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原田眞人の監督術 の商品レビュー

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2009/10/04

著者が30年かけて今でいう映画オタクからいかにして脱皮してプロフェッショナルな映画監督になるに至ったかを、経験を通じての映画作りの各段階(撮影中何を食べるかにまで至る)での具体的なイメージで綴られてすこぶる面白い。 日本のシナリオは情報量が少なすぎる、と批判しているが、この本自体...

著者が30年かけて今でいう映画オタクからいかにして脱皮してプロフェッショナルな映画監督になるに至ったかを、経験を通じての映画作りの各段階(撮影中何を食べるかにまで至る)での具体的なイメージで綴られてすこぶる面白い。 日本のシナリオは情報量が少なすぎる、と批判しているが、この本自体イメージと示唆豊かな名文から成る。 プロとは単にそれを職業にしているというだけでない、自分の足で立てる連中の協力関係のことだ、とはハワード・ホークスの「コンドル」に事寄せた筆者のプロフェッショナル論。 監督になるだけだったら誰でもなれる、重要なのは監督としてのキャリアを編むことだ、とも。 監督としての作品に上出来なものが必ずしも多くないのをもって皮肉るのはよしましょう、この本でも書かれているが他人の失敗談の方が勉強になることが多いのだから。映画作りはその時その時代での大勢のコミュニケーションとシステムの産物であり、結果として傑作を生んだ過去の「巨匠たち」の映画術を逆算しても今に即役立つわけではない。黒澤明他、かつてのアイドル(偶像)だった監督たち他を、「黒澤明、語る」の頃と比べてある程度醒めた目で見るようになっているのも、そうだろうなと思わせる。

Posted byブクログ