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たたかいはいのち果てる日まで の商品レビュー

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2009/10/04

泌尿器学会のセミナーで、二分脊椎など障害をもった子供の医療についての講演を聴いたときに紹介されていた書籍。 一生付き合わなければならない障害を抱えた子供たちにとって、医療とはその場限りのものではない。 この書籍では、研究者としても大きな実績を持つある医師が、学問の世界から専門性...

泌尿器学会のセミナーで、二分脊椎など障害をもった子供の医療についての講演を聴いたときに紹介されていた書籍。 一生付き合わなければならない障害を抱えた子供たちにとって、医療とはその場限りのものではない。 この書籍では、研究者としても大きな実績を持つある医師が、学問の世界から専門性をもって臨床の場へ飛び出し、地域全体で子供から大人までを支えられる医療システムの構築を目指した姿が描かれている。主人公の医師は、自分の夢へ向けて踏み出し、悩み、怒り、多くの人に影響を及ぼしながら夢半ばにしてこの世を去っていく。 がんという病に侵されつつ、挑んだ人間的医療にかける情熱は、美談のように写るかもしれないが、ただの美談でおわらない奥深いものがあると思う。過去から現在に至るまでの医療の本質をわれわれに考えさせるドキュメントだと感じた。 物語の前半では、排尿機能に関するかなり専門的な用語も飛び出し、一般読者にはちょっと難しすぎる内容のようにも思えたが、この分野をかじったわが身にとっては、この医師の専門家としての先進性が非常に良くわかった。また、主人公の医師、中新井先生は高校生のときにすでに以下のように母に語っている。 「お母さん、ぼく、医者になって、一時期は病院に勤めるけど、年取ったら、橋の下の人救うのが本当の目的・・・・・・・心なんだよ。」 医学部へ合格したばかりの20歳にもならない若者が、このような遠い先の目標を明確に描いていたことが、非常に印象に残っている。 多くの人に知ってもらいたい、ある医師の生涯ドラマである。 医療を突き詰めると、哲学にいきつくのであろうか、

Posted byブクログ