武田信玄 の商品レビュー
軍事、外交、内政、家臣団、軍制。風林火山の真実に迫る。人間信玄のすべて。 戦国乱世を駆け抜けた甲斐の虎=武田信玄。信濃侵攻から川中島の戦い、西上作戦に至る軍事、その基盤である領国経営としての棟別役、甲州法度などの内政、さらに家臣団編成に及び、信玄のすべてを詳細かつ巧みに描く。(2...
軍事、外交、内政、家臣団、軍制。風林火山の真実に迫る。人間信玄のすべて。 戦国乱世を駆け抜けた甲斐の虎=武田信玄。信濃侵攻から川中島の戦い、西上作戦に至る軍事、その基盤である領国経営としての棟別役、甲州法度などの内政、さらに家臣団編成に及び、信玄のすべてを詳細かつ巧みに描く。(2006年の刊) 武田信玄の自立ープロローグ 軍事と外交 武田信玄の内政 家臣団編成と軍制 戦国史の中の武田信玄ーエピローグ 平成18年の刊。出版時に何故か買いそびれてしまい、読むタイミングを逃してしまった一冊。 期待して読むも違和感が拭え無かったが、あとがきを読んで納得。「原稿が規定の倍以上になってしまい、大幅な削除をおこない、再構成をせざるをえなかった」との事である。 参考文献一覧が無いのは惜しい。文中で史料が明記されているものの、一覧は欲しいところである。 個人的に気になった点がある。 一つは、史料として甲陽軍鑑が多く使われている事である。(もちろん他の良質な史料も使われている) 甲陽軍鑑は史料的価値が問題視されたこともある。私としては最初に著者の甲陽軍鑑に対するスタンスを知った上で読み進めたかった。p164で若干触れられているが、そこにたどり着くまでモヤモヤした気分で読むこととなった。 二つ目は、川中島の戦いについてである。異論に触れずに従来ながらの「啄木鳥の戦法」による書き方をしているのは残念なことである。平山氏は「戦史ドキュメント川中島の戦い」の中で、「一次史料から合戦の実態は把握しえないため、巷間流布している合戦の模様に言及する」としていたが、考え方を変えたのだろうか?気になるところである。 父信虎との決別、大膳大夫就任など視点が面白くなるほどと思わせる。 駿河侵攻から西上作戦については、丁寧な記述であり好感が持てる。甲越和与の成立など武田、上杉、北条、今川、織田、徳川の駆け引きが解りやすい。 個人的には、武田信玄に対する評価はあまり高くないが、人物像を見直す1冊となった。 本書は、内容があまりにも駆け足であり、著者も言うようにバランスを欠いていると思う。これは武田信玄の伝記として欠かせない1冊であるために余計に残念なところである。「再構成」前の原稿はどんな感じであったのだろうか。読めないのは惜しい気がする
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