蜜のあわれ の商品レビュー
『文豪どうかしてる逸話集』で紹介されてて面白そうだったから読んでみた。 エロくないのにエロい。 世界観が楽しい。
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おじさまと赤子たちの会話だけでお話が進みます。 言葉がていねいでちょっと真似したくなりました 赤子はじゆうで可愛らしくて、そのまますきに泳いでいてほしいな
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
金魚ちゃんがとにかく魅力的。 読んでいたらほろ酔い気分になってしまうような心地よさ(語彙力…) 作者は、ほんとうは死ぬところまで書こうと思っていたのだったっけ。それはなんとなく感じるし、承知した上で紡がれる日常が愛おしい。 金魚ちゃんがお店で飼われている金魚の世話を焼くシーンが好き。 人を好くということは愉しいことでございます。
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映画がすごく良かったので読んでみたけれど、正直、よくわかんなかった。金魚が女性になって傍らにいる、っていう発想はすごいな、と素直に思うけれども。 この原作からよくあの映画を作ったな。逆にすごい。 ところどころにはさまってくる金魚の写真はすごくきれいで、文章と相まってイマジネーショ...
映画がすごく良かったので読んでみたけれど、正直、よくわかんなかった。金魚が女性になって傍らにいる、っていう発想はすごいな、と素直に思うけれども。 この原作からよくあの映画を作ったな。逆にすごい。 ところどころにはさまってくる金魚の写真はすごくきれいで、文章と相まってイマジネーションを刺激するけれど、なぜか使われていた女性の写真はそのものずばりで、刺激されたイマジネーションをしぼめる効果しかなかったと思う。
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2016年8月30日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「ペット」。チャンプ本!
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金魚って、昔から人の憧れのようなものだったのかな、と感じました。確かに金魚が赤いひれをゆらゆらさせながら水の中を漂う様子は魅力的。 近代にこのような作品が書かれたことに驚きました。 文体や登場するものごとは幻想的であり現実的であり、大変面白かったです。
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「あたい」と「おじさま」の会話で作られた物語。 幼い少女のような「あたい」の言葉が、なぜかとてもエロティックで、人気作家であるらしい「おじさま」を翻弄している様が何とも言えずよい。 実は「あたい」の正体は金魚なのだが、時折人間に化けて歯医者に行ったり作家の講演会に行ったりしてい...
「あたい」と「おじさま」の会話で作られた物語。 幼い少女のような「あたい」の言葉が、なぜかとてもエロティックで、人気作家であるらしい「おじさま」を翻弄している様が何とも言えずよい。 実は「あたい」の正体は金魚なのだが、時折人間に化けて歯医者に行ったり作家の講演会に行ったりしている。 で、結構お金に汚いのである。 それはもう、生々しいくらいにお金に細かい。 金魚なのに。 金魚屋のおじいさんには正体がばれている。 ばれてることを承知の上で、人間のなりで金魚のエサを爆買い。 繊細な小説なんだけど、なぜか読後感が愉快。 なんかくせになりそうです。 月のお小遣いに5万円を要求したら、1万円に値切られた「あたい」 “「こまるわ、一万円じゃ。じゃね、クリイムだのクチベニのお金は時々別の雑費として出していただけます?」” 「あたい」は金魚である。 そしてこの作品が書かれたのは、昭和34年。 昭和34年に5万円要求。 どうれだけゴウツクなのよ、この金魚。 エロスの方は、実際に読んでみてください。 会話のやり取りが何ともいえない怪しさです。妖しさです。
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はじめて読んだ日から金魚が特別なものになった。あかくてかわいい少しグロテスクな特別な生き物。 いまでも泳いでいるのを見るとあたい、と話かけてきそうでドキドキする。もう一度読んだら今の気持ちが遠ざかりそうでもったいなくて本棚にしまったままにしてある大切な一冊です。
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あたい、おじさまが親切にしてくださるから、甘えられるだけ甘えてみたいのよ、元旦の朝の牛乳のように、甘いのをあじわっていたいの。 こんなセリフ言える女子、そして嫌みなく言える女子がどれほどいるのか? このセリフの主は、3歳の金魚。 そう、これは3歳のおませな金魚赤子と72歳の詩人...
あたい、おじさまが親切にしてくださるから、甘えられるだけ甘えてみたいのよ、元旦の朝の牛乳のように、甘いのをあじわっていたいの。 こんなセリフ言える女子、そして嫌みなく言える女子がどれほどいるのか? このセリフの主は、3歳の金魚。 そう、これは3歳のおませな金魚赤子と72歳の詩人のプラトニック?ラブの話。 かわいいんだ。本当に主人公の金魚が。 私は谷崎潤一郎の崇拝者だけれど、「痴人の愛」の直美よりいい!直美は計算高いけど、この金魚は純粋で、一途におじさまを慕い、そして心優しい。これは詩人の遺作。とある書評によると、晩年の詩人の女性の理想がすべて詰め込まれたのが金魚らしい。納得。私もこんな女子になりたい。それにしても、男子とは、小悪魔にふりまわされたいものなのか(笑)たまにちんぷらと呼ばれう愛嬌。 映画化で、詩人を演じる大杉漣さんの解釈がさすがと思った。 「老いゆく作家の儚さ 切なさ 可笑しみ そしてあわれ!…室生屑星のリアルな言葉に老いてなお枯れるころない”残酷な蜜”を味わっていただければ嬉しい」 題名の意味など考えなかったけど、そういうことかと納得。すとん。 http://s.cinemacafe.net/article/2015/07/08/32499.html
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赤、それは体内を巡る血液の色、欲望を掻き立て混じり合う焔の色。金魚であり少女でもある「あたい」と古希を過ぎた主人公との会話は欲望が滲み出ているはずなのにどこか朧げで幽玄で、いつしか亡き人までもが引き寄せられていく。金魚との接吻は空と水の匂いが溶け合うみずみずしいものなのに、生身の...
赤、それは体内を巡る血液の色、欲望を掻き立て混じり合う焔の色。金魚であり少女でもある「あたい」と古希を過ぎた主人公との会話は欲望が滲み出ているはずなのにどこか朧げで幽玄で、いつしか亡き人までもが引き寄せられていく。金魚との接吻は空と水の匂いが溶け合うみずみずしいものなのに、生身の女性とは出会うことさえ叶わない。それはなかやまあきこさんによる美しい写真の数々にも反映されており、カラフルで色鮮やかに写された花々や金魚たちに対して、生身の女性は過去の記憶から呼び起されたようにモノクロームな形で存在しているのだ。
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