アドルフ の商品レビュー
結果としての恋愛関係ではなく恋をする事を目的に関係を始め、相手の女性が本気になればそれが疎ましくなり、それなのに言い訳をして別れず、挙げ句、少しも自己反省のない自分大好きな若者が苦しむ物語。表面だけをさらうと、そうなるかもしれません。腹立たしい主人公ですが、相手を見ようとしない恋...
結果としての恋愛関係ではなく恋をする事を目的に関係を始め、相手の女性が本気になればそれが疎ましくなり、それなのに言い訳をして別れず、挙げ句、少しも自己反省のない自分大好きな若者が苦しむ物語。表面だけをさらうと、そうなるかもしれません。腹立たしい主人公ですが、相手を見ようとしない恋愛を経験した方であれば、克明に綴られる彼の心理に過去の自分との重なりを見つけ、投げ出したくなるかもしれません。ですが最後まで読むと、ああ、そういう狙いだったのか。と気付かされます。深読みすればするほど、強く心に残る作品でしょう。
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私は予備知識なく本を読むので、コンスタンという人が200年も前の人だというのも知らなかった。 貴族の存在するヨーロッパが舞台で、口調もその頃の礼儀正しいもので、私はそういうのが好きだから読んでいて心地良かった。 それにしても男女間の愛についてというのは年代時代を問わないも...
私は予備知識なく本を読むので、コンスタンという人が200年も前の人だというのも知らなかった。 貴族の存在するヨーロッパが舞台で、口調もその頃の礼儀正しいもので、私はそういうのが好きだから読んでいて心地良かった。 それにしても男女間の愛についてというのは年代時代を問わないものである。1800年代に書かれたものを2012年に読んでも何ら差し障りが無い。 この小説はコンスタン自身のことらしいが、ぐちぐちとしたずるずると別れを切り出せない男の話と言ってしまう人もいるかも知れないが、私は始めから終わりまで共感できた。 ぐちぐちずるずる、というのはリアルだ。ふつう小説はきれいごとが多い。でもこの『アドルフ』はぐちぐちずるずる迷ってコロコロと気持ちが変わって煮え切らない。 コンスタン自身作品の中でこう書いている。 ”人の感情というものは、とりとめのない複雑なものである。それは観察しにくい種々雑多な印象から成り立っているので、あまりに粗雑であまりに一般的である言葉は、それらの感情を指示するには役立っても、決して定義するには役立たない。(p26)” ”およそ人間には完全な統一というものはないので、ほとんど決して、なんびとも全く真剣であることもなければ、さりとて全く不誠実であることもない。(p34)” 私もそう思う。これらの文章のように、そう!その通り!と共感するところが本当に多かった。 愛情という感情はよくわからないものだとだと思う。 あるようなないようなと揺れ動いてし駆るべきものだと思う。 失って気付くこともある。後悔することもある。何が正しくて何が間違っているのかが決まっていない。 作中の女性のように、本当に愛するというものに出会えたとき、生命をかけて何もかもを抛ってしまうというのもとてもよく分かる。 だからといって、その女性の肩を持つというのではない。コンスタンの立場、この女性を捨てようとして捨てきれずにいる男の気持ちもよく分かる。 この小説は人間の感情のみに焦点を当てたもので、風景の描写がほとんど無い。徹頭徹尾気持ちだけが書かれている。それだからこの小説はおもしろいんだと思う。小説の長さが短いのも効いてると思う。 私は結構好きだった。また読み返してもいいなと思う。
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美しい文で、人間の弱さを鋭く描く。訳者の言う通りブランデスの言う、「いわば恋愛の全閲歴を叙述している、」本に違いない。誰がアドルフの罪を、エレノールの罪を責めることができようか。 人間の恋、利己主義、弱さはそういったものである。
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外国特有の大袈裟な表現。 男の身勝手な恋心が描かれていて、 私は読んでいて釈然としませんでした。 たしかに、 男の恋心の変容には納得します。 女の恋心の煩わしさにも納得します。 けれど、 男の優柔不断ともいうべき曖昧さには呆れてしまいます。 優しさではなく、 自己保身のための計ら...
外国特有の大袈裟な表現。 男の身勝手な恋心が描かれていて、 私は読んでいて釈然としませんでした。 たしかに、 男の恋心の変容には納得します。 女の恋心の煩わしさにも納得します。 けれど、 男の優柔不断ともいうべき曖昧さには呆れてしまいます。 優しさではなく、 自己保身のための計らいは、残酷です。 いつの時代にも横たわる幼き心を描いた作品です。 興味がありましたら、ページ数は少ないので、 読んでみてください。
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中村航さんの『100回泣くこと』の後に読んだのですが、同じ「恋愛小説」でもここまでタイプが違うのか!と思わずため息をついてしまいました。おそらく、こういうタイプの本が嫌いな人にとっては読んでも嫌気がさすだけでまったく面白くないかもしれません。僕個人としては共感できるところもある(...
中村航さんの『100回泣くこと』の後に読んだのですが、同じ「恋愛小説」でもここまでタイプが違うのか!と思わずため息をついてしまいました。おそらく、こういうタイプの本が嫌いな人にとっては読んでも嫌気がさすだけでまったく面白くないかもしれません。僕個人としては共感できるところもある(なんてことを言ってしまうと、あとあと窮地に追い込まれてしまう気もしますが…)ので、なかなか読みごたえのある本だな…と思って読むことができましたが。 (続きはまた後日書きます)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ダメ男の代名詞とも言えるアドルフの駄目っぷりが素晴らしい。どうダメなのかは、読んで堪能(?)してほしい。中編程度の長さだから読みやすい。ダメ男のひとりとしては親近感を覚える。 しかし、エレノールはこんな男のどこが良かったんだろうね?不思議だ。
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