すぐれた授業の創り方入門 の商品レビュー
教育出版の情報誌「Educo」に連載されていたものがまとめられている。連載当時から注目して学んでいたこともあり、書籍化は非常にうれしかった。有田先生が授業を参観されて、おもしろいと思った授業が11本掲載されている。即ち、有田先生が直接授業をされたものではない。その授業を有田先生...
教育出版の情報誌「Educo」に連載されていたものがまとめられている。連載当時から注目して学んでいたこともあり、書籍化は非常にうれしかった。有田先生が授業を参観されて、おもしろいと思った授業が11本掲載されている。即ち、有田先生が直接授業をされたものではない。その授業を有田先生が解説をされている。私はこのことが「有田先生の語りによって、有田実践の見えにくいところが見えるようになっているなぁ」と感じている。授業の具体や有田実践を学ぶには非常に優れた一冊である。 ① 有田先生が見る、授業の良いところ・良くないところ 有田先生の著書にある授業を見ると、発問のあり方や、資料・板書、そこから追究を進めていく子どもたちの意見のつながり・深まりなど、多くの具体的事実から学ぶことができる。その一方で、有田先生が授業をどのように見るのかといった「分析」については、本書から学ぶことができる。「ここでこう改善していくといい」という代案が示されているところからも、有田先生が授業に正対されている姿を学ぶことができる。そしてこれらを「すぐれた授業のポイント」として14挙げている。有田理論と実際の授業とがどのように結びつくのかを学ぶことができるようになっている。 ⑴授業づくりの順序を変えている「内容→方法→目標」 ⑵教材がすぐれている。内容が鮮明なよい教材を開発している ⑶資料の収集・作成・提示の仕方を工夫している ⑷発問・指示が鮮明で、わかりやすい ⑸授業づくりの具体としての「板書」のしかたがすぐれている ⑹「話し合いのしかた」がすぐれている ⑺教師の話術・表情・パフォーマンスがすぐれている ⑻子どもも教師も明るくおもしろい (9)子どもと教師の「間合い」がピッタリいっている 10 ⑽教師に「やさしさ」と「きびしさ」がある ⑾授業全体にゆとり(ユーモア)がある ⑿「授業は布石の連続」になっている ⒀「思考の作戦基地」としてのノートの使い方がすぐれている ⒁学習スキル(学習技能)を鍛えている ② すぐれた授業の創り方アイデア 有田先生の授業理論が網羅されている(是非一読していただきたい)。「黒酢」の教材開発や「動物園ではたらく人の工夫」など最新のネタを入れて解説してある。また、生活科や総合的な学習についての指導アイデアについても書かれている。何度も言うが、非常に分かりやすくまとめられている一冊なのである。特にこの章は、有田先生にはじめてふれる教師には多くの学びになると思うし、ここから「深く学んでいきたい(追究したい)」という意欲をもつことになるだろう。 ③ 「教材の背景」まで深く追究する 有田先生の言う「教材研究」とはここまでのレベルを指すのである。「教材の背景」まで教材研究をすれば、自然に「発問・指示」が生まれてくるし、「どんな資料を用意すればいいか」ということも明らかになってくるのだ。有田先生は「教材が完全に自分の手の中に入ってくるまで調べる」という。教材の表面だけでなく、その「背景」までつかむことこそが「教材研究」なのである。また、有田先生は「社会科以外の本を読んだり調べたりすることで、社会科の学習を深める」ことがあるとも書いている。これによって、「背景」まで研究(追究)することができるのである。 すぐれた授業とはどういうものか、どうしたらすぐれた授業に近づけるのかが、分かりやすく解説されている。これまでの有田本とは違った見方で多くの学びを得ることのできる一冊である。
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小学校社会科を中心とした授業の著者評。 それぞれの先生がいかに工夫した教材作り,教材研究,授業作りをしているかが紹介されている。 一方で,小学校は専科ではないのだろうから,他の科目はどうしているのか,どうつながりを持たせているのか,教科間で共通する授業の作り方やコツはあるのか,等...
小学校社会科を中心とした授業の著者評。 それぞれの先生がいかに工夫した教材作り,教材研究,授業作りをしているかが紹介されている。 一方で,小学校は専科ではないのだろうから,他の科目はどうしているのか,どうつながりを持たせているのか,教科間で共通する授業の作り方やコツはあるのか,等々,少し引いた目線での感想を持った。 細部も重要,その細部の積み上げから普遍的な理論は導かれるのか,それとも名人芸で終わるのか。
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