翳りゆく時間 の商品レビュー
【2006.10.23.Mon】 皆がそれぞれ秘めた想いを持ち、それがほの暗い時間の経過と共に昇華してゆく。この7作品に流れているのは日常だけである。しかし、その日常の中に溢れる思いは数え切れないほどある。そして同じものなどひとつもない。人が人であるがゆえに感じることの出来る孤独...
【2006.10.23.Mon】 皆がそれぞれ秘めた想いを持ち、それがほの暗い時間の経過と共に昇華してゆく。この7作品に流れているのは日常だけである。しかし、その日常の中に溢れる思いは数え切れないほどある。そして同じものなどひとつもない。人が人であるがゆえに感じることの出来る孤独感、悲しみ、憂鬱。それらは決してマイナス要素ばかりを持っているわけではない。時はどうしても移ろう。たとえ、人によって違う流れ方をしていようとも、全く同じ分だけの時が過ぎているのだ。あとがきで浅田次郎はこう述べている。「いわゆる五感――視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚と呼ばれる肉体的感覚の衰えは怖い」と。私たちが時の流れを甘くも温かくも感じられるのは五感のおかげなのだ。体全体で時間を感じ、次にそれが感情になり私たちの体を包み込んでゆくのだ。
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それぞれ違う作家さんの作品からなる、7編の短編集。どれもこれも不思議な空気を纏っています。北方謙三さんの「煙草」は、モロッコの乾いた大地と過去、煙草と男たちの会話が絶妙で、一番好きです。江國香織さんの「りんご追分」の、えもいわれぬ物悲しいラストもよかったです。こういった短編集は、...
それぞれ違う作家さんの作品からなる、7編の短編集。どれもこれも不思議な空気を纏っています。北方謙三さんの「煙草」は、モロッコの乾いた大地と過去、煙草と男たちの会話が絶妙で、一番好きです。江國香織さんの「りんご追分」の、えもいわれぬ物悲しいラストもよかったです。こういった短編集は、読んだことない作家さんの作品がちょっとだけ味わえるのがいいですね。北方謙三さんと浅田次郎の作品は、他にまだ読んだことがないので、今度是非読んでみたいです。
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