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ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅 の商品レビュー

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2011/10/27

最近ニュートリノがニュースになっていて、ニュートリノを研究している研究室の人間としてはうれしい。報道内容の正確性みたいな問題はあるけれど、とりあえずまずは興味を持ってもらわないと。それでニュートリノが光速超えたなんて言っちゃいましたけどあれは計測ミスでしたとなっても、なんだツマン...

最近ニュートリノがニュースになっていて、ニュートリノを研究している研究室の人間としてはうれしい。報道内容の正確性みたいな問題はあるけれど、とりあえずまずは興味を持ってもらわないと。それでニュートリノが光速超えたなんて言っちゃいましたけどあれは計測ミスでしたとなっても、なんだツマンネ(゚д゚)とならないように、そうでなくたってニュートリノは謎だらけで不思議な粒子なのだというのが知られてくれるとなおうれしい。 そして、その性質を明らかにしようとする実験の多種多様さ。ぜひこの本で堪能してください。 ・・・と自信を持って言いたいところなんだけど、もうちょっと、という感じ。なぜだろう。ちょっと整理してみる。 よい点 ・ニュートリノ物理に日本がはかりしれない貢献をしているのは事実だけど、日本の本だと神岡以後の日本の業績ばかりになってしまいそう。その点、この本はパウリよる導入から、コーワンとライネスによる発見、と大体において時代順に基づきつつ、途中関連するトピックや必要な知識に触れつつ、Kamlandによる太陽ニュートリノ問題の最終解決の前あたりまで丁寧に書かれている。とくに、実験の説明が詳しく、実験屋見習いとしては今後も参考になりそう。これは図書館で借りたのだけど、原著かこの本か買おうかな。 ・原著は1992年に出てるので、その後のめざましい進展が本文中にはないのだけど、脚注で訳者がきちんと補っている。 ・豊富な引用。当事者自身にドラマチックに語らせることに成功している。たとえば次の引用。(http://booklog.jp/quote/133323) ・充実した索引。これはシュプリンガーから出てるので、なかったらダメだけどね。 悪い点 ・訳文がひどい。誤植なのかもしれないけど、数ページにひとつは日本語がおかしいところがある。とくに前のほうに多かったか(後半は慣れてきたからかもしれない)。 と挙げてみるとそんなに悪くない感じ? なんというか、僕は実験が専門で好きなので詳しい手法が載ってるとうれしいけど、そうでない人には情報が多すぎるかもしれない。その点、フランシス・ベーコン風に言うなら(http://booklog.jp/quote/129795)、どうやって実験屋さんたちがニュートリノを拷問にかけ、その口を割らせてきたのか、それを知るにはぴったりの本です。 図書館で借りたのだけど、実験の手法が色々載ってて分からないところもたくさんあったから原著が安かったら買おうかなと考えたけど、高かった(笑) 緒言はフレデリック・ライネス。

Posted byブクログ