大江健三郎 作家自身を語る の商品レビュー
『取り替え子』を読んだ勢いで一気に読了。 20代でデビューし50年間書き続けてきたノーベル賞作家と呼ばれる1人の人間を、よくぞ浮き彫りにしたものだと感心した。聞き手の尾崎真理子さんもただ者ではない。 『取り替え子』などを読むと殆ど実際にあったことだと思わせられたが、「実...
『取り替え子』を読んだ勢いで一気に読了。 20代でデビューし50年間書き続けてきたノーベル賞作家と呼ばれる1人の人間を、よくぞ浮き彫りにしたものだと感心した。聞き手の尾崎真理子さんもただ者ではない。 『取り替え子』などを読むと殆ど実際にあったことだと思わせられたが、「実際にあったことはあっさりと、フィクションとして作った部分の描写はしっかりと書き込む」のだと知った。 また、母親と妻となった妹的な存在が一つになった者にうなされるというコメント。(小説に出てくる母親の言葉はいつも暗示的でするどい) エリオット(詩人)と西脇順三郎(翻訳者)と自分の読みとの「三者の言葉の三角関係」が不可欠だということも興味深かった。 タイミング良く出合った1冊だった。 講談社主催の第1回の大江健三郎賞は長嶋侑が受賞したそうだ。「大江健三郎賞」で検索したら、受賞の対談の模様を要領よく報告した文章があって、それもおもしろかった。 作成日時 2007年07月15日 08:16
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大江さんファンにはたまらない。 現実がフィクションになり、フィクションが現実になる。その過程を知ることができた。 太宰などを例に私小説との違いを語る部分は特におもしろい。 太宰は、小説の辻褄を合わせるために自殺しなければならなかったという部分は、なるほど。
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大江健三郎が50年間の作家生活をインタビューで振り返っている自伝。普段の生活、他の作家(および作品)との交流、小説の創作過程など、好奇心を満たしてくれる話がいろいろ出てくる。大江健三郎の小説のファン“なら”楽しめる内容。
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