ほたる館物語(3) の商品レビュー
湯里温泉ほたる館ひとり娘、小学5年生一子(いちこ)の日常を描く第3巻目。 「一子が知った秘密」という題がついている。「秘密」って、女将さんの初恋のことかと思いきや、その戦死した初恋の相手の母親、「山ばあさん」の秘密のことだった。 一子や柳井くん、雪子にとっては、戦争の話って、歴...
湯里温泉ほたる館ひとり娘、小学5年生一子(いちこ)の日常を描く第3巻目。 「一子が知った秘密」という題がついている。「秘密」って、女将さんの初恋のことかと思いきや、その戦死した初恋の相手の母親、「山ばあさん」の秘密のことだった。 一子や柳井くん、雪子にとっては、戦争の話って、歴史の彼方なんだけど、「山ばあさん」にとってはついこの間のことなんだ。 「山ばあさん」の家には立派な金木犀の木があるんだけど、何故かばあさんは金木犀の香りのする芳香剤を持って行っただけで食欲を無くすくらい大嫌い。そんな「謎」が解かれてゆく中で、一子たち、ひいては読者には、理屈じゃない、一人ひとりの人生に大きく横たわる大事なことを学んでゆく。 それで学級壁新聞に、「戦争のこと載せよう」てなって、役場に調べに行くと、役場の人は子どもには見せないと膠鰾(にべ)ない答え。一子は帰り道、柳井くんに憤る。 「だって、だって、学級新聞作るのうちらやで。それなのに、なんで、うちらだけやったら見せてもらえんの。そんなのおかしいわ。うちらに関係ないなんて勝手に決めて、ちらっとも見せてくれへんて、おかしいわ」 「うん、そうやなあ。戦争になってミサイル飛んできたら、大人も子どもも死ぬのになあ。ミサイルが、あっ、ここには子どもいるから落ちんとこなんて考えることなんてあるわけないもんなあ」(150p) 1992年に柳井くんが言ったことだけど、皮肉にも現代のウクライナでも、ガザでも、この言葉が真実であることを証明してしまった。だから小学5年生には、キチンと湯里の町の「戦死者」を知る権利があるのである。本シリーズ全体を貫いて、子どもたちは大人の事情に負けない、忖度しない。そこが児童文学としてとっても魅力的。
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どうしてこんなに面白いかな。何の難儀が降り掛かるでもなし、何のハラハラが起こるでもなし、ただ、いつもの通りに時が過ぎ、そして子供が少し大人になる。それだけの事が魅力的。
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- ネタバレ
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【あらすじ】 冬休み―一子と柳井くんは、おばあちゃんから「バイト」を頼まれ、繁忙期のほたる館を手伝っていた。そんな暮れのある日、山菜などを商う「山ばあさん」が久しぶりに訪ねてくる。彼女が金木犀を嫌う理由を聞いた一子たちは、おばあちゃんの悲しい「初恋」についても知ることとなった…。今もっとも注目を集める作家の好評デビュー作シリーズ、待望の第三弾。 【感想】
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文字が大きくて約160ページなのですぐに読める。 役所に行って「子供」という理由で追い返される場面は、「大人」としてイラっとした。子供の方が責任はないかもしれないけど、受け入れざるを得ない不合理は多い気がする。 舞台が温泉旅館の理由についても森絵都さんの解説でなるほどと思った...
文字が大きくて約160ページなのですぐに読める。 役所に行って「子供」という理由で追い返される場面は、「大人」としてイラっとした。子供の方が責任はないかもしれないけど、受け入れざるを得ない不合理は多い気がする。 舞台が温泉旅館の理由についても森絵都さんの解説でなるほどと思った。「旅館」をテーマとした作品では『花咲くいろは』が思い浮かぶけど、森さんの解説をもとにすると、舞台は同じでも2作品の方向性、構造は全く異なる感じた。
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仕事を頑張っている一子は自分が預かった仕事は一生懸命に最後まで行っていました。いろんなことがある中みんなに聞かないでもできるようになっているのは、やっぱりその家にずっとすんでいるからだと思うし何でも手伝うからだと思いました。やっぱり何でも手伝っていくことができるようになることだと...
仕事を頑張っている一子は自分が預かった仕事は一生懸命に最後まで行っていました。いろんなことがある中みんなに聞かないでもできるようになっているのは、やっぱりその家にずっとすんでいるからだと思うし何でも手伝うからだと思いました。やっぱり何でも手伝っていくことができるようになることだと思いました。働いている人が一人でも減ると無意識に不安になっていることも分かりました。いつもいる人でやっていかないとだめなんだと思いました。
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