夜の旅その他の旅 の商品レビュー
ミステリーゾーンやヒッチコック劇場のTV脚本を書き、小説ではジョンコリアやロアルドダールと並び称されたボーモントの短編集。才能ある若きピアニストをバンドに迎えた。彼は女の子に恋をした。すると「人生の敗残者にならなけりゃジャズは演奏できない」「実生活が駄目になればなるほど、音楽のほ...
ミステリーゾーンやヒッチコック劇場のTV脚本を書き、小説ではジョンコリアやロアルドダールと並び称されたボーモントの短編集。才能ある若きピアニストをバンドに迎えた。彼は女の子に恋をした。すると「人生の敗残者にならなけりゃジャズは演奏できない」「実生活が駄目になればなるほど、音楽のほうはますますよくなる」と考えるボスがバンドのためにやってしまう「夜の旅」。最後の1行が物哀しい。
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古い本を読み返していたら刊行案内が目についたので購入。 このシリーズはスタージョン『一角獣・多角獣』 エリン『特別料理』に続き三冊目。 小説以外にもテレビドラマの脚本などで活躍したが、 38歳の若さで病没した「生き急いだ才能」= ボーモントの短編集……ということで、 若書きの破天...
古い本を読み返していたら刊行案内が目についたので購入。 このシリーズはスタージョン『一角獣・多角獣』 エリン『特別料理』に続き三冊目。 小説以外にもテレビドラマの脚本などで活躍したが、 38歳の若さで病没した「生き急いだ才能」= ボーモントの短編集……ということで、 若書きの破天荒な内容を期待していたのだが、 ブラックユーモアあり、 ファンタジックな雰囲気もありつつ、 意外に端正な作品集、全15編。 以下、特に印象深い作品について。 「越して来た夫婦(The New People)」 理想の家を求め、事故物件と承知で引っ越してきた一家は 近所の人々と親しく付き合おうとするが、 彼らのグループ活動は常軌を逸していて……。 これはえげつない怖さ(笑)。 「鹿狩り(buck fever)」 会社の幹部と鹿狩りに出かけた若い社員は、 手柄を立てて出世の糸口を掴む気だったが……。 原題の意味は狩猟の初心者が「テンパる」こと。 本文中にわざわざ 「アバクロンビイ・アンド・フィッチの狩猟服」(p.88) と、ブランド名が明記されているが、 マッチョなイメージを醸す企業名を出して、 狩りに慣れた登場人物を、優しくて臆病な主人公と対比させ、 揶揄する意図があったのだろうか。 ちなみに、アバクロは1892年創業、ロゴマークはヘラジカ。 「夢と偶然と(perchance to dream)」 原題はシェイクスピア『ハムレット』の一節で 「恐らく夢を見る」の意。 悪夢に苛まれる苦痛を避けたければ 眠らずにいるしかない、という男が 精神科医に胸の内を語るのだが、 原題を含む『ハムレット』の一節を参照すると 怖さがじわじわ増幅する。 「夜の旅(Night Ride)」 天才的なピアニストを新メンバーに加えてブレイクした ジャズバンド。 だが、彼が恋に落ちたとき、リーダーが取った行動は……。 曰く「人生の敗残者でなければ、いいジャズは演奏できない」 のだそうな。 生と死とジャズ。 どことなくブロマンス臭の漂う、 私好みの物悲しいお話でした。
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話としての完成度が高い。読みやすさは異色短編で群を抜いている 短いページ数ながらも心情描写が巧みなために、一話一話印象に残る アイディアも面白い、正統派異色 1.黄色い金管楽器の調べ いきなり一筋縄ではいかない話。人生色々。自分の幸せを選びとっていく 2.古典的な事件 ...
話としての完成度が高い。読みやすさは異色短編で群を抜いている 短いページ数ながらも心情描写が巧みなために、一話一話印象に残る アイディアも面白い、正統派異色 1.黄色い金管楽器の調べ いきなり一筋縄ではいかない話。人生色々。自分の幸せを選びとっていく 2.古典的な事件 幸せとの出会いのきっかけは色々。自分の幸せの形を選びとっていく 3.越してきた夫婦 小人閑居にして不善をなす 4.鹿狩り 結果は同じで過程が違うと未来が違う 5.魔術師 結局なにも分かってなかった 6.お父さん、なつかしいお父さん 軽い話。落ちも読める。 7.夢と偶然と 既読感があった 8.淑女のための唄 イギリスとアメリカ、老いと若いと。落ちは読めるが、それでも読ませる筆力がある 9.引き金 過去の過ちというのがこの作家のテーマのひとつなんだろう。過去の過ちは死に至る病 10.かりそめの客 馬鹿話。9×17は?で笑った 11.性愛教授 珍しく若者が老人を喰う 12.人里離れた死 老いと若いの。若者の未来を喰らって老いは生きつなぐ 13.隣人たち いい話。人間観察の鋭さが文章の中に散見 14.叫ぶ男 ヒトラー好きだね 15.夜の旅 失敗が人を味わい深くさせる。 若者が老人に喰われる話が多い。
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「異色作家短篇集」はぜんぶ欲しいと思っているが新書サイズくらいの版の方で集めているのでなかなか揃わない。いま半分くらいだろうか。 このボーモントの選集は読みたいのでとりあえず現在の版でもいいかと思っているところ。
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ボーモントの短編はどこか視線があたたかい。それでいてアイディアやバラエティの富み方は開けてみるまでわからない箱のよう。
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平凡な何気ない日常から、小さな芽が出て、育ち、色鮮やかな花が咲く。 悪夢という名の大輪が…。手品師のごとき手腕で紡ぎ出す、不思議な 不思議な物語全15編を収録。
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