また杏色の靴をはこう の商品レビュー
この一ヶ月、体調の悪さに付き合ってもらうようにこの本を読んでいた。タイトルに惹かれて読んだのだけど…楽しかった。 老人ホームに入居しつつものしたエッセイだなんて驚いたのなんの。暗さもないし、高齢者の繰り言なんて部分はまるでない。どこで暮らすかを選んだだけという風情。 瑞々しく...
この一ヶ月、体調の悪さに付き合ってもらうようにこの本を読んでいた。タイトルに惹かれて読んだのだけど…楽しかった。 老人ホームに入居しつつものしたエッセイだなんて驚いたのなんの。暗さもないし、高齢者の繰り言なんて部分はまるでない。どこで暮らすかを選んだだけという風情。 瑞々しくて、毎日楽しげで。自分以外の色々に、いつも憧れていらして。 お金があって同じ環境でも、そういうふうにならない方はたくさんいられる。私がおばあさまになった時、かわいく、うつくしい言葉を綴れる、私らしい私でいられるだろうか。 おそらく外に出ることは難しくなるかもしれないけど…ベルベットのワンピースに真っ白なレースのブラウスを着て。今伸ばしてる髪は、短くボブにして。 出かけられないなら花を絶やさないでいよう。 季節の風がわかるように窓を開けよう。 ロマンスが足りない?映画を見るもいい。 今の日記を見直すのもいい。 そして、だいじなひとの安らぎになるよう いつも爽やかな香りをまとって、朝の挨拶を。 眠りの間際にはそのひとの穏やかな明日を願って おやすみを。 たとえ傍らにいられなくても。私と話すとしあわせだと、誰かが思ってくれたなら。 詩人、西条八十から贈られた 「うら若き日に薔薇を摘め!」 という言葉が紹介されていたが、本当に摘むべきは、私やあなたのこころに咲く薔薇。 萎れさせてはいけない。 みずみずとした花びらのやわらかさ冷たさを保つのは自分だから。 花が買いに行けないとか、似合わないなんて心配は一生しないでいい。 それはなんて心の支えになることか。 今日の私の薔薇は、なんのいろ。 あなたのは。 そして。 表題の通り、杏色のくつを履いて 「会いたかった!」 とかけていきたいひとを、 私たちは何人、出会うのだろう。 …もう少し…一緒に…と。 別れ間際の茜色を惜しむのは…どうだろう。 そのひとにすなおになることは何度出来るのだろう。いずれにしても、生きるのは悪くない。 チャーミングなこの方の生き方は、喜びにみちているけど、不幸を知らないのとは違う。不幸な出来事にはちゃんと向き合っているはず。 それが我が身を行き過ぎたら、きりをつけ深い箱にちゃんとしまって、翌日からは笑顔になっている。逃避じゃなく、そういうことが大事な気がする。不幸な出来事は、見事に書かれていず、レモンのような爽やかな文章が重ねられているが多分そういうことなのだろう。
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2010.04. 90歳とは思えない、少女のような天衣無縫の明るさを持つ著者のエッセイ。びっくりするほど、前向きで明るくて、まぶしいです。が、なんだかついていけず最後まで読み切れず。P.172まで。
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