“命・心"を考えさせる授業プラン(3) の商品レビュー
◆自作教材を使った実践、何が同じで何が違うか TOSS道徳シリーズ第3巻。浅野秀之氏は言う。 <「心の教育」であるなら、子どもの認識を変えるとともに、行動も変えるようでありたい。現在の自分の生活をどうしていくか、と考えさせる授業にしたい。> 確かにそうである。しかし、この理念...
◆自作教材を使った実践、何が同じで何が違うか TOSS道徳シリーズ第3巻。浅野秀之氏は言う。 <「心の教育」であるなら、子どもの認識を変えるとともに、行動も変えるようでありたい。現在の自分の生活をどうしていくか、と考えさせる授業にしたい。> 確かにそうである。しかし、この理念は首肯できるとしても、どうすればこのような授業になるのかは示されていない。読み取ろうとすれば、アマラとカマラの授業の最後に、「もしこの近くで狼に育てられた子どもがいると分かったら、どうしますか」と行動を問うている点にあると読める。 これまで自分が学んできたことは、道徳の授業では行動の「もと」となる子どもの道徳性を育み、道徳の時間だけでは子どもの心は育たないから、事後の学びの場を設定するということであった。こちらの方が腑に落ちる。しかし氏の「行動を問う」という点は示唆に富むと思う。 ところで、TOSS道徳の実践に覚える違和の正体とは何だろうか。それは今のところ、第1巻レビューに書いた、「教師によるコンテンツの提示に比重が置かれ、子ども同士の対話は希薄である。子どもの意見は、いわば次の指導言や教材提示の間に置かれた飛び石、授業であることを証明する演出の一端でしかなく、ネタ中心の授業であることは否めない。」という点にあると考えている。ここでは、矢印を自分の実践に向けることが大切だ。果たして、自分の授業では子どもの発言が生きる展開になっているだろうか。 このことに気付かせてくれたという意味で、このTOSS道徳シリーズを読んだ価値は大きい。
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