ちょっとまじめな日本史Q&A(上) の商品レビュー
以前レビューを書きました『ちょっとまじめな日本史Q&A』の上巻で、原始古代・中世を取り扱っています。 この本も勤務校の10分間読書で読んでましたので読み終わるのに時間がかかりましたが、日本史は古代から近世にかけては何度も授業をしているにもかかわらず新たな発見がいろいろとありました...
以前レビューを書きました『ちょっとまじめな日本史Q&A』の上巻で、原始古代・中世を取り扱っています。 この本も勤務校の10分間読書で読んでましたので読み終わるのに時間がかかりましたが、日本史は古代から近世にかけては何度も授業をしているにもかかわらず新たな発見がいろいろとありました。例えば“摂津職”、律令官制でヤマト政権の海の玄関口である摂津の政治をつかさどるというのは当然の知識ですが、私は何の疑いもなく五畿(摂津、河内、和泉、山城(背)、大和)と並行しておかれていると思っていました。つまり摂津職と摂津国は同時に置かれていると何の疑いも持っていませんでした。摂津国が置かれてその中でとくに港周辺の行政を司っているのかな・・・など、調べもせずかってに思いこんでいて、8世紀半ばに摂津職が摂津国になったというのを本書で知りました。 あと源平合戦における養和の飢饉の影響(平氏の勢力圏である西国が飢饉に見まわれ、逆に源氏の勢力圏である東国が豊作であったことから、源平の勝敗を分ける一因となったこと)、承久の乱に反対であった土御門上皇が後鳥羽上皇たちとともに流罪となった理由、「火蓋をきる」の語源なども知ることができました。 また、紫式部や清少納言の「式部」や「少納言」が役職名であることは誰でも知っていることですが、何で女性である彼女らに付けられているのかずっと疑問に思いながら放置してました。これは(考えてみれば当たり前でしたが)父や夫の役職なんですね。 本書を読みまして、自分がどれだけ教材研究をさぼっていたのかを痛感しました。疑問に思ったことはすぐその場で調べなければ行けないのに、教科書に載っていないから、用語集にそこまで解説がなされていないからとそのままにしておいて、結局授業で説明できないのでは話になりません。本書は私のような日本史門外漢の人たちが混乱しやすい古代の土地制度や税制なども整理されており、大変有意義な本です。
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