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盗聴 二・二六事件 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2017/01/21
  • ネタバレ

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ネタバレ 2007年刊。NHKのドキュメント「戒厳指令『交信ヲ傍受セヨ』二・二六事件秘録」放送後、新発見の「匂坂資料」(事件の軍法会議担当検事の保管資料)と関係者への新取材から新事実を発掘し、これを纏めた興味深い書。備忘録。①関係者への電話盗聴は特高警察の手で事件発生の1ヶ月以上前から行われていた。②ニセ北一輝による架電を根拠に軍法会議では北死刑の結論へ。この謀略は特高か陸軍による(ただ著者は陸軍説を否定的に)。③事件の2年前には陸軍内でクーデター発生を予期し、カウンタークーデターを周到に検討準備(片倉哀を軸)。 ④ソ連のスパイ、ゾルゲが独大使館にて、陸軍と独大使館員との対応協議の現場に居合わせた。⑤盗聴記録原盤の軍法会議への提出は見合わせ。盗聴を知られないため(このあたりは昨今の秘密保護法案の行方との関係でも示唆的。秘密の必要性に疑念は挟まないものの、指定と指定解除の恣意的運用の責任を誰が取るのか云々)。

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2012/11/23
  • ネタバレ

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偶然発見されたレコードの音声解明と、関係者探索のスリルは、ルポルタージュの王道。推理小説などよりずっと面白い。 ☓「首謀者=北」/〇「首謀者=マレーの虎」この推理が当たっていると日本近代史も見方が変わる。事件や人物の説明も丁寧なので教科書としてもわかりやすい。

Posted byブクログ

2016/03/19

著者は、ドキュメンタリー「戒厳指令『交信ヲ傍受セヨ』二・二六事件秘録」(1979年)、「二・二六事件 消された真実―陸軍軍法会議秘録」(1988年)をてがけた元NHKプロデューサー。本書は、その後の調査・取材を踏まえて成ったものである。 最大の焦点は、「2/29北→安藤」と記さ...

著者は、ドキュメンタリー「戒厳指令『交信ヲ傍受セヨ』二・二六事件秘録」(1979年)、「二・二六事件 消された真実―陸軍軍法会議秘録」(1988年)をてがけた元NHKプロデューサー。本書は、その後の調査・取材を踏まえて成ったものである。 最大の焦点は、「2/29北→安藤」と記された録音盤に残された通話が、本当に北一輝からかかってきたものかどうかだ。この傍受記録は北が安藤大尉(事件首謀者の一人)に資金提供を申し出たものとされるが、北は2/29の時点では既に逮捕されていたし、軽々しい言葉遣いが北に相応しくない。かくして著者は、この通話を憲兵隊が北の名を騙った偽電話であると断じ、偽電話の意図を次のように推測する。 「この電話は、事件後、裁判の証拠となる可能性をもある程度見越した上で、北一輝を反乱の首謀者に仕立て上げるための、謀略的な意図を秘めていたのである」 それでは、なぜ北を首謀者に仕立て上げる必要があったのか。著者は、蹶起部隊をめぐる軍内部の混乱を糊塗するため、北ら軍外部の「不逞の輩」に「純真な将校」が指嗾されたという構図を作出する必要があったと考える。軍法会議の強引な訴訟指揮を考慮すると、確かにその可能性も捨て切れない。しかし、事件直後の29日に早々と謀略電話をかけられるものか、判断に迷うところではある。

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2012/04/03

本書は紛れもなく、歴史モノのノンフィクションなのですが、偶然発掘した戒厳司令部の盗聴テープをつてに、事件の背後に潜む謎を解き明かそうとする過程が、よく出来た推理小説を読んでいるが如く、心に躍動感を覚え、楽しめました。

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2009/10/04

よく「変わっているね」と言われますが、幕末〜昭和の歴史に非常に興味があります。 というと、勘違いする方もいらっしゃるようですが、、、 たまたま二二六事件にふと好奇心を持ち、Youtubeで1979年にNHKで放送された 『戒厳指令「交信」ヲ傍受セヨ 二・二六事件秘録』を見た...

よく「変わっているね」と言われますが、幕末〜昭和の歴史に非常に興味があります。 というと、勘違いする方もいらっしゃるようですが、、、 たまたま二二六事件にふと好奇心を持ち、Youtubeで1979年にNHKで放送された 『戒厳指令「交信」ヲ傍受セヨ 二・二六事件秘録』を見たのがきっかけでした。 歴史の授業で触りだけ聞かされる「二・二六事件」ですが、これが大きく後の日本を変える ターニングポイントになっていた、ということは知りませんでした。 1979年に、NHKで発見された20枚にのぼるレコード。それにこの二・二六事件前後に関係者の 電話でのやり取りが盗聴された上に録音されていた、というところから事件の背景、そして事件の 真の首謀者は一体誰だったのか、というところまで、その当時生きていた関係者に取材をしたり、 開示された関連資料をもとに書かれた本です。 軍が政治や財閥を排除してしまうことになってしまった、そしてそこで「利用された」青年将校 たち。二・二六事件に関する本はたくさん出ているようですが、これは非常に分かりやすく 事実残った証人や資料を基に偏見少なくまとめられているのではないかと思いました。

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2011/06/18

件のドキュメンタリーが少し前にアーカイブスで再放送され、それを見ていたので興味があって読んだのだけれど・・・「登場人物一覧」のようなものがついてればもっと読みやすいのにな。

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2009/10/04

かつてNHKで放送された2/26事件の最中の電話傍受した録音盤についてのドキュメンタリーに携わった著者が、その後も関係者を追い続けてまとめた本。非常にいい本だと思うのは、すでに高齢となった関係者たちを丁寧に追い続けていること。この点はいかに後世の人が努力しようとしてもできない点で...

かつてNHKで放送された2/26事件の最中の電話傍受した録音盤についてのドキュメンタリーに携わった著者が、その後も関係者を追い続けてまとめた本。非常にいい本だと思うのは、すでに高齢となった関係者たちを丁寧に追い続けていること。この点はいかに後世の人が努力しようとしてもできない点であり、この時期に本としてまとめてくれたことに感謝。また謎の多い「陸軍大臣告示」についてもひとつの仮説を提示しており、この辺りも興味深い。関係する人名が大量に登場するので、予備知識がないとちょっとつらいかもしれませんが、この事件に関心のある人なら面白く読めると思います。

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