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馬琴の嫁 の商品レビュー

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2015/02/21

言い得て妙な「馬琴の嫁」 医者である土岐村家の末娘として生まれたみちは、縁あって「里見八犬伝」で知られる人気戯作者瀧澤馬琴の息子宗伯の嫁として瀧澤家に嫁ぐ。すべてに明るい実家とは違い、一家を仕切り何事にも几帳面な舅の馬琴を筆頭に病弱で癇癪持ち揃いの瀧澤家の人々の間での嫁として...

言い得て妙な「馬琴の嫁」 医者である土岐村家の末娘として生まれたみちは、縁あって「里見八犬伝」で知られる人気戯作者瀧澤馬琴の息子宗伯の嫁として瀧澤家に嫁ぐ。すべてに明るい実家とは違い、一家を仕切り何事にも几帳面な舅の馬琴を筆頭に病弱で癇癪持ち揃いの瀧澤家の人々の間での嫁としてのみちの奮闘を描く。  みちの実家は医者だが、歌舞音曲や笑顔の絶えない明るい家でおおらかで開放的。彼女の両親は、例えて言うならサンダル履きで娘の嫁ぎ先にふらりと来ては長逗留したり、大声でしゃべってみたり、時としてその度が過ぎて周囲の空気が読めない鈍感さがある。嫁の親だから邪険にはできないものの、馬琴がそれをあきらかに迷惑と日記に吐露していたりするのは、家同士の距離感や家風のギャップを想わせて興味深く、また間に立たされてはらはらするみちの心情までがそこに浮かび上がってくる。  しかし嫁いだ瀧澤家も負けてはいない。生活に困窮することはなさそうなものの、とにかくあきれるほど家族みんなが病弱で年中誰かしら寝込んでいる。あげくに夫の宗伯も息子の興邦も早死だ。人手は足りないのに下働きの女が続かない。人材に恵まれないというか。そんな家族のストレスは癇癪となって一人丈夫なみちに向けられる。瀧澤家の中でみちはまさに孤軍奮闘することになる。  社会の最小単位である家、言い方を変えると家族というものは千差万別なのだなあと改めて感じさせる、これはいわば江戸時代のホームドラマだ。「どんな家でも、ままならぬことのひとつやふたつはあるものだ」馬琴がみちに言った言葉は現代にも通じる実感であったに違いない。  そのままならぬことを背負いつつもみちの生涯は確かに嫁ぎ先の瀧澤家に貢献するものであった。病弱な家族を支え夫、宗伯亡き後は、瀧澤家の主婦として舅、馬琴を助けて家を切り盛りした。しかし瀧澤家にとってみちが果たしてどんな嫁であったか?それは「後年、ろくに字も知らないながらも、眼が不自由になった舅・馬琴に代わりその口述を筆記してあの大部の小説『里見八犬伝』を世に遺した」ことから推して知るべしだろう。「馬琴の嫁」とはまことに言い得て妙なのであった。

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2010/07/23

江戸時代よりもっと前の日本。 家族とか夫婦とか、今の時代はずいぶん変わってきてるなと。 だからと言って、現代に生きるわたしたちの方が幸せかと問えば、 そうでもないような。 そういうことを考えられる本でした。

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2009/12/15

う~~ん、彼女の作品はいつもおもしろいんだけどなあ。 これに関しては、正直・・・(以下省略)。 彼女の長所である淡々とした描写形式の語りも、むしろそれが短所となって表れてたような気がする。

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2009/10/04

かつて山田風太郎が編集した里見八犬伝を読んでこの馬琴のお嫁さんについて初めて知った。 とってもできたお嫁さんだったようで、実は読んでみたかった話。 でも、実際は馬琴の家は常に誰かが病気をしているし、馬琴はとっつきにくいほど神経質な性格だし、夫はヒステリックになるし、お嫁さんは気が...

かつて山田風太郎が編集した里見八犬伝を読んでこの馬琴のお嫁さんについて初めて知った。 とってもできたお嫁さんだったようで、実は読んでみたかった話。 でも、実際は馬琴の家は常に誰かが病気をしているし、馬琴はとっつきにくいほど神経質な性格だし、夫はヒステリックになるし、お嫁さんは気が強いしで、嫁夫舅姑の問題が色々とあったことが伺われた。 でも、誰もが最後は皆に「ありがとう」と言って感謝して亡くなっていくのに感動した。誰かが自分のそばにいてくれることに対するありがたみを感じられる1冊。

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