クリエイティブ・クラスの世紀 の商品レビュー
都市経済学の、物議を醸しだした魅力的な一つの説として。 ただし、実証はされていないのかな。 また戻ってくるかも。
Posted by
クリエイティブ経済の台頭と、それをもたらすクリエイティブクラスについて論じている。 クリエイティブ経済における経済成長をもたらす主要な資本はクリエイティブな人的資本そのものであり、グローバル社会においてはその移動は自由度を高めているため、いかに彼らをひきつけるかが重要となる。 ...
クリエイティブ経済の台頭と、それをもたらすクリエイティブクラスについて論じている。 クリエイティブ経済における経済成長をもたらす主要な資本はクリエイティブな人的資本そのものであり、グローバル社会においてはその移動は自由度を高めているため、いかに彼らをひきつけるかが重要となる。 また、既存のクリエイティブな産業のみならず、それ以外の産業従事者の在り方にも課題がある。クリエイティブ産業が集積する都市においては、彼らの生活を支えるためサービス産業も集積するが、クリエイティブ層との賃金格差や彼ら自身の仕事が画一的で単純労働化しがちであることは問題もはらんでいる。 それは、サービス産業従事者の低生産性は、社会全体でみた場合、人的資本の損失であり、機会の浪費であること。そして、彼らが経済成長の利益を享受できずに、格差が拡大していっている状況は、経済全体の失速をもたらすからである。 効果的な処方箋は示されていないが、クリエイティブな人々は自らの個人的な動機でふるまっており、政治や社会が自らの動機に直結するインセンティブを提示できていないという現状が問題の一つである。 新たな階級闘争となりかねない現在の格差の状況を解消し、社会全体が高い生産性を有するような新たなやりかたを求めていく必要がある。
Posted by
Tue, 20 Oct 2009 クリエイティブな人材の獲得競争が,国家間,都市間で起こっているという考え方. 農林水産業->製造業->サービス業 と進んだ産業は次にクリエイティブ産業が台頭するという. リチャード・フロリダのいうクリエイティブ・クラ...
Tue, 20 Oct 2009 クリエイティブな人材の獲得競争が,国家間,都市間で起こっているという考え方. 農林水産業->製造業->サービス業 と進んだ産業は次にクリエイティブ産業が台頭するという. リチャード・フロリダのいうクリエイティブ・クラスとは,そのようなクリエイティブ産業で活躍する人材のコトを指す. フロリダはクリエイティブ人材を引き寄せる都市の特性を 技術(Technology) ・ 才能(Tallent) ・ 寛容さ (tolerance) の3つの T で表わす. 寛容さについては,例えば文化的にゲイを受け入れるかとか,留学生を受け入れるか?といったあたりが 指標になっている. 本書で彼らは国毎のクリエイティビティの指標 グローバル・クリエイティビティ・インデックス(GCI)を開発し それにより各国を順位づけている. ちなみに首位は スウェーデン で 我らが日本は 2位である. ちなみにアメリカは4位. アメリカはこれまで大量の才能を外国から受け入れるコトで 成長してきたのは,確かだろう. あるいみで第二次大戦でヒトラーがユダヤ人を迫害したが故に,相当数の優秀なユダヤ人の天才学者がアメリカに流入したのは,有名な話だ. このいみでも寛容さは大切だ. アメリカの大学院は留学生でもっているという. その意味でも,アメリカは自国の教育機関としてよりもあるいみで「場」を提供しているようなきらいもある. ところで,Googleの創業者もAmazonの創業者も元をただせば,外国からの留学生,移民だ. そういういみで,その寛容さがアメリカの経済に大きなプラス効果を与えているのは間違い無い. しかし,9.11テロの後に政権が不寛容さに舵を切ったことに,警鐘をならす. 世界は既にグローバルなクリエイティブクラスの争奪戦にはいっていると. さて,クリエイティブ,クリエイティブと,本書が叫ぶのだが,その要点はいくつかに分かれる. ひとつは,留学生や移民の受け入れだ. たしかに,英語圏ではこれは,やりやすいが,日本の場合,まっすぐ経済成長にプラスに持ち込めるのかは,わからない. つまり,契約社会と日本のような社会では,その受け入れ時に変わらなければならない文化・風習の変革コストがばかにならないからだ. 文科省のグローバル30など,留学生うけいれの政策は目白押しだが,政策先行で実体とのギャップがラディカルにうまれると,司法改革やポスドク10000人計画のような,社会的なひずみをうむことにもなろう. もうひとつは,現場労働者のクリエイティビティの活動だ. ここでは,日本,トヨタなどの「カイゼン」がよいと指摘される. つまり,ひとりひとりのクリエイティビティを活かすことが,社会全体を押し上げ,さらに働く喜びもますのだ. もうひとつは,教育,人材育成だろう. 外国から留学生や移民で獲得するばかりでは,結局将来的には沈没する. 自国,自らの都市でより,人材を育てていくことが重要になる. この点については,日本国内のクリエイティブクラスの争奪戦で,ひとり勝ちを続ける東京 を思った. 合計特殊出生率が非常に低い東京. 人材を集めまくっているが,そのことが結局,日本全体を疲弊させるのではないかという危惧は常にされている. クリエイティビティという視点から社会・経済を見直す視点は,異論もあろうが,面白かったとおもう. 元をただせば,元京都市副市長Y氏が京都を去るときに話していた内容に含まれていたので読んでみたのだが 京都市はクリエイティブクラスを集めないいけない.みたいな. とくに,ジェーン・ジェイコブスをよく引き合いに出すY氏だっただけに,そこと「街の魅力」という点でつなげると,狙い,趣向は良く理解出来た. ただ,京都に「寛容さ」がどこまであるかは,微妙であるし,もっと気概のある人間の輪を広げていかねばなるまい. イナーシャルも大きい街ですから.
Posted by
7年前の本だけれど、自信がクリエイティブクラスであると感じている人には少なくとも多いに刺激になるはず
Posted by
クリエイティビティと都市の魅力機能を分析している。都市には創造的人々をひきつける力があり、3T(技術、才能、寛容性)が重要であり、都市の存在そのものがクリエイティビティの源泉になっている。 この面いおいては、都市は繁栄し、多くの多様な人々を集めるべきなのだ。 すこし難しめの内容...
クリエイティビティと都市の魅力機能を分析している。都市には創造的人々をひきつける力があり、3T(技術、才能、寛容性)が重要であり、都市の存在そのものがクリエイティビティの源泉になっている。 この面いおいては、都市は繁栄し、多くの多様な人々を集めるべきなのだ。 すこし難しめの内容だけれども、なぜか飽きずに読み進められる本。 20世紀のアメリカ沿岸都市にはその3つがそろっていて世界経済けん引の先頭に立ってきた。 産業構造が変わりつつあり、9.11のテロをきっかけにアメリカはその寛容性を低下させていて、他国のクリエイティブな都市が台頭してきているのだという。 東京もこの中ではまだその優位性を保っているともいえているが、寛容性/多様性の面ではかなり劣っているらしい。 確かにそうと思う。 日本人の国民感情が手伝っている。寛容性/多様性は、島国日本にとって国民感情的に閉鎖的思考があると思うので、ここを改善すればまだ伸びる部分がおおいと思う。 しかしどうだろうか、移民がふえて東京やその周辺に上から下までの生活レベルをもつ移民の人々が増えてきたら、、自分は違和感を感じるだろう。 すでにそこの間隔が日本の頭打ち思考なんだろうなと思う。 時間がかかったけれど、飽きずに読めた。 経済的な発展をもたらすための都市構築論と感じた。 もはや1980年代の工業的な都市構築ではなく、クリエイティビティを集めて都市を構築してゆく時代。 1980代的な余韻や考え方の延長ではこれからの発展は望めない。 そのためには開放性をたかめ、多様性のある人々を呼び込んでゆく必要がある。 排除ではなく受け入れること。 日本の再生について政府の考え方が昭和の夢を引きずらないことを切に願う。 すでに1980からは30年以上が経過している。 今、自分の故郷の街は駅前が閑散としてまるで廃墟のようだ。 1970, 80はたしかに栄えていた。 そこに戻そうと思ってもそれはノスタルジーに浸るだけで発展性はない。 過去を捨て去るような後ろめたさは感じるけれども、 過去を追い求めても自分に、地域に、都市に、経済に、国に未来はやってこないと思う。
Posted by
■クリエイティブ・クラス A.これからは、クリエイティブな時代になる。そして、今後は「専門的思考」「複雑なコミュニケーション」の2 つの分野 の職業が成長すると見られている。 B.今後、繁栄する都市としては、カナダの都市のように多様性があり、寛容性の高いところ、また台北のよう...
■クリエイティブ・クラス A.これからは、クリエイティブな時代になる。そして、今後は「専門的思考」「複雑なコミュニケーション」の2 つの分野 の職業が成長すると見られている。 B.今後、繁栄する都市としては、カナダの都市のように多様性があり、寛容性の高いところ、また台北のように、他地域か ら才能を引き寄せる努力をしている都市などが注目される。
Posted by
アメリカでベストセラーになった"The Rise of the Creative Class"につづく"The Flight of the Creative Class"の邦訳版。フロリダによれば世界経済は「クリエーティブクラス」と呼ばれる...
アメリカでベストセラーになった"The Rise of the Creative Class"につづく"The Flight of the Creative Class"の邦訳版。フロリダによれば世界経済は「クリエーティブクラス」と呼ばれる価値観を持つ人間が牽引する、クリエーティブ経済の時代に入ったと指摘する。このクリエイティブクラスの人間たち世界中から引き寄せ、有用な経済発展を遂げる為には国、特に都市は寛容性のある社会基盤作りを行ない、才能を引き寄せる為の装置作りをする必要があると説く。アメリカが多くの移民を受け入れ、海外からたくさんの才能を持つ人間を集め経済発展を遂げたのは周知の通りだが、近年の傾向を見ると必ずしもそうではない。9.11以降の各種政策により大学進学や転職による海外移住を目指す移民の多くはアメリカ以外の国々、とりわけ欧州等に目を向けはじめている。この才能の世界規模での争奪戦に向け、政策決定者が行なう社会作りは何か。個人はどのような意識を持つべきなのか。教育機関は何を見据えるべきか。多くの知見が得られると思う。
Posted by
若干、日本のみが彼の理論にスッポリ当てはまらず、例外として研究を進めたら面白い結果が見えてくるのでは思った。 個人的には少子高齢化社会の切り札として「クリエイティブクラス」への移民受入もありかと考えさせられた一冊であった。
Posted by
寄らば大樹の陰、昔は正解だったけど、youtubeあり、twitterあり、iBooksありのいま、「んで、実力を見せてもらおうか」で企業名を掲げるだけではヘタレ度が浮き彫りになる。新時代へのエール、若い人には疑わずに読んで欲しい、そして創って行って欲しい。
Posted by
1,2,5,6章 P47に本書の基本的な考え方が述べられている。 「クリエイティビティが現代の最も重要な富の源泉であり、人間一人一人がクリエイティブであり、あらゆる場所がクリエイティブな仕事に関わることに価値を置く物とする。」 そして、次の頁で、クリエイティビティによって...
1,2,5,6章 P47に本書の基本的な考え方が述べられている。 「クリエイティビティが現代の最も重要な富の源泉であり、人間一人一人がクリエイティブであり、あらゆる場所がクリエイティブな仕事に関わることに価値を置く物とする。」 そして、次の頁で、クリエイティビティによって持続的な経済成長を目指すには3つのTが必要だと述べられている。 Technology,Talent,Toleranceだ。 この本は比較的マクロな視点で書かれており、グローバルな人材獲得競争が加熱する中で、国、或は地域の経済を発展させていくためには、上記の3つのTを得るために方策を打っていかなければならないと主張している。 また視点を一人一人の人に移せば、「上記の3つのTを備えている場所は限られているし、また各地域によって特色があるので、自分が望むライフスタイルのためには、住む場所を良く考えて選ぶ必要がある」という『クリエイティブ都市論(Who's your city?)』の主張になる。 Toleranceを表す指標として、ゲイやボヘミアン指数が取り上げられているが、これは本に興味を持たせるための著者の戦略だろう。 冒頭では、NZのウェリントンでロード・オブ・ザ・リングが制作されたことを挙げ、映画産業ではハリウッドの独占が脅かされつつあり、クリエイティブクラスがアメリカ以外の国の都市に移動していく流れがあると指摘している。
Posted by
- 1
- 2