鼻のある男 の商品レビュー
イギリス女流作家怪奇小説選。けっこう定番、というか王道のストーリーが多い気がしますが。それでも読みごたえは充分。怪奇な雰囲気がたっぷりと味わえます。 お気に入りはD・K・ブロスター「超能力」。いわくありげな家の物語で、そこで起こった出来事が描かれるさまは一番凄惨。なんとも恐ろしく...
イギリス女流作家怪奇小説選。けっこう定番、というか王道のストーリーが多い気がしますが。それでも読みごたえは充分。怪奇な雰囲気がたっぷりと味わえます。 お気に入りはD・K・ブロスター「超能力」。いわくありげな家の物語で、そこで起こった出来事が描かれるさまは一番凄惨。なんとも恐ろしく、だけれども凶事のもととなった日本刀に妙に魅了されてしまう心地でした。そして惨劇の激しさとは逆に、幕切れの静かさも印象的でした。 キャサリン・ウェルズ「幽霊」も印象的。ストーリーだけならありがちかもしれないけれど、簡潔で切れ味が良くって、「あ、やっぱりそれか」と思いつつもぞくりとさせられます。 メイ・シンクレア「仲介者」は最初不気味で仕方なかったけれど。悲しさと切なさ、そして穏やかさが感じられる物語でした。ラストもあまりに優しいです。
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19世紀後半から二十世紀前半までのイギリス人女性作家による怪奇短篇集。8篇収録。 子ども時代に読んだ『砂の妖精』の作者ネズビットが怪奇小説も多く書いていたとは。「すみれ色の車」は細やかで上品な語り口が怖さを盛り上げている。 日本刀によるスプラッター・シーンが印象的な「超能力」(...
19世紀後半から二十世紀前半までのイギリス人女性作家による怪奇短篇集。8篇収録。 子ども時代に読んだ『砂の妖精』の作者ネズビットが怪奇小説も多く書いていたとは。「すみれ色の車」は細やかで上品な語り口が怖さを盛り上げている。 日本刀によるスプラッター・シーンが印象的な「超能力」(D. K.ブロスター) 本当のところはわからないけれど、たぶんこういうことだったのだろうな、と想像すると、かなりおぞましい「第三の窯」(アミーリア・エドワーズ) なんでもない短い話のようで、案外怖い「幽霊」(キャサリン・ウェルズ) いちばん印象に残ったのは、中篇ともいえる長さの「仲介者」(メイ・シンクレア) 愛を失った妻と、愛を失った子どもを描いて大変読み応えがあった。語り手の、子どもへの慈愛に満ちた共感が美しい。 <収録作品> 鼻のある男 ローダ・ブロートン すみれ色の車 イーディス・ネズビット このホテルには居られない ルイザ・ボールドウィン 超能力 D.K.ブロスター 赤いブラインド ヘンリエッタ・D・エヴァレット 第三の窯 アミーリア・エドワーズ 幽霊 キャサリン・ウェルズ 仲介者 メイ・シンクレア
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