暗渠の宿 の商品レビュー
この人の作品は書いてる事がほとんど同じだね。数冊読めば十分というところ。私小説ならではの読みやすさもあり、本人が言う様に作者の血や肉を感じる作品でもある。ただ、作家には想像力や創造力も必要だね。それが無いと同じテーマでしか書けないんだなと思った。
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生涯独身、中卒の芥川賞作家、西村賢太、本年2月5日心疾患で急逝、享年54。「暗渠の宿」、2006.12発行。「けがれなき酒のへど」と「暗渠の宿」の2話が収録。前者は風俗の女性に約100万を騙される話。後者は滝野川のやや王子寄りの宿で女性と暮らすも暴言と暴力で・・・。
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どこまで北町貫多が西村賢太なのかは分からないが、歳を重ねるにつれ手の施しようがなくなっている。いくら私小説といえど、エンターテイメントの部分もあろうが、妙にリアリティが感じられる。 かの作者は無頼派、反リアリズムなど呼ばれ、聞こえはいいが、端的に言うと屑である。 自己正当化によ...
どこまで北町貫多が西村賢太なのかは分からないが、歳を重ねるにつれ手の施しようがなくなっている。いくら私小説といえど、エンターテイメントの部分もあろうが、妙にリアリティが感じられる。 かの作者は無頼派、反リアリズムなど呼ばれ、聞こえはいいが、端的に言うと屑である。 自己正当化による暴力もさることながら、性欲のまま生きるその破滅的生活に嫌悪感があふれ出る。 それでも頁を繰ってしまうのは流石売れっ子芥川賞作家だ。青年期を書いた作(苦役列車・蠕動で渉れ、汚泥の川を)はまだ楽しめたが、ここまでくると正直しんどい。 逆に考えるとよくここまで曝け出せるなといった感想。 「一私小説書きの日乗」シリーズにもあるように、その後の彼も無頼漢であり続けていた。 ただ、今作で愛情や温もりを求めていた心証から、無頼漢といっても先は諦観があったのだろうとも思われる。 人は人に傾倒すると強くなれるものだな、としみじみ思う。悪態をついているようだが、私は彼の生き様に憧れの様な感情を抱いているし、羨ましいとも感ずる。 惜しい人を亡くしたなど無粋なことも言わない。 素晴らしい生き様であった。
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芥川賞受賞をきっかけに、著者の小説を初めて読みました。 いやあ面白い。 私小説を超えて、ほとんど回想録みたいだ(笑)。 「けがれなき酒のへど」は恋人欲しさの一心で風俗嬢にアプローチをかけ続け、手痛い失敗を喰らうエピソード。 「暗渠の宿」は、ついてに手に入れた恋人に対して、身勝...
芥川賞受賞をきっかけに、著者の小説を初めて読みました。 いやあ面白い。 私小説を超えて、ほとんど回想録みたいだ(笑)。 「けがれなき酒のへど」は恋人欲しさの一心で風俗嬢にアプローチをかけ続け、手痛い失敗を喰らうエピソード。 「暗渠の宿」は、ついてに手に入れた恋人に対して、身勝手な支配欲を抑えられなくなっていく自己嫌悪に満ちた記録。 その姿を嗤い非難することは簡単だけど、男ならどこか共感せざるを得ない煩悩が赤裸々に映じられているがゆえに、読んでいて微かな胸の痛みを感じるような。 この率直さは貴重です。
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「けがれなき酒のへど」 風俗嬢に入れ込んで貢がされた挙句、騙される男の話。秋恵サーガ前日譚。CRIMSONで例えるならGG&Fというところか。相思相愛の恋愛を追い求め下衆く打算するのではあるが、所詮、ロマンチックに愛を追い求めるオトコに勝ち目などなく、リアルに金を狙うオン...
「けがれなき酒のへど」 風俗嬢に入れ込んで貢がされた挙句、騙される男の話。秋恵サーガ前日譚。CRIMSONで例えるならGG&Fというところか。相思相愛の恋愛を追い求め下衆く打算するのではあるが、所詮、ロマンチックに愛を追い求めるオトコに勝ち目などなく、リアルに金を狙うオンナの手玉にとられてしまう。オトコの性が痛く哀しい。 「暗渠の宿」 秋恵サーガのデモバージョン。バイオレンスシーンは抑え気味。嫉妬深く嗜虐的な心理描写に図らずも同調してしまう自分を発見してしまった。
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「苦役列車」を映画で見、エッセイを読んでみて、私小説と本人が言うものを読んでみる気になった。 そのどうしようもない心象風景がやるせなく、救いもないが、半面赤裸々な表現・思考・行動は多かれ少なかれ男という性に内在するものであろう。 文体や表現も面白く、引きつけられる部分がある。 も...
「苦役列車」を映画で見、エッセイを読んでみて、私小説と本人が言うものを読んでみる気になった。 そのどうしようもない心象風景がやるせなく、救いもないが、半面赤裸々な表現・思考・行動は多かれ少なかれ男という性に内在するものであろう。 文体や表現も面白く、引きつけられる部分がある。 もう少し読み進めてみようと思う。
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脳内語り続ける本。語り口とか着眼点に面白いところがあるから最後までストレスなく読めた。でも作者のあのイメージそのままだから何か小説って感じしない。物語の余白を想像する気がしないというか。
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『苦役列車』を読んだとき衝撃を受けましたが、2冊目だったのでそれほどでもなし。でもおもしろかった。『けがれなき・・』の方が好き。ただ彼女がほしいっていうとこが切実で笑えます。 自分のダメ人間ぶりをこんなに客観視できるのはさすがと思いつつ、開き直ってるだけのような気もしてきます。
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このダメ男ぶりは期待を裏切りません。結局ダメなんですね。しかし,そのダメ男をみて僕は安心します。「最低な奴だな」って毎回思います。埃かぶった文体が好きです。
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