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全文リットン報告書 の商品レビュー

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2018/11/14

リットン報告書というと、日本の満州侵略を非難したものとの印象があるが、必ずしもそうとはいえないことがよくわかる。わが国の歴史、特に戦争が絡んだところでは、事実が捻じ曲げられて伝わっていることが多いと感じているが、満州国建国についてもその一つであろう。渡部昇一氏のように、左翼的論調...

リットン報告書というと、日本の満州侵略を非難したものとの印象があるが、必ずしもそうとはいえないことがよくわかる。わが国の歴史、特に戦争が絡んだところでは、事実が捻じ曲げられて伝わっていることが多いと感じているが、満州国建国についてもその一つであろう。渡部昇一氏のように、左翼的論調を論理的・学術的に論破していく記述は、読んでいて気持ちがよい。私は、リットン報告書の全文を詳細に読破したわけではないが、本書は大東亜戦争開戦経緯につながる第一級資料として価値ある文献であると確信する。著者の解説部分で主要箇所を記す。 「当時の日本政府が、「リットン報告書」の妥当な点として報告した箇所: ①シナの内乱状態:満州事変の遠因をシナの無秩序・無理想な混乱にあるとし、内乱によって受ける日本のダメージが痛切であることを指摘している点 ②満州の歴史:日露戦争の勝利によって、日本がロシアから満州における権益を受け継いで満州経営に乗り出すと、この「浄土」を求めてシナ人たちが満州にやってきたことや、日露戦争後、満州がシナから放棄されていたことを記述している点 ③満州における排日抗日運動:条約や取決めによって日本が取得した権益をシナが容認しない傾向を挙げている点や、排日的な命令及び訓令が発せられた事実を認め、日支間の緊張が日本の積極的な行動によって生まれたのではないことを裏書している点 ④張作霖・張学良時代の満州の内政:腐敗、悪政が跡を絶たず、軍隊維持のために重税を課し、それでも足りずに不兌換紙幣を乱発したことなどを指摘している点」 「満州は清朝の故郷であって「シナの一部」ではない。秦の始皇帝以前も以後も、シナの王朝が満州を実効支配した事実はないのである。清朝を興した愛新覚羅(あいしんかくら)氏は明らかに満州とシナを区別して統治していた。シナ人に対してはシナ語で命令し、満州人に対しては満州語で命令を下した。いま台湾の故宮博物館へ行き、清の時代の書を見ると脇に普通の日本人にはわけのわからない文字が書かれているが、あれが満州語である。満州とシナはつねに別なのだ。東三省(奉天省、吉林省、黒龍江省)はシナ本部ではなく満州の地であり、しかもそれがつくられたのは1907年、つくったのは満州人である。だから東三省を「シナ」と呼ぶわけにはいかないのだ」

Posted byブクログ