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記憶と沈黙(1) の商品レビュー

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2009/10/04

入門書というにはあまりにも重厚ではあるが、まだ辺見庸にふれていないという方には、必読の書である。辺見氏が何に取り組んできたのかがよくわかる。 辺見さんは「虹をみてから」の中で、死刑制度についてこんなふうに述べている。 いったい、忘却する者が、記憶する者を裁くことが許され...

入門書というにはあまりにも重厚ではあるが、まだ辺見庸にふれていないという方には、必読の書である。辺見氏が何に取り組んできたのかがよくわかる。 辺見さんは「虹をみてから」の中で、死刑制度についてこんなふうに述べている。 いったい、忘却する者が、記憶する者を裁くことが許されるのだろうか。あるいは、忘却する側が、記憶する側を殺すことが許されるのだろうか。 私のようにたくさんのことを物忘れしている輩や記憶のあやふやな者どもが、ひたすら記憶し、苦しみ、悔いる者、記憶の果てしない反芻を強いられている者を罵倒することができるか。 できはしない。してはならない。(中略) 逆なのである。私は、むしろ、カインのように悪罵を浴びなければならない気がするのだ。 もっぱら、忘却という、無意識の殺人に等しい罪のために。殺人が記憶殺しなら、死刑という国家的殺人もまた、組織的忘却強制装置による記憶の制圧なのである。 忘却が記憶に勝つとは、やはり、理不尽なのだ。だが、死刑執行計画は、おそらく、まだ若い国家官僚らにより、日々練られている。じつに、無感動に。 http://ameblo.jp/use04246/entry-10059136138.html

Posted byブクログ