蜂の巣にキス の商品レビュー
過去の美少女殺人事件…
過去の美少女殺人事件の謎を追う作家の物語。いつものキャロルの作品とは少し違う印象を持った。
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サム・ベイヤーは作家だ。最近筆が進んでいない。そんな時に、書店でのサイン会でヴェロニカ・レイクという女性から名刺をもらった。ベイヤーのファンだという。金髪で豊かに波打つ髪が肩までたれ、肌は肌理が細かく輝くよう。ドキュメンタリー映画を作っているという。興味があればぜひ電話してきてくださいと言った。サイン会を終えて、家に戻ろうとしたとき、ふと故郷のニューヨーク州クレインズ・ヴューに帰ろと思った。故郷のレストランに入って、アルバイトの女子高校生から高校の噂を聞き、卒業アルバムも見せてもらった。あのころの友達が警察署長になっているという。フラニー・マケイブだ。そして、あの頃あった事件を題材に小説を書いたらどうかとアイデアが浮かんだ。サムが子供のころ、川で美人の高校生の死体を見つけたことがあったのだ。ポーリン・オストローヴァだ。誰が彼女を殺したかが分からない。その犯人捜しを小説にするのだ。それがサムの周りに影響を与えていく。キャロルのいつものダーク・ファンタジーぽさはないが、ヴェロニカの執念が怖い。
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ミステリーかな?「木でできた海」で主人公だったフラニー署長も出てきます。 スランプの小説家が故郷で昔遭遇した未解決事件を思い出し、それを調べ始める。 今まで読んだホラーファンタジーとはちょっと違ってわりと単純なミステリーでした。 ファンの彼女のヤバさが良かった。
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マニアックでアメリカンで、なんだか「ツイン・ピークス」を思い出した作品。 読むのに、なかなかエネルギーを費やす作品でした。
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登場人物と読者の希望や救いをことごとく叩き潰してきたジョナサン・キャロル――でもその世界には奇妙な魅力がある――にしては、救いがあると言ってもいいくらい。充分に変な人や変な出来事は続くが、読後感はそれほど悪くない。覚悟して読んだのに肩透かしをくらった。 しかし作中のある人物の台詞、「われわれは、パターンや理由、理解できる動機や怨恨を捜すことばかりに時間をかけるが、そんなことしてもむだなんですよ。ただ「そうである(本文では傍点つき)」ものも世の中にはあるんです。その不条理がわれわれを怯えさせる。なおも捜し続け、『理由がないわけがない!』と言い続ける。あいにく、いつもあるとは限りません。」に深く頷いた。つまり、キャロルの作品の真髄はそれなのだ。 ということで今回の作品もただ「そうである」ものとして受け止めるべきかと思うが。何故今までの本とこの本が違うのか理由を捜してしまうのが読者というもの。好きな作家とも違うし、読めばいつも落ち着かない気分にさせられるのに、どうして私はジョナサン・キャロルを(新刊にすぐ飛びついたりはしないけど)読むのかな。 ところで「囚人や女嫌いだけが妄想する行為」って何だろう。あれかあれだと思うけど。
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ダークファンタジーのジョナサン・キャロルの9年ぶりの新作。 作家である主人公が、自分の高校時代にあった殺人事件の本を書こうとする。すると周りでまた殺人事件がおこる。 ……ファンタジーかと思ってたら、普通のミステリーでした。 どーしたキャロル。やっぱり、今までの作品では...
ダークファンタジーのジョナサン・キャロルの9年ぶりの新作。 作家である主人公が、自分の高校時代にあった殺人事件の本を書こうとする。すると周りでまた殺人事件がおこる。 ……ファンタジーかと思ってたら、普通のミステリーでした。 どーしたキャロル。やっぱり、今までの作品ではマニアックすぎて売れないのか。でもって、お金が必要になったのか? と、勘ぐりたくなりました。 が、中身は、やっぱりキャロルだった。 なんてことない表現が、独特のキャロル節だし、展開や結末もキャロル以外にこういうもっていきかたをする人はいないだろうって。 にしても、キャロルってどっかいっちゃってる人描かせると上手いよなぁ。 ミステリー作家ジョナサン・キャロル。新作出たら買うから、出版社さまさくっと出してくだいませm(__)m
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スランプに陥った作家サム・ベイヤーは生まれて15年を過ごした町、クレインズ・ビューを訪れる。 ニューヨークから1時間の小さな町は平和で退屈な土地柄。 少年時代に、川でポーリンの遺体を発見した事件があったのを思い出し、そのことを再検証しながら作品にしようと思い立ったのだ。 同じ高校...
スランプに陥った作家サム・ベイヤーは生まれて15年を過ごした町、クレインズ・ビューを訪れる。 ニューヨークから1時間の小さな町は平和で退屈な土地柄。 少年時代に、川でポーリンの遺体を発見した事件があったのを思い出し、そのことを再検証しながら作品にしようと思い立ったのだ。 同じ高校の卒業生だった娘ポーリンは、優秀だが大胆で個性的に過ぎ、複数の男性との関係もあって、蜂の巣とあだ名されていた。 主人公は3度の結婚に失敗しているが、一人娘のキャスとはいい関係で、BFが出来たのは悩ましいがこれも好感の持てる男。 サイン会であったファンの美女ヴェロニカに迫られ、何度か快適な日を過ごすが、しだいに重くなる…彼女にはとんでもない過去があったのだ。 故郷の町では、名うての不良だったフラニーがなんと警察署長に。 リーダーシップが変わらないが、ベトナムでの経験から更正したのだった。 亡くなったポーリンの妹マグダと今はいい関係にあるらしい。 30年前の事件の捜査と、スランプの作家、若い娘、今も事件の陰を引きずる人々、そして異様に尽くしてくれる美女が絡みあう… 幻想文学の鬼才であるこの作者にしては、純粋なミステリというのが不思議だが、ラストシーンへ持って行く語り口の妙はキャロルならでは。 1998年の作品、2006年翻訳発行。キャロルの作品として9年ぶりの翻訳だったらしい。後書きは豊崎由美。
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スランプに陥ったベストセラー作家サム・ベイヤーは、フラリと生まれ故郷に帰ってきた。懐かしい町でポーリーンのことを思い出す。30年前、自分が見つけた美しい水死体のことを。 キャロルは、作家を主人公にした物語がうまい。作家であることが必要不可欠なストーリー。キャロル自身が作品を生み出...
スランプに陥ったベストセラー作家サム・ベイヤーは、フラリと生まれ故郷に帰ってきた。懐かしい町でポーリーンのことを思い出す。30年前、自分が見つけた美しい水死体のことを。 キャロルは、作家を主人公にした物語がうまい。作家であることが必要不可欠なストーリー。キャロル自身が作品を生み出すときに感じているであろうことも垣間見える。昔の事件を調べて本にする、という単純な話だったはずが、じわじわと不吉なことに取り巻かれていく恐怖。全ての登場人物が過去のことを悔いており、しかも見かけ通りではない本質を隠している。誰を信じればいいのか? ダークファンタジーの名手キャロルによるミステリー。いつものゾクゾクする怖さはないものの、良くできていると思う。でもやっぱり、ファンタジーならよかったのになあ、と思ってしまった。
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ジョナサン・キャロル久々の新刊。 期待が大きすぎたので、終わりに近づくにつれ「このままアッサリ終わる気…?」と無駄にドキドキ。 短編集の『パニックの手』のほうが、往年の雰囲気が残っている感じ。
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