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斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳 の商品レビュー

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2024/07/16

 「遺跡を学ぶ」シリーズ30巻。奈良県斑鳩町にある藤ノ木古墳を題材とする。  藤ノ木古墳での発掘調査が実施されたのは1985年のこと。そう言えば、かなり大きく新聞等で取り上げられたのを記憶している。  未発掘の古墳であり、横穴式石室内には、豪華絢爛とも言うべき副葬品が多く眠ってい...

 「遺跡を学ぶ」シリーズ30巻。奈良県斑鳩町にある藤ノ木古墳を題材とする。  藤ノ木古墳での発掘調査が実施されたのは1985年のこと。そう言えば、かなり大きく新聞等で取り上げられたのを記憶している。  未発掘の古墳であり、横穴式石室内には、豪華絢爛とも言うべき副葬品が多く眠っていたのである。  本書は、3次に及ぶ藤ノ木古墳の発掘調査を担当した橿原考古学研究所の前園実知雄氏による石室内の調査や未開封であった朱塗りの家形石棺内の調査、石室や出土品の検討、そしてそれらから導き出される被葬者像を推理している。  藤ノ木古墳にはこれまで何度となく足を運んではおり、一般公開の時には、石室内といっても羨道を通って玄室の入り口までだが、入ったことがある。  全長約14mもある横穴式石室、そのうち羨道は8mということでかなり長い。石室を安置する玄室は、長さ、およそ6m、幅は、2.7mほどであり、一見、石室の大きさと奥に安置されている赤い家形石棺には目を奪われるばかりである。  本書によると、その石室も著者によれば、上部に比べて比較的小さい石材が使われていることから、この古墳の築造が開始された時点では、おそらくこれほどの大きさの石室を造る予定ではなく、途中の工事の変更により現在の形になったのではないかとのこと。おそらく何か不測の事態があり、当初の規模から大きく変更して今の形になったのではないかとのことである。  家形石棺の内部は、第3次調査の際に石室の蓋を持ち上げて調査を行っている。そして石室内にはガラス玉をちりばめた太刀や鏡などが見つかっている。そして人骨も2体分検出されており、その性別については、ともに男性だという。(南側の人物については異論があるようだ。)一つの石棺に二つの遺体があり、その遺体は丁寧に布で覆われており、北側の被葬者の方が南側の被葬者よりも身分がいくらか高いらしい。  とにかく一つの石棺内に遺体が二つも収められているという極めて異常とも言うべき埋葬状態であったようだ。  最終的に著者は、藤ノ木古墳の被葬者については、古墳が造営されたのが、当初考えられていた古墳時代中期よりもずっと新しく、6世紀の後半それもかなり7世紀の近い時期のものと考えられており、そうなると丁未の乱の時に殺害された二人の皇子、穴穂部皇子と宅部皇子の名前が思い浮かぶ。著者もそう考えている。  最後に、文献上、藤ノ木古墳はどう表れるのか考察。江戸時代末期まで、藤ノ木古墳に接するように小さいお堂があったようだ。このようなお堂があって、この古墳の中で祭祀が行われていたことで、他所からの盗掘などを防いだのだろう。  本書は、藤ノ木古墳をのガイドブックとして位置づけになるのだろう。本書を持って斑鳩の街をうろうろ動き回るのも楽しいかもしれない。  頑張りましょう。

Posted byブクログ

2021/03/28

華麗な副葬品とミステリアスな二人の男性の埋葬状況。 法隆寺が管理していた土地にあったため、奇跡的に未盗掘であったと考えられるこの円墳について詳しく解説した本。 刀も素晴らしいが、馬具の飾り金具が可愛いと思う。

Posted byブクログ

2012/04/15

藤ノ木古墳ファンなら持っておきたい一冊。 副葬品の細部の写真や図解などオールカラーで掲載。 石室の構築状況や石棺内の調査に至るまでの過程、副葬品の調査結果が詳しく記されています。 藤ノ木古墳の事を記した文献の紹介もありこれ一冊で藤ノ木古墳が良く解ります。

Posted byブクログ