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柳生十兵衛七番勝負 の商品レビュー

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2012/03/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

初めての津本陽。 本格時代小説作家として、彼の世界観に浸れると期待していたのですが、そこは欲求不満が残ってしまいました。 小説というよりは、ある意味解説本。 柳生の歴史や技術などについて緻密な資料を元に丁寧に説明してくれる。 ふむふむ、と勉強した気分が70%。 武器や戦い方についてはとてもよく分かったのですが、残念ながら小説世界に浸れませんでした。 これはETVやね。というのが正直な読後感。 正確で親切・分かりやすい説明とそれを補完するミニ・ドラマ。高校シリーズと同じに見えました。 そう。十兵衛の活躍がコントに見えるのです。 斬る場面も無いしね。 彼の喋りも行動も理屈っぽくて、奔放磊落な十兵衛のイメージとはまったくかけ離れた新しい十兵衛。 そういう意味ではめちゃ、面白かったのではあります。 人中路、水月、無拍子、隅かけなど、柳生モノ時代小説に必須のキーワードをきちんと解説してくれるので、その筋の入門書としてはベストかも知れません。

Posted byブクログ