黎明に叛くもの の商品レビュー
松永久秀のかわいいことかわいいこと。 傀儡・果心との掛け合いや、兄・庄五郎への親愛、信長への憎しみと嫉妬。 外道の術を扱い、節々で人外らしい評価を得ているのに、その実、誰よりも人間臭い感情を秘めているその葛藤ぶりには、ときめかずにはいられない。 あの時代、既存概念をひっくり返した...
松永久秀のかわいいことかわいいこと。 傀儡・果心との掛け合いや、兄・庄五郎への親愛、信長への憎しみと嫉妬。 外道の術を扱い、節々で人外らしい評価を得ているのに、その実、誰よりも人間臭い感情を秘めているその葛藤ぶりには、ときめかずにはいられない。 あの時代、既存概念をひっくり返したという意味では誰にも劣らないのに、どちらかといえば織田信長という傑物に掻き消されがちな松永久秀と斉藤道三が、こんな形で描かれるなんて、夢にも思わなかった。 しかし、強い光に隠されがちな星が必死に日輪に抗おうとしている傍ら、微塵も己を「日輪か星か」など疑うこともない信長は、本当に、生まれながらの日輪らしい。 そうなると、たとえ最盛期の霜台であっても、「己は日輪である(あるいは日輪たり得たい)」という発想に至ってしまっていた時点で、明けの明星だったのかもしれないと思うと、冒頭から何とも切ない話だ。
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松永久秀主人公の伝奇小説。脇役として斎藤道三、果心(居士)、明智光秀、織田信長が多く出てくる。 特に道三は久秀の兄弟子という設定で、久秀にとっては大事な存在になっている。子供時分に久秀と天下を二分しようと約束し、互いの道を行くようになる。 また光秀も光秀を通しての久秀、道三を見せてくれる役割としてよく出てくる。 率直に面白かった。続きが気になり、飽きることなくどんどん読んでいけた。 純粋な歴史小説ではないので、そのつもりで買うと想像していたものと違うということにもなるかもしれない。もう少し言うと、久秀や久秀周囲の人間の名前と状況を利用した創作物語と言った所。歴史小説ではなく、創作小説に近い。内容も幻術のようなものが出てきたり傀儡(果心)が自我を持っていたりと、歴史物に比べるとエンターテイメント性が強め。 一貫して人物個人を追う形になっており、戦や政治等の大局は潔く省略されている。その為三好の家中でのし上がる様子や三好その他とのごたごたはほとんど描かれていない。基本的に描写範囲は広くなく、久秀と道三なり信長なりの個人同士を描いている部分が多い。こういう部分が歴史物ではないと前置きしたくなる理由の一つかと思う。 例えば作中でよく久秀の評判が悪いだとか極悪人だとか噂されていると出てくるのだが、そこまでのことをしただろうかとスケールの違いで違和感を覚えることがある。 それでも読み物としてはとても面白い。登場人物にも愛着が持てる。久秀に興味があり、創作伝奇が前提の歴史ものと割り切りって読むなら楽しめると思う。 この小説の久秀は一般的なイメージの腹黒で非道な人物には書かれておらず、作中で道三が何度も言うように「かわゆい」。年を取ってもかわゆい。兄弟子である道三と仲が良く、二人のじゃれあうようなやり取りが印象的だった。 道三との天下二分の約束は言ってしまえば子供の約束で、天下取りもまるでどこか遊びのような感覚で行われている。その為か暗殺、将軍殺し、大仏殿焼き討ちは実行するものの策謀渦巻く黒さはなく、どちらかというとさっぱりと描かれていたのが新鮮だった。 大体分量の半分手前で織田信長が上洛してくるのだが、そこからはそれまでの上り調子の展開から一転、久秀の年齢もありどこか冷えたゆっくりめの展開になっていく。内容的にもここから失速気味になったが、それでも続きを追いたくなる展開が続いた。 後半は久秀自身の徐々に失っていくい人生が作中の雰囲気と合わせとにかく物寂しく、 個人的にはその空気が非常に好きだった。 物語が光秀で締められるのが個人的には少し勿体無く感じた。ここはやはり久秀で締めてほしかったかもしれない。
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松永久秀主役の時代物作品。フィクションの要素が高めですが、後の反逆者となる明智光秀との交流も描かれている、興味深い作品であります。私の創作にもかなり影響を与えているかと。描写も凄まじくて何度読んでも読み切れない感覚に悶えながらも奮闘中です。癖になる一作です。
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松永久秀、斎藤道三、明智光秀あたりが中心の小説。三好主従や道三と久秀の国盗り時代などいろんな意味でぶっとんでて悶える。平蜘蛛や果心などの設定もとりあえずぶっとんでる。歴史ファンタジー系かも
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果心居士という日本史のなかで特異な人物と松永久秀、斉藤道三を「破山の法」をキーワードに結びつけているあたりは、史料の読み込みが凄まじく。その圧倒的な知識量に頭が下がる。 歴史物でありながら、ファンタジーの要素があり、著者自身が巻末で語っているが、司馬遼太郎「国盗り物語」のオマ...
果心居士という日本史のなかで特異な人物と松永久秀、斉藤道三を「破山の法」をキーワードに結びつけているあたりは、史料の読み込みが凄まじく。その圧倒的な知識量に頭が下がる。 歴史物でありながら、ファンタジーの要素があり、著者自身が巻末で語っているが、司馬遼太郎「国盗り物語」のオマージュ的作品。 扱っている内容自体は難解なものながら、文体はわかりやすくされており、時代物だけでなくファンタジー作品が好きな人にも読んで貰いたい作品。
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魔性の果心居士・松永久秀。翻弄される?光秀、信玄、謙信。そして日輪たる信長。 久秀と斎藤道三、光秀と帰蝶の関係がたまらない。
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なんとなく歴史ものかな、と手にとってみてびっくり。伝奇小説だった。これでもか!というくらい妖しげで、新鮮で面白かった。
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