柳生平定記 の商品レビュー

多田容子【著】

2011/10/15

これは面白い。
時代小説の面白さとして剣術描写と、登場人物の造形があるようにおもうのだが。
柳生十兵衛の人物描写はかなり深みのあるものになっている。兵法者の家に生まれたものの使命と、主君への忠誠の間で揺れ動く姿は、通り一辺倒な「キャラクター」を超え出ていると感じる。

　剣術の描写は、著者自身が新陰流を学んでいなければ絶対にかけないものであろうが、「学んでいさえすれば」描けるものでももちろんない。剣の理を文章という二元く的で窮屈なものにいかに落とし込んでいくか、工夫にうならされた。

2009/10/04

9月5日購入。9月7日読了。これまでの十兵衛像とは違う，十兵衛もまた活人剣を目指しているってとこが新鮮。