ルイズが正子であった頃 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フランス人を父に、日本人を母に持ち、9人兄弟の長女として生まれた筆者ルイズの物語風ドキュメンタリーだった。 ルイズさんのお母さんは、九州から中国に渡り、子守をして生計を立て、映画会社に勤めるフランスから出張していたお父さんと出会った。 そのような文化的に多様な環境で、ベトナム、中国、日本と様々な都市・国々を回ったルイズさんの子ども時代は、大変刺激に満ちたもので、幼少時の記憶が、生き生きと、前向きなルイズさん自身の発想を持って描かれていた。 戦前、戦中、戦後の激動期を、それぞれ仏領サイゴン、九州長崎、横浜等を転々と暮らした生活ぶりは、日本の軍国化の影響、日本の都市と田舎の生活の違い、また「相の子/ハーフ」であることの周りの捉え方、自身や兄弟のそれに対するメンタリティや身の処し方等が細かく描かれていて、大変興味深い。 何よりも印象に残ったのは、ルイズさんの明るく前向きな生き方だった。 どんなに嫌で暗い状況でも、機転を利かし、家族のことや周りの人のことを思い、暗い思い出としてではなく、人生のワンステップとして捉えている書き方が、読み手を惹き付ける魅力になっていると思った。
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