1,800円以上の注文で送料無料

ヒトラーとホロコースト の商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/08/29

 反ユダヤ主義やホロコーストを主要研究領域とする著者による、非常に網羅的で行き届いた視野から書かれたとても質の高い「概説書」にして「研究入門書」。(「」内は監訳者である相馬保夫氏による監訳者あとがきから)。  反ユダヤ主義のキリスト教世界に蔓延する前提から書き起こし、ヴァチカン(...

 反ユダヤ主義やホロコーストを主要研究領域とする著者による、非常に網羅的で行き届いた視野から書かれたとても質の高い「概説書」にして「研究入門書」。(「」内は監訳者である相馬保夫氏による監訳者あとがきから)。  反ユダヤ主義のキリスト教世界に蔓延する前提から書き起こし、ヴァチカン(ピウス11世の時代とピウス12世の時代にまたがる)のナチへの協力と沈黙、ドイツ以外の諸国におけるホロコーストへの積極的な協力とブルガリアやデンマークなど僅かなホロコーストへの抵抗、英米、連合国・連合国軍の冷淡な態度、終盤ではホロコーストにまつわる2大学説である「意図派」及び「機能派」の両方にも視座を広げその評価できる点と肯定できない点を端的に述べ、最終的にホロコーストは「キリスト教の反ユダヤ主義に端を発し近代ヨーロッパの啓蒙的要素や宗教的価値観、人道主義などを破壊し尽くした」ソ連の収容所と同一視できない(その点についても具体的に、ソ連の奴隸収容所は絶滅目的ではなかったし、黙示録的な闇の勢力として人間性を完全否認される場でもなかった、母親には労働休暇が与えられていたなど)、特異性を持つ歴史的惨事であることを明示しておりこの本を読みこなせれば殆どのホロコーストにまつわるいわゆる歴史修正主義(私は「歴史改ざん主義」と呼称したいのだが)に反論できる論拠を与える点においても抜群に優れた「概説書」「研究入門書」であるといえる。  過去に読んできた類似の本や書籍と比較すると芝健介著「ホロコースト ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌」、大澤武男著「ローマ教皇とナチス」、ラウル・ヒルバーグ著「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」あたりを融合してうまくまとめたような知見を得られる内容となっており、近現代ヨーロッパ史を最も悽惨に血で彩った第二次世界大戦とその渦中の混沌の中でのみ初めて可能となったホロコーストに興味がある日本人読者必読の書、と結論づけてよいだろう。推奨優良書籍認定。  

Posted byブクログ

2015/02/06

ドイツ人だけではホロコーストの遂行はできなかった。侵略した国の政府、人の支援があった。 ドイツ人とユダヤ人には共通点が多かったから近親憎悪で殺害したのだろう。 ユダヤ人はゲットーの中でも文化的な生活を求めようとした。これが大きな精神的な抵抗であった。 ウクライナは特にユダヤ人迫害...

ドイツ人だけではホロコーストの遂行はできなかった。侵略した国の政府、人の支援があった。 ドイツ人とユダヤ人には共通点が多かったから近親憎悪で殺害したのだろう。 ユダヤ人はゲットーの中でも文化的な生活を求めようとした。これが大きな精神的な抵抗であった。 ウクライナは特にユダヤ人迫害に協力した。 多くのウクライナ人が侵略者であるナチスをソ連共産主義とユダヤ人からの解放勢力だと歓迎した。 ブルガリアはユダヤ人を簡単には引き渡さなかった。 北欧もそうだった。一番ドイツ人に近い北欧でユダヤ人迫害はうまくいかなかった。 イタリア軍もユダヤ人には迫害を加えなかった。

Posted byブクログ