西洋経済史講義 の商品レビュー
非常に読みやすいうえにハイレベル。最初の三章は経済史とゆうよりウェーバー、ハーバーマス、ヘーゲルとマルクスの社会思想についてでそこだけは難解だが。 著者の専門はドイツ経済のようでドイツを頻繁に取り上げて論じている。 共同体論、自由ゲルマーニアとそれを包摂していくローマ帝国、封建制...
非常に読みやすいうえにハイレベル。最初の三章は経済史とゆうよりウェーバー、ハーバーマス、ヘーゲルとマルクスの社会思想についてでそこだけは難解だが。 著者の専門はドイツ経済のようでドイツを頻繁に取り上げて論じている。 共同体論、自由ゲルマーニアとそれを包摂していくローマ帝国、封建制の成立、都市建設や集村化、農村の荒廃と商業の発達そしてそれにともなう封建制の危機、新航路の発見による価格革命・商業中心地の移動、主権国家の発展と宗教改革、絶対君主制と国庫主義の勃興、ナポレオン戦争がもたらした農民解放、営業の自由、イギリスにおける産業革命、ドイツ関税同盟と国家主導の産業革命、鉄道の意義、金融資本の成立、ドイツ民主主義の発展とワイマール共和国、世界大恐慌とドイツの経済・外交政策、ナチス統治時代の経済状況、戦後の占領期、東西ドイツそれぞれの発展と統合、欧州化、そしてグローバリゼーションと情報革命とサブタイトルのとおり古代から現代までカバー。 社会・経済の発展の流れを、個々の重要なファクターをキチンと押さえながら述べていくので吸収しやすい。 ことに色々な変化があった第一次大戦以降のドイツ史にはあまり詳しくなかったのでこの本を読んでる間へぇ〜言いまくりだった。 また国際基軸通貨としての米ドルとそれが米国にもたらす恩恵、自国通貨の上昇にともなうデフレ回避のために米ドルを買い支え米の双子の赤字をファイナンスするアジア諸国、基軸通貨としての米ドルを守ろうと軍事プレゼンスを堅持する米国などまさに今国際社会を動かしている力を分析。 さらに米国の軍備にも触れ、米軍の遠征軍化や情報革命が軍事にもたらした影響についても述べる。米国の一極覇権への挑戦者としてはEUとロシアとチャイナを挙げている。 最後にメタマンとゆう概念を取り上げ、マルクスが考えた人間と労働・生産手段・統治手段・経済機構の再結合など、新しい共同体の可能性に言及。
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