近代民主主義とその展望 の商品レビュー
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自由と平等が民主主義の原理的要求であり矛盾無く両立するという解説が興味深い(博愛は仲介物ではなく、その原理から別途導き出される) 現代の民主主義が持つ機構はそれ以外の政体から引き継いだとする指摘も鋭い。 人民の武装と軍備に対する見解も一考に価する。 ただ、それらを凌いで、現代の民主主義の問題点の析出は、目下の日本を見るのに欠かせない視点。 ただ中国革命、特に毛沢東への一面的な評価は今になると陳腐。
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非常に平易な語り口で書かれている。民主主義の歴史や理論についてわかりやすく書かれている印象を受けた。個人的には歴史のところが簡潔にまとまっている点に好感が持てた。
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あとがきに書いてあるのだが、近代民主主義とその展望という標題の意味について、展望とはこれからのPRSPECTというよりは、むしろそれを得るために近代民主主義を一つのPERSPECTIVEの中において見た、としている。 そして、終章のなかで、展望を開こうとするなら、必要なのは現在...
あとがきに書いてあるのだが、近代民主主義とその展望という標題の意味について、展望とはこれからのPRSPECTというよりは、むしろそれを得るために近代民主主義を一つのPERSPECTIVEの中において見た、としている。 そして、終章のなかで、展望を開こうとするなら、必要なのは現在ある状況を固定して、その立場から打開の道を求めることでなく、一旦はもとに戻って、起源から現在までの全体を見直し、一つの歴史的な展望の中で、問題を考え直すことだろうと思います、としている。 そういうことで、ギリシャ時代から遡り、フランス、英国、ドイツ、アメリカなどの民主主義の歴史がよく理解でき、所謂民主主義という制度に身を置く現代人一人ひとりが主役となり政治のことに真摯にチャレンジしていかなくてはならないと痛感した。
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民主主義の発展を歴史的、理論的な視点から解説した本。 元々democracy(民主主義、民主制)という言葉に肯定的な意味はなかった。アテネが民主制をとったポリス時代のギリシアはポリス同士の対立を解消できず、国際秩序の維持に失敗した。 近世の革命を経て作られた近代民主主義の必然的要素は貴族制的、身分制度的部分であった。それは当時有産階級が、自分たちの自由権を擁護する目的で革命を起こしたことや、制限選挙が普通であったことからも明らかである。イギリスに至っては、今でも世襲の貴族制が残っている。 よって、近代民主主義は産業革命やチャーティスト運動による労働者の進展を通じての選挙法改正などの影響で一般人も参政権を持つ大衆民主主義に移行したと見るのが正確と言える。 全体的な難易度はかなり手強い。歴史についても理論についても、初めて知るような事ばかり。ですが勉強になった。 最後に、この本の末尾の言葉を引用する。 最後に申しそえたいことがございます。民主主義は、それがどんなに良い言葉になったとしても、人間のすべての問題を片づけてくれる万能薬ではありません。民主主義は、それがどんなに立派に制度化されたとしても、それによって必ずしも人間が豊かな生活を送れるということを約束するものではありません。それどころか、民主主義はまさにそれが民主主義であるがゆえに、そもそもそれが制度として機能するためには、この社会をつくっている一人一人の人間の資質を厳しく問い、一人一人の人間に対して、公共のために大きな献身と負担とを要求する、そういう体制に他なりません。 ただ、この民主主義に根本的な一つの特徴、ほかに求めがたい長所があるとすれば、それのみが、人間が政治生活を営むうえに、人間の尊厳と両立するという一点であります。このことを忘れて民主主義を論ずることは、すべて無意味なことであると私は思います。(同書207-208頁) 我々は民主主義を通して、我々自身を試されている。
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[ 内容 ] 民主主義という言葉はかつての輝きを失なってしまった感が強い。 しかしそれは、体制の違いを問わず最高の価値を付与されていることに変わりはない。 本書は、近代民主主義の歴史を克明に辿りつつ、その理想と現実との対抗関係を明確にし、さらに現代政治を構成する原理としての民主主義を浮き彫りにして、新たな展望を拓く。 [ 目次 ] 序章 現代史のなかの民主主義(期待と幻滅/ワイマールの悲劇 ほか) 第1章 民主主義の歴史(前史としての古典古代/革命の炎 ほか) 第2章 民主主義の理論(民主主義の価値原理/民主主義の機構原理 ほか) 第3章 現代の民主主義(民主化と大衆化/管理者国家と民主主義 ほか) 終章 民主主義の展望のために(歴史的展望への要求/国家の問題 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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これこそ大学1年生で読むべきと思う本だと思う。 高校までの教育で手放しに、思考することなく至高のものとして教え込まれてきた民主主義。 それをヨーロッパ市民革命、古代地中海世界の原点から、 そもそものところから丁寧に学ぶことができる。 そもそも民主主義とは何なのかを思考することは ...
これこそ大学1年生で読むべきと思う本だと思う。 高校までの教育で手放しに、思考することなく至高のものとして教え込まれてきた民主主義。 それをヨーロッパ市民革命、古代地中海世界の原点から、 そもそものところから丁寧に学ぶことができる。 そもそも民主主義とは何なのかを思考することは 現代政治を考える上での最も重要かつ基本的なことであると思うので、 この本は大学に入ったら何よりも先に読んだらいいと思う。 僕ももっと早くこの本を読みたかった。
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