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栗山町発・議会基本条例 の商品レビュー

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2012/09/05

『栗山町発・議会基本条例』 本書は、栗山町議会が議会基本条例を全国で初めて制定するに至った経緯、その中身、意義について、元栗山町議会議長・橋場利勝氏と北海学園大学教授・神原勝氏がそれぞれ語った講演を元に構成されています。 まずこの基本条例は、2002年頃からの「議会報告会」開...

『栗山町発・議会基本条例』 本書は、栗山町議会が議会基本条例を全国で初めて制定するに至った経緯、その中身、意義について、元栗山町議会議長・橋場利勝氏と北海学園大学教授・神原勝氏がそれぞれ語った講演を元に構成されています。 まずこの基本条例は、2002年頃からの「議会報告会」開催を始めとする、町議会の積極的な議会改革を制度化することを目的とした改革先行型となっている点に特徴があります。後続の基本条例と比較しても、いまだこの条例が先進的条例として参照されるのも、改革先行型であったために制定プロセスがスムーズに進んだことが1つの要因であると言えます。 次に条例の中身に関してですが、(第6条 町長による政策等の形成過程の説明)には特に関心を持ちました。第6条では、町長が議会に政策提案を行う際、「①政策等の発生源、②検討した他の政策案等の内容・・・⑥政策等の実施に関わる財源措置、⑦将来にわたる政策等のコスト計算」等の7項目の説明が努力義務として明記されています。⑦については、橋場氏も「行政にとって非常に厳しい」規定であるとしていますが、議会・行政の双方が政策立案能力の向上を図る上で画期的な意義があるのではないでしょうか。 反対に、(第9条 自由討議による合意形成)の1項が、「町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ」るとしている点には、疑問を感じました。神原氏が主張するような、論点形成のための活発な議会間討議の必要性は理解できますが、行政の出席を抑制する必要は無いように思います。むしろ、政策議論に必要なリソースを行政が握っていることを考えれば、公開の場において行政と接触する頻度は増加させるべきではないでしょうか。この点は、地方政治の二元代表制を「行政と議会の対立構造」として捉えるか否かに関わる重要な論点であるように思います。 本書は、ページ数が少なく文体も平易で、何より全国初の議会基本条例ですので、地方議会に関心がある方には文句なしにおすすめの一冊です。

Posted byブクログ