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水の家族 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2012/12/10

水の家族、というタイトルからわたしが想像したのは家族小説だった。 読んでみると、なるほど、家族小説ではあるけれど、 そして家族小説のようにいろいろな家族にとっての大きな事件があるけれど、 ちょっと普通とはちがう。 竹林で水色のノートにつっぷして野たれ死んだ男の魂が、 水と調和し...

水の家族、というタイトルからわたしが想像したのは家族小説だった。 読んでみると、なるほど、家族小説ではあるけれど、 そして家族小説のようにいろいろな家族にとっての大きな事件があるけれど、 ちょっと普通とはちがう。 竹林で水色のノートにつっぷして野たれ死んだ男の魂が、 水と調和し、水蒸気とともに舞い上がり、 自分の町と家族をみつめる。 死者の魂からは怨念やうらみつらみはない。 ただ詩的に、つまらなく感じるギリギリの線を小説として作り上げて 話をつなげているような感じ。 猟奇的な殺人事件の描写よりも、 小説全体がずっと長く心にのこる。

Posted byブクログ

2012/05/27

映像や音楽では引き出せない、言葉だからこそ引き出せる情景を、著者は美しく描いてみせる。読んでいて心地よい。話も読みやすくまとまっている。完成度が高い。読後、『水の家族』というタイトルに納得。主人公の魂が田舎町・川・海・山を浮遊する感じや、作品全体が一つの詩となっている感じなどが、...

映像や音楽では引き出せない、言葉だからこそ引き出せる情景を、著者は美しく描いてみせる。読んでいて心地よい。話も読みやすくまとまっている。完成度が高い。読後、『水の家族』というタイトルに納得。主人公の魂が田舎町・川・海・山を浮遊する感じや、作品全体が一つの詩となっている感じなどが、折口信夫の『死者の書』に似ていると思った。

Posted byブクログ

2009/10/14

おそらくは丸山健二の最高傑作だろう。 廃屋で野たれ死にし霊となったひとでなしのわたしの、万物を見渡す鮮烈な視線。同時代に評価が低いのはしょうがないのかなあ?

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2009/10/04

どこかで勧められていたので(後で、三浦しをんも勧めていたことを発見、さすが!)。確かに凄い…。小説の力を思い知らされました。全ての「一文」が、本質をえぐりつつ詩的に美しい(ちょっと修飾過剰な気もするけど)。「死んでよかった私がここにいる」とか。グリッサンに似ているかな。 しかし...

どこかで勧められていたので(後で、三浦しをんも勧めていたことを発見、さすが!)。確かに凄い…。小説の力を思い知らされました。全ての「一文」が、本質をえぐりつつ詩的に美しい(ちょっと修飾過剰な気もするけど)。「死んでよかった私がここにいる」とか。グリッサンに似ているかな。 しかし、物語の一文一文をこれだけ凄いものにしつつ、全体的な調和の取れた一冊の本にするためには、どれだけ推敲を重ねたのだろうか…。目眩がする…。自分は物書きにはなれないなあ。

Posted byブクログ