれ、ネットワークが構築され、市民社会が強固になると提議しています。p149 国の開発・発展を考えるときに、よく「人的資本」という言葉が出てきます。貧困を脱却し、豊かな生活を得るためには、一人ひとりの能力を強化することが大事だとする考え方です。さまざまな知識や技術を身につけることで、仕事を得たり職場で能力を発揮したりすることが経済を活性化させ、社会が発展することにつながると考えられています。さらに、「市民教育」を通して、民主制度や基本的人権について学び、民主的社会に生きる健全な市民としての技能が身につきます。p175 同じ社会に住む人間同士の信頼関係を「社会関係資本」と呼びます。社会関係資本は、個人の能力向上を目指す「人的資本」と同様、社会の安定と発展に不可欠なものと考えられます。p176 2種類のアプローチ 皆同じ、もしくは違いを認めた上で共存を目指す考え方。p180 平和構築は気の遠くなるような作業、細かい一つ一つの行いが平和につながっていく。 アリストテレスの言葉「人間は生まれつき学ぶ欲求を持っている」p191
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現地のイメージが浮かぶような具体的なエピソードや写真がふんだんに描かれていて、分かりやすい。まったく違う分野にいる人にも読みやすい本。
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小松太郎:1968年生まれ。上智大学比較文化学部(政治・国際関係学専攻)卒、ロンドン大学政治経済大学院・教育大学院修士(途上国社会政策)。専門は発展途上国の教育政策・教育行政・平和教育・紛争後の教育復興。現在、九州大学大学院助教授。 世界各地の民族の相互理解を深め平和を築くため...
小松太郎:1968年生まれ。上智大学比較文化学部(政治・国際関係学専攻)卒、ロンドン大学政治経済大学院・教育大学院修士(途上国社会政策)。専門は発展途上国の教育政策・教育行政・平和教育・紛争後の教育復興。現在、九州大学大学院助教授。 世界各地の民族の相互理解を深め平和を築くために、教育の分野でできることとは?紛争後の地で新しい教育プログラムを作る国連暫定政府教育行政官、ユネスコ教育担当官、JICA教育政策アドバイザーなど、すべての子どもたちが教育を受けるための仕事について、実体験として語ります。
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100316 by著者&国際教育開発学 --- 1 教育行政官のしごと―教育を始める(いざ、コソボミッション・インポッシブル ほか) 2 教育行政官のしごと―教育と民族問題に取り組む(異なる民族・異なる学校・異なるカリキュラム対立民族の接点を見つける ほか) 3 教育アドバイザー...
100316 by著者&国際教育開発学 --- 1 教育行政官のしごと―教育を始める(いざ、コソボミッション・インポッシブル ほか) 2 教育行政官のしごと―教育と民族問題に取り組む(異なる民族・異なる学校・異なるカリキュラム対立民族の接点を見つける ほか) 3 教育アドバイザーのしごと―教育をサポートする(ユネスコ・サラエボ事務所への転職ボスニアという国 ほか) 4 教育研究者のしごと―教育を「しらべる」(調査研究の仕事とは宗教学校とテロ ほか) --- 世界各地の民族の相互理解を深め平和を築くために、教育の分野でできることとは?紛争後の地で新しい教育プログラムを作る国連暫定政府教育行政官、ユネスコ教育担当官、JICA教育政策アドバイザーなど、すべての子どもたちが教育を受けるための仕事について、実体験として語ります。
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小松太郎 国際教育開発学 平和を脅かす要因をなくしていく。イコール積極的平和 戦争がただない消極的平和 戦争は人の心から生まれる。よって人の心に平和の砦を築かなければならない。教育は、この砦を築くために必要な態度、知識、技能を身に付けることを可能にする重要な役割を持っている。構造...
小松太郎 国際教育開発学 平和を脅かす要因をなくしていく。イコール積極的平和 戦争がただない消極的平和 戦争は人の心から生まれる。よって人の心に平和の砦を築かなければならない。教育は、この砦を築くために必要な態度、知識、技能を身に付けることを可能にする重要な役割を持っている。構造的暴力イコール自らが望まない不利益を得てしまう社会構造を指す。たとえば、アルバニアでアルバニア人がセルビア人の言語を学ぶ 人は平和で豊かに過ごすために学ぶ。ここに教育の可能性がある。 そういう意味では、日本の構造にも当てはまる部分がある。適切な形で提供されなければ暴力 不公平 違うへの恐れ、不信、憎悪、貧困を伴う。紛争国家の中には、ユーゴスラビアのような教育レベルが高い国があった。発展途上国の教育及びそれに対する国際協力イコール国際教育開発 学校で開発問題について学ぶ教育のこと。政治学イコールアル事柄に関して異なった利益を持つ人たちステークホルダーがいかにお互いの利益を調整しあって最も効率的かつ効果的な選択を行うかという過程を研究 教育問題 政策立案 行政への参画、民族文化、環境、その他の団体との調整 現場で自分がやってきたことの体系化そして様々な資料から参考になる部分を取り出して、対比しながら書いている。
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