ウルトラマン誕生 の商品レビュー
映画シン・ウルトラマンを観て興味を持ち手に取った。ウルトラマン撮影のメイキングや特撮の苦労話などの裏側を知ることができる。 『ウルトラマン』は半世紀以上前の作品であり、現在のCGを代表とする便利な技術などないため、アナログな撮影法がメインとなる。しかし、撮影チームは数々の工夫を...
映画シン・ウルトラマンを観て興味を持ち手に取った。ウルトラマン撮影のメイキングや特撮の苦労話などの裏側を知ることができる。 『ウルトラマン』は半世紀以上前の作品であり、現在のCGを代表とする便利な技術などないため、アナログな撮影法がメインとなる。しかし、撮影チームは数々の工夫を凝らして撮影していった。例えば、ウルトラマンが飛翔するときはワイヤーで持ち上げるのではなく、台に乗せて下から持ち上げたり、怪獣らしい声を出すために身の回りのあらゆる音を収集してみたりなどだ。こういった工夫は時に危険を伴うこともある。怪獣の縫いぐるみ(当時のスタッフは着ぐるみではなく縫いぐるみと呼んでいた)がその例だろう。怪獣の中に入る演者は自力で着脱不可能で、厚いゴムに頑丈に密閉されるため強い孤独感に苛まれる。また、水中での撮影で水が中に流入し、水中だと重さが何倍にもなるためにビクともせず人工呼吸の出番がきたりと、そういった苦労話は枚挙にいとまがない。 どれだけ大変な現場だったんだろうか。 それでも向き合い続けるのは、毎週放送を楽しみにしている子供たちのためなのだ。男たちは「夢」を見せるために情熱を捧げたのだった。
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小さい頃は画面の中のウルトラマンの世界に夢中になっていた。歳を重ねた今、この本を読むことで、画面の外側の物語により強い興味を持った。デジタル処理やCGの時代に、アナログの特撮手法を知るのは非常に興味深く、また毎週のペースで撮影したを続けていたことに驚嘆。特撮は画面の中も外も面白い...
小さい頃は画面の中のウルトラマンの世界に夢中になっていた。歳を重ねた今、この本を読むことで、画面の外側の物語により強い興味を持った。デジタル処理やCGの時代に、アナログの特撮手法を知るのは非常に興味深く、また毎週のペースで撮影したを続けていたことに驚嘆。特撮は画面の中も外も面白い。
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ウルトラマンやウルトラセブンを監督したことでも知られる実相寺昭雄氏による、ウルトラマン制作秘話である。 話はマンだけじゃなく、ウルトラQ、さらにその前史や、ウルトラセブン、怪奇大作戦といった、要は円谷プロダクションの内側をさまざまな逸話とともに語る。 火薬や水の危険さなど特撮...
ウルトラマンやウルトラセブンを監督したことでも知られる実相寺昭雄氏による、ウルトラマン制作秘話である。 話はマンだけじゃなく、ウルトラQ、さらにその前史や、ウルトラセブン、怪奇大作戦といった、要は円谷プロダクションの内側をさまざまな逸話とともに語る。 火薬や水の危険さなど特撮のあやうい楽しみ、怪獣の作り方、スタッフたちの熱い生態などなど、実に興味が尽きない内容である。 なにより、総帥・円谷英二氏を始めそこに関わった人々の、特撮や怪獣に対する限りない愛、ウルトラマンの顔がキリコから着想を得ているとか、ゴダールや「エイムズの部屋」などに取材する深い教養、そして何よりも、時間や手間や知恵を惜しまずより良いものづくりに邁進した尽きせぬ情熱が見てとれる。「夢を創ろう」…ウルトラシリーズが時代を越えて生命を保っている秘密は、まさにその一点に多くの優れた才能が集った奇跡にあったのである。 実相寺氏が先ごろ亡くなったのでこの本を手に取った・・・と書こうとして奥付を確認したら、亡くなったのは2006年だった。ああ、光陰矢のごとし。
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※このレビューにはネタバレを含みます
『ウルトラマンのできるまで』(1988年1月)『ウルトラマンに夢見た男たち(1990年3月)の合本改題。前半は監督としての経験談,後半は関係者からのインタビューを中心として,ウルトラマンやウルトラセブン製作の内側を紹介する内容。特撮現場を知るには良い一冊。
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ウルトラマンで4作、ウルトラセブンで2作監督した著者の、ウルトラマン及び円谷プロ、特撮に関する熱いお話。 特撮における手法について、これでもかってくらい細かく熱く語られています。これを読んだら特撮を見る目が変わること請け合いですわ。 エンターテイメント映像ってものは大抵その目的...
ウルトラマンで4作、ウルトラセブンで2作監督した著者の、ウルトラマン及び円谷プロ、特撮に関する熱いお話。 特撮における手法について、これでもかってくらい細かく熱く語られています。これを読んだら特撮を見る目が変わること請け合いですわ。 エンターテイメント映像ってものは大抵その目的として珍しい映像を提供したがることとなります。 そして映像がスペクタクルを志向するとき、特撮っていう手法はとても自然な流れとして使われるものでありますね。 その特撮が大人の楽しみでなく、子供に対して強烈なアピールをするというのが個人的に面白い流れであって、 これを読んで、作り手側が子供向けを強く考えて作っていることがわかって良かったです。 子供だましとして作るとかじゃなく、自らの幼児性の発現欲求として特撮を作っていたんですな。
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実相寺本2冊を1冊にまとめたお徳用。前半は樋口さんの挿絵共々面白い内容。演出論とかもあるし。後半は、円谷作品のメイキング取材をまとめたもので、わざわざ実相寺さんが書くような内容じゃない。
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何故特撮が面白いかわかった。背景や構図一つ取ってもたゆまぬスタッフの努力が見られるからだ。それが今や伝統芸能になってしまっているのは何故か。円谷プロがディズニーになれなかったのは何故か。
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CGなど全くない時代に、あれだけのクオリティーの作品を(しかも毎週)作り続けた男たちのドキュメント。一昔前までは大人は子供になるべく、ではなく、絶対にいいものを与えようと真剣だったということがはっきり分かる。
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ウルトラマン、巨人の星、天才バカボン。これが私の幼少期、3大アニメ(ウルトラマンは実写ですが)です。特にウルトラマン、ウルトラセブンは子どものころの人格形成に大きく影響しました。この本はその裏側、制作者の熱い思い、そして苦悩をしっかりと伝えてくれます。中でも「ああ、あれが実相寺作...
ウルトラマン、巨人の星、天才バカボン。これが私の幼少期、3大アニメ(ウルトラマンは実写ですが)です。特にウルトラマン、ウルトラセブンは子どものころの人格形成に大きく影響しました。この本はその裏側、制作者の熱い思い、そして苦悩をしっかりと伝えてくれます。中でも「ああ、あれが実相寺作品か」とい回にはいろんな共通点があります。そう、それを実感してください。
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表紙のウルトラマンがカツコイイのであります。思はず手にとり購買すると、内容は『ウルトラマンのできるまで』『ウルトラマンに夢見た男たち』の合本でした。道理で分厚い本である。いづれも「ちくまプリマーブックス」として刊行されたものであります。 年少の読者を想定して書かれてゐるので、まこ...
表紙のウルトラマンがカツコイイのであります。思はず手にとり購買すると、内容は『ウルトラマンのできるまで』『ウルトラマンに夢見た男たち』の合本でした。道理で分厚い本である。いづれも「ちくまプリマーブックス」として刊行されたものであります。 年少の読者を想定して書かれてゐるので、まことに丁寧な記述となつてゐます。 実相寺監督が亡くなつてもうすぐ4年になろうとしてゐますが、生前は私にとつてあまり関心のある存在ではありませんでした。ちよつと独りよがりが過ぎるといふか、観客が観たい映像よりも自分が作りたい映像を優先させる印象があつたのです。 本書からひとつ例をあげませう。 当時(1960年代)、特撮の世界に飛び込む人は、大なり小なり円谷英二に憧れを抱いてゐました。実相寺氏も同様で、円谷英二氏が常にスタッフに説いた言葉を紹介してゐます。 「きたならしいものはだめだよ。見ていてヘドの出るようなものや、残忍なものや、暴力だけがまかりとおるものや、気持ちのわるいものや、血まみれを売りものにするようなものはね」 「やはり見終わって夢が残るものじゃなきゃだめだよ。きたならしいもの、目をそむけちゃいけない現実、社会問題、......それは別のリアリズム映画がやってくれる。特撮っていうのはね、だれもが見たくても見られない光景や視点をつくりだすためにあるんだよ。どんな巨大な怪獣を出そうが、ミクロの細菌の世界に潜入しようが、日ごろ見られない夢を見せるようにしなきゃだめなんだよ」 すばらしい言葉。ところが円谷英二の薫陶を受けながら、実相寺氏は怪獣デザインに関して、成田亨氏に次のやうに依頼します。 「見るだにおぞましいもの。日曜の七時という一家団欒の時間に茶の間の受像器が怪獣をうつしたとき、思わず箸の手がとまるといった、生理的ないやらしさを表現してほしい」 全然分つてゐないではありませんか。ところが成田亨さんはさすがに円谷氏の思想を理解してゐたため、依頼通りには作らなかつたのであります。実相寺氏はそれを怨んでゐたとか。詮無い人だなあ。 と思つてゐたら、本書では自分の思ひ込みが間違つてゐたことに気づいたと語つてゐます。どうやら成田氏に説教(?)されたやうです。もつと早く気づいてゐたら、スペル星人の悲劇は避けられたかも知れません。 ま、さういふ感じで、本書は断片的ながら、一種の円谷英二論としても読むことが出来ませう。多分特撮に詳しすぎる人にとつては、物足りないでせうが、普通の人には1960-70年代の特撮事情が分つて面白く読めるでせう。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-164.html
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