胡桃の中の世界 新装新版 の商品レビュー
1974年刊行のエッセイ集で、澁澤龍彦の著作の中では私が最も好きな作品。この本に出会ったおかげで、読書の楽しみの次元が一つ増えたように感じた。 著者のあとがきによれば、「エッセーを書く楽しみをみずから味わいつつ、自分の好みの領域を気ままに飛びまわって、好みの書物から好みのテーマ...
1974年刊行のエッセイ集で、澁澤龍彦の著作の中では私が最も好きな作品。この本に出会ったおかげで、読書の楽しみの次元が一つ増えたように感じた。 著者のあとがきによれば、「エッセーを書く楽しみをみずから味わいつつ、自分の好みの領域を気ままに飛びまわって、好みの書物から好みのテーマのみを拾いあつめるという、いわば贅沢きわまりない方法によって出来上がったのが本書であるから、ここには埃っぽい現実の風はまったく吹いていない。七〇年代以後の私のしごとの、新しい出発点になったのが本書であるような気もしている」。 目次: 石の夢/プラトン立体/螺旋について/『ポリフィルス狂恋夢』/幾何学とエロス/宇宙卵について/動物誌への愛/紋章について/ギリシャの独楽/怪物について/ユートピアとしての時計/東西庭園譚/胡桃の中の世界。
Posted by
再読のため内容のインデックスをもって感想とする。《》内は前後の章のテーマ的な繋がりを考えてみたもの。 ・「石の夢」 絵のある石-キルヒャー『地下世界』-石を愛玩する精神-鷲石と魚石 ↑ 《鉱物的精神》 ↓ ・「プラトン立体」 プラトン『ティマイオス』-ケプラーの宇宙モデル-錬金...
再読のため内容のインデックスをもって感想とする。《》内は前後の章のテーマ的な繋がりを考えてみたもの。 ・「石の夢」 絵のある石-キルヒャー『地下世界』-石を愛玩する精神-鷲石と魚石 ↑ 《鉱物的精神》 ↓ ・「プラトン立体」 プラトン『ティマイオス』-ケプラーの宇宙モデル-錬金術とプラトン立体-ユートピストの結晶好み-結晶学の進歩-理想美としての結晶 ↑ 《直線と曲線、クラシックとバロック》 ↓ ・「螺旋について」 『神曲』の円錐形宇宙-ピラネージ「牢獄」シリーズ-螺旋とバロック-「シンメトリーは死」-再生のシンボル蝸牛 ↑ 《迷宮》 ↓ ・「ポリュフィルス狂恋夢」 十五世紀ドミニコ会士がみた古代への夢-アニマの物語 ↑ 《ポルノグラフィーの空間設計》 ↓ ・「幾何学とエロス」 ルネサンスの幾何学的都市と祝祭-十八世紀のユートピア建築家ルドゥー-〈快楽の家〉-「環境が意識を決定する」 ↑ 《世界というオブジェ、オブジェとしての世界》 ↓ ・「宇宙卵について」 ピエロ・デラ・フランチェスカ「モンテフェルトロ家の祭壇画」-卵による宇宙発生の神話-卵は両性具有-石・海胆の殻・貝殻・心臓・臍・胡桃-錬金術の〈哲学の卵〉 ↑ 《卵から生まれ出づるもの》 ↓ ・「動物誌への愛」 中世西洋の博物学-象徴主義とアレゴリーの動物誌-フップ鳥-現代の動物誌 ↑ 《動物のシンボリズム》 ↓ ・「紋章について」 神秘主義の紋章学-アングロ・ノルマン朝の紋章学とジュネ-十六世紀フランスの詩形〈ブラゾン〉-「物体の形象化と形象の物体化」 ↑ 《非生産的幾何学物体》 ↓ ・「ギリシアの独楽」 〈農耕神デメテル〉対〈香料神アドニス〉-鳥になったイユンクスの神話-呪具としてのイユンクスとロンボス-カフカ『オドラデク』 ↑ 《ナンセンス》 ↓ ・「怪物について」 アンブロワーズ・パレとパラケルスス-パレの怪物誌-陸と海のアナロジー-宇宙の調和と事物の連続性 ↑ 《宇宙の調和》 ↓ ・「ユートピアとしての時計」 機械時計の発明-修道院とユートピア-サドの永久運動-時計好きと時計嫌い ↑ 《修道院=庭=ユートピア》 ↓ ・「東西庭園譚」 フランス式・イギリス式・中国式〈庭〉の違い-カスティリオーネの円明園-東西折衷の庭-円明園の略奪と火災 ↑ 《ミクロコスモス》 ↓ ・「胡桃の中の世界」 無限の世界が収まったミニアチュール-〈入れ子〉のテーマ-十七世紀の前世説-同心円上のプトレマイオス宇宙からコペルニクスの無限宇宙へ
Posted by
[ 内容 ] 石、多面体、螺旋、卵、紋章や時計に怪物…「入れ子」さながら、凝縮されたオブジェの中に現実とは異なるもうひとつの世界を見出そうとする試み。 さまざまなイメージ、多彩なエピソードを喚起しつつ、人類の結晶志向の系譜をたどるエッセイ集。 著者の一九七〇年代以降の、新しい出発...
[ 内容 ] 石、多面体、螺旋、卵、紋章や時計に怪物…「入れ子」さながら、凝縮されたオブジェの中に現実とは異なるもうひとつの世界を見出そうとする試み。 さまざまなイメージ、多彩なエピソードを喚起しつつ、人類の結晶志向の系譜をたどるエッセイ集。 著者の一九七〇年代以降の、新しい出発点にもなったイメージの博物誌。 [ 目次 ] 石の夢 プラトン立体 螺旋について 『ポリュフィルス狂恋夢』 幾何学とエロス 宇宙卵について 動物誌への愛 紋章について ギリシアの独楽 怪物について ユートピアとしての時計 東西庭園譚 胡桃の中の世界 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
Posted by
こちらの新しい版も持っていて……。どうも出先で、これしか「気分」ではなかったみたいです。あとがきが違います。内容は以前のものと同じです。
Posted by
祝・新装新版発売!大学の教授が『夢の宇宙誌』とともに絶賛していたのが、この本。石や螺旋階段・牢獄、時計や庭園といったものに対する、驚きつつも思わず納得してしまう切り口に、ページをめくるごとに惹きつけられていく。
Posted by
- 1