1,800円以上の注文で送料無料

「法令遵守」が日本を滅ぼす の商品レビュー

3.8

39件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    12

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/02/14

法令と社会的要請との間にズレがあるのに、企業が法令規則の方ばかり見て、その背後にどんな社会的要請があるかということを考えずに対応すると、法令は遵守しているけれども社会的要請には反している、ということが生じる。社会的要請に応えていくことこそがコンプライアンスである。確かにそう思う。...

法令と社会的要請との間にズレがあるのに、企業が法令規則の方ばかり見て、その背後にどんな社会的要請があるかということを考えずに対応すると、法令は遵守しているけれども社会的要請には反している、ということが生じる。社会的要請に応えていくことこそがコンプライアンスである。確かにそう思う。 「社会的要請」という言葉は勉強になった。 確かに合法か違法か、ということにばかり注目が集まるが本質はそこではない。事例の中に、合法ではないが社会的要請には応えている、というものが数多くあり、一方で社会的要請に応えていない法律が今だに残っていることは驚きだ。本質よりも形式を重んじる風潮は滅びゆく日本の兆しなのかもしれない。

Posted byブクログ

2023/10/17

1. 検察の起訴裁量について  法令と実態が乖離しているような状態で「形式的にすぎる」官僚を批判しているが、検察については法令違反については淡々と職務を遂行すべきだと感じた。世間から特装検察が評価されていた執筆時とは異なり、袴田事件を筆頭に検察への不信も高まっている現在では、「...

1. 検察の起訴裁量について  法令と実態が乖離しているような状態で「形式的にすぎる」官僚を批判しているが、検察については法令違反については淡々と職務を遂行すべきだと感じた。世間から特装検察が評価されていた執筆時とは異なり、袴田事件を筆頭に検察への不信も高まっている現在では、「柔軟に」事件に対応したところで「恣意的に運用したのではないか」との疑いをかけられるのは目に見えているし、そのような疑いに市民の目を入れたはずの検察審査会についても良い評判を聞かない。  法令におかしいところがあるのであれば、司法に持っていって判断を待てば良いのであるし、その判断を元に立法が法令を変えるのが筋であるから、検察に柔軟さを求めるのは賛同できなかった。 2. 法令遵守について  法令に限らず、「法令遵守」にある問題はSDGsにもあり、社会に根強く残っているものだと考えた。すなわち、建前においてSDGsという崇高な理念に賛同しているポーズをとり、環境コンサルの助言に従って配慮している形式だけを重視して、その実、「実質的に」持続可能な社会の実現にどのように寄与するのかという問題には直視しない態度が見られる。  このような観点でいうと、世界を滅ぼす、ということにもなりかねない。本書の主張を敷衍すると、地球の構成員一人一人の鋭敏性が地球に「眼」を与えることになるのだろうか。

Posted byブクログ

2015/12/06

多少不合理な面も含めて形式を満たしながら守るのが法令遵守と思い込んでいたのを改めさせられた。かといって、顕在化した社会要請だけでなく潜在的な社会要請をあれもこれもというわけにいかない。だからフルセット・コンプライアンスの第1が「組織の方針」ということか・・・。法令は環境変化を知る...

多少不合理な面も含めて形式を満たしながら守るのが法令遵守と思い込んでいたのを改めさせられた。かといって、顕在化した社会要請だけでなく潜在的な社会要請をあれもこれもというわけにいかない。だからフルセット・コンプライアンスの第1が「組織の方針」ということか・・・。法令は環境変化を知る手がかりというのはなるほど。

Posted byブクログ

2014/11/17

コンプライアンスとは「法令順守」ではなく、「社会的要請への適応」と解釈すべきと作者は問う。 本来、何のために法律が存在するのか?単純に法律を遵守する事が社会の要請に応える事にはなっていないにも関わらず、「法令を守れば良い」、「法令に従って物事の是非を判断すれば良い」と単純化されて...

コンプライアンスとは「法令順守」ではなく、「社会的要請への適応」と解釈すべきと作者は問う。 本来、何のために法律が存在するのか?単純に法律を遵守する事が社会の要請に応える事にはなっていないにも関わらず、「法令を守れば良い」、「法令に従って物事の是非を判断すれば良い」と単純化されていないか、作者は警笛を鳴らす。 文章も簡潔に非常に読みやすく、分かりやすい。おススメ。

Posted byブクログ

2013/12/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本書を読了したまさにその日、TBS「朝ズバッ!」の不二家関連報道捏造疑惑のニュースで、信頼回復対策会議議長として著者・郷原信郎の名前を発見した。まさに適任であろうと思う。不二家に対する一連の報道は、本書の中でも触れられている、メディアスクラムの構造そのものである。「法令」という正邪の境界を踏み外したと当局から判断された落伍者については、ささいなことでも針小棒大に取り上げ、よってたかって袋叩きにするという、本質論からかけ離れた報道姿勢。ささいなことでも事実であるうちはまだいいが、いつしかバッシングのネタすら捏造するという本末転倒した現象に発展する。 マスコミに限らず外形的な「法令遵守」にのみ捕らわれ、社会的要請を見誤る日本の企業社会のひずみについて、ライブドア事件や談合などの具体的な事例を挙げながら的確に指摘して、非常に有用な組織論となっている。

Posted byブクログ

2013/07/30

細かい条文がどうなっているなどということを考える前に、人間としての常識にしたがって行動すること。そうすれば、社会的要請にこたえられる。 本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界 組織が社会の要請に...

細かい条文がどうなっているなどということを考える前に、人間としての常識にしたがって行動すること。そうすれば、社会的要請にこたえられる。 本来人間がもっているはずのセンシティビティというものを逆に削いでしまっている、失わせてしまっているのが、今の法令遵守の世界 組織が社会の要請にこたえるためには 1 社会的要請を的確に把握し、その要請にこたえていくための組織としての方針を具体的に明らかにすること 2 その方針に従いバランスよくこたえていくための組織体制を構築すること 3 組織全体を方針実現に向けて機能させていくこと 4 方針に反する行為が行われた事実が明らかになったりその疑いが生じたりしたときに、原因を究明して再発を防止すること 5 法令と実態とがかい離しやすい日本で必要なのが、1つの組織だけで社会的要請にこたえようとしても困難な事情、つまり組織が活動する環境自体に問題がある場合に、そのような環境を改めていくこと 組織が何を目的とし何を目指しているか、その実現に関して何が問題になっているかを、全構成員が理解、認識すること

Posted byブクログ

2013/06/26

行政の分野に対する例えが、野球の守備範囲。所管事項にこだわると、ボールを取りこぼす。社会要請に対するフルセットコンプライアンスの考え方も妥当。

Posted byブクログ

2013/05/28

コンプライアンス=法令遵守としてしまい、形から入り、形で終わっている今の世の中、会社、組織に警鐘を鳴らしている本。 筆者はコンプライアンス=「組織が社会的要請に適応すること」と定義していると書いてある。長いから広がらない、とあるが、個人的には辞書にこの意味が載るような簡潔な日本...

コンプライアンス=法令遵守としてしまい、形から入り、形で終わっている今の世の中、会社、組織に警鐘を鳴らしている本。 筆者はコンプライアンス=「組織が社会的要請に適応すること」と定義していると書いてある。長いから広がらない、とあるが、個人的には辞書にこの意味が載るような簡潔な日本語が作られれば、と思う。明治時代にはそうしてきたはずだ。 法律やルールを守っていくことは大事なことであるが、それは何のために、誰のためにやっていくのが大事なのか、記者会見で頭を下げれば終わりというわけではない、と改めて考え直すべきなのであろう。

Posted byブクログ

2013/02/23

法令遵守そのものに焦点を充てるのではなく、社会の要請は何で、それを実現するにはどのようなルールが必要かを問い直すことが重要だと主張。

Posted byブクログ

2012/05/13

「法例遵守」することで、大丈夫だと思っている日本人に向けて、それが問題の解決にはならないことを指摘する良書。 談合が非公式のシステムとして認められたことであること、公正取引委員会が歴史的には非常に難しい立場であったこと、ライブドア、村上ファンド、耐震強度偽装事件、パロマ事件など...

「法例遵守」することで、大丈夫だと思っている日本人に向けて、それが問題の解決にはならないことを指摘する良書。 談合が非公式のシステムとして認められたことであること、公正取引委員会が歴史的には非常に難しい立場であったこと、ライブドア、村上ファンド、耐震強度偽装事件、パロマ事件などを例に挙げて、官とマスコミがそれを後押ししていると指摘している。 日本の法律は元々、実態にあっていく慣習法ではなく、大陸成文法であるとともに、学者の研究も経済活動などとは無縁で、法学のタコつぼにとじこもって、主に、民法、刑法、行政法が研究対象になる。このような中で、フルセット・コンプライアンスの考え方が有効であると指摘している。 いろいろな意味で、今の過渡期の日本の問題点がよくわかった。やはり、このようなことをその場で押さえずに、構造や組織や仕組みで変えていかないと真の問題は解決しないと感じた。

Posted byブクログ