「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像 の商品レビュー
毎日のように見聞きされ引用されながらもあまり疑われることもない「こころ」言説の系譜と作用を、伝統的な社会学の域を徒にはみ出すことなく透徹の内に論じている。デュルケムを皮切りにゴフマンを経由しホックシールドへと接続する、宗教というバトンの変節を辿る旅は私の「こころ」に対する積年の座...
毎日のように見聞きされ引用されながらもあまり疑われることもない「こころ」言説の系譜と作用を、伝統的な社会学の域を徒にはみ出すことなく透徹の内に論じている。デュルケムを皮切りにゴフマンを経由しホックシールドへと接続する、宗教というバトンの変節を辿る旅は私の「こころ」に対する積年の座りの悪さをある種カタルシスに導いてくれ、また多くの人々が共有出来る部分でもあると思う。DSMシステムについて社会学的にはやはり批判的にならざるを得ないことの再確認にもなったが、裏を返せばそれは当の精神医学の中で心理学による自己言及の声がなかなか響かないこと、精神分析のますますの我道的スルー力の高さが伺え、苦々しい思いは残る。
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