啄木のうた の商品レビュー
国語で少し触れた石川啄木。どんな人物なのか、どんな詩を詠んでいたのか、何となく気になってこの歌集を手に取った。 時代は違っても、現代を生きる人たちが抱える悩みと本質的には変わらないのだなと不思議な気持ちで読んでいた。 貧困、家庭不和、自身の病気という三重苦の中で生み出された多くの...
国語で少し触れた石川啄木。どんな人物なのか、どんな詩を詠んでいたのか、何となく気になってこの歌集を手に取った。 時代は違っても、現代を生きる人たちが抱える悩みと本質的には変わらないのだなと不思議な気持ちで読んでいた。 貧困、家庭不和、自身の病気という三重苦の中で生み出された多くの短歌は、悲哀や諦めに満ちた苦しい生活の中でも小さな希望を頼りに生きていくような力強さを感じた。 石川啄木が歌人として天才的なのは言わずもがな、しかし何よりも、人には見せたくないような自分の弱さや卑しさをありのまま曝け出して表現する勇気に感動した。
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・はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手をみる ・気の変る人に仕へて つくづくと わが世がいやになりにけるかな ・目の前の菓子皿などを かりかりと噛みてみたくなる もどかしきかな ・空寝入生欠伸など なぜするや 思ふこと人にさとらせぬため ・真夜中にふと目がさめて、 わけもなく泣きたくなりて、蒲団をかぶれる。 ・何となく明日はよき事あるごとく 思ふ心を 叱りて眠る。 ・家を出て五町ばかりは、用のある人のごとくに歩いてみたけれどー ・しっとりと なみだを吸へる砂の玉 なみだは重きものにあるかな ・人といふ人のこころに一人づつ囚人がいてヴくかなしさ ・ふるさとの山に向ひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな 〇啄木のうたが沁みるようになったなあ
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哀愁漂う、ひとりの男の人生。誰しもが持っている醜い感情や情けない一面をさらけだしていて驚く。かと思えば優しい気持ちになったり昔を懐かしんだり。人間らしい歌人だと思う。 珍味やご馳走の類ではなく、自分の歌は両足を地面にくっつけて歌っているので、日々の暮らしで食べる漬物のように必要欠...
哀愁漂う、ひとりの男の人生。誰しもが持っている醜い感情や情けない一面をさらけだしていて驚く。かと思えば優しい気持ちになったり昔を懐かしんだり。人間らしい歌人だと思う。 珍味やご馳走の類ではなく、自分の歌は両足を地面にくっつけて歌っているので、日々の暮らしで食べる漬物のように必要欠くべからざるものだ まさしくそんな感じがする。
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