Aphrodisiac催淫 の商品レビュー
第2写真集『Eureka ユリカ』(1995)に新作を大量追加した写真集。『Euphoric(ユーフォリック)陶酔』と共通の副題「Diptych(ディプティック)」は、祭壇の背後に飾る二枚折の絵の意。 あとがきでは、過去の作品集の意図が次のように語られている。 ・(1993)『...
第2写真集『Eureka ユリカ』(1995)に新作を大量追加した写真集。『Euphoric(ユーフォリック)陶酔』と共通の副題「Diptych(ディプティック)」は、祭壇の背後に飾る二枚折の絵の意。 あとがきでは、過去の作品集の意図が次のように語られている。 ・(1993)『Abyss アビス』…被写体となる女性の美を引き出す ・(1995)『Eureka ユリカ』…美醜を超越し、自分のイマジネーションを実現 ・(1997)『Chaos カオス』 ・(2005)『Mousa ムーサ』…被写体の情緒感や存在感を前面に押し出す 本作は「今までになく女性たちの挑発的、官能的な視線と大胆に対峙しえた」写真集であると自己評価する。 写真がより緻密になり完成度が上がったと思うが、あとがきで語られるようなエロティシズムは自分には感じられなかった。以前見た『Chaos カオス』と変わらず、芸術的、装飾的な美しさはあれど官能的なヌードではない。それ自体は決して悪くないが、『催淫』というタイトルとはギャップがある。 しかし唯一、花魁のような頭のモデルの連作には鳥肌が立った。幽鬼のような異様な佇まいで忌まわしさすら感じるが、視線にとり込まれそうだ。朽ちた金屏風を連想させるひび割れの効果も素晴らしい。またこんな作品を見てみたい。
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