漱石・松山百句 の商品レビュー
・風ふけば糸瓜をなぐるふくべかな ・稲妻やをりをり見ゆる滝の底 ・春三日よしのの桜一重なり ・凩に裸で御はす仁王かな ・時雨るるや泥猫眠る経の上 ・見ゆる限り月の下なり海と山 ・凩や真赤になって仁王尊 ・叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな ・曼珠沙華あっけらかんと道の端 ・犬去ってむつ...
・風ふけば糸瓜をなぐるふくべかな ・稲妻やをりをり見ゆる滝の底 ・春三日よしのの桜一重なり ・凩に裸で御はす仁王かな ・時雨るるや泥猫眠る経の上 ・見ゆる限り月の下なり海と山 ・凩や真赤になって仁王尊 ・叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな ・曼珠沙華あっけらかんと道の端 ・犬去ってむつくと起きる蒲公英が ・落つるなり天に向かって揚雲雀 ・永き日やあくびうつして分かれ行く 松山愚陀佛庵で子規に誘われて、俳句にのめり込んで行った漱石。 子規への手紙で「小生が写実がへたなのは入門の日が浅いこともあるが、天性によるところもあると思う」と述べている。確かに写生を主要な技法とした子規とは違う漱石の俳句ではあるが、滑稽を特色とする俳句は異色で魅力的であり、非凡とはこういう事かと思う。
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