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ハリガネムシ の商品レビュー

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41件のお客様レビュー

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ものすごい迫力の主人…

ものすごい迫力の主人公と展開に自分ハングリーさを欠いているのがいやになった

文庫OFF

2024/01/26

この世にはあらゆる形の暴力があるのだということを実感させられる一作. それは部屋に出た虫を殺す暴力や風呂場で排泄をするという暴力に始まり, 主人公慎一の弱きを自らの好きに破壊したいという衝動に由来するものから,子を捨てたり嬲る男に自らを捧げるといったような自らに向いた弱さゆえの...

この世にはあらゆる形の暴力があるのだということを実感させられる一作. それは部屋に出た虫を殺す暴力や風呂場で排泄をするという暴力に始まり, 主人公慎一の弱きを自らの好きに破壊したいという衝動に由来するものから,子を捨てたり嬲る男に自らを捧げるといったような自らに向いた弱さゆえの暴力まで様々である. 本作はそうしたあらゆる形の暴力が対応し,絡み合って一つのまとまりのある作品を構成しているという点において,傑作だと思う. 同じカテゴリのもの(今回は様々な暴力)を一作で同時に取り扱えばしつこく感じられがちだが,本作においてはそれぞれが明確に機能を有しているように思われ,作家の腕の良さを明確に感じた. ただ個人的な話として,好みではなかったという点も補足しておく

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2023/02/18

怖い。怖いし不快だし痛々しいし面白い。人間の奥に潜む欲望や衝動は、時として人間を操ってしまう、ということに共感してしまう。嫌だけど。

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2021/10/14

ハリガネムシ 鬱屈した日常の中で男性教師が内に飼っていたハリガネムシが目を覚ます…。 なんて、そんな風に書くとすごくおどろしいけどそれほどのこともなく、冗談みたいなことやりつつ狂気が続いていくのが面白かった。 いやそれほどのことか?読んでいてアホな箱庭劇のようで現実感が乖離する印...

ハリガネムシ 鬱屈した日常の中で男性教師が内に飼っていたハリガネムシが目を覚ます…。 なんて、そんな風に書くとすごくおどろしいけどそれほどのこともなく、冗談みたいなことやりつつ狂気が続いていくのが面白かった。 いやそれほどのことか?読んでいてアホな箱庭劇のようで現実感が乖離する印象を覚えた。 ロゼワイン男とか職員の男とか、当たり前にクズしかいないのが笑える。 岬行 ハリガネムシも面白いけど、こっちの方が好きかも。登場人物みんな癖のあるダメ人間。だけど憎めない。どんな話だったかはほぼ忘れたけど洋画で『冒険者たち』っていう作品があったのを思い出した。おそらく全然似てないんだけど。汚らしい大人たちが『冒険者たち』よろしく青春を疾走しようとするとこんななっちゃうんかなぁとか、読みながら思った。いやいやいや、普通はならないから!読んでいて主人公のもつ離人めいた感覚には惹かれるものがあった。何か一大事が起きていても他のことを客観的に捉えていたり。 と振り返りつつ感想書いたけど、一日で一気呵成に読んだのに『岬行』を読んでから最初の『ハリガネムシ』の結末がまったく思い出せない! パラパラとめくってみて「あぁそういえばそういう話だったな。サチコに首を絞められて云々」と思い出す。 『岬行』が印象強すぎたか?というとそうでもない。 一方で、翌日になって朝食を食べつつ思い出したのは『ハリガネムシ』のどうでも良いような小ネタだったりする。 サチコが笑う時うさぎみたいになるとか。 となると脇道が強烈すぎて、結末を凌駕したのか。 なんだかこの小説との付き合い方がわかりかけたようでまったくわからない。 いっそこのままの気持ちで全裸でまた読むのが向いてるかもしれない。

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2021/03/27

教師2年目の慎一のところに、一度だけ行ったソープランドで出会ったサチコが訪ねてくる。欲望のままサチコと関係していくなかで、施設にいるサチコの2人の息子似合いに行くことを決める。休暇を取りなし崩しのまま四国へ向かうものの…。 あー芥川賞っぽいなと思ったら、芥川賞だった。いつでも拒...

教師2年目の慎一のところに、一度だけ行ったソープランドで出会ったサチコが訪ねてくる。欲望のままサチコと関係していくなかで、施設にいるサチコの2人の息子似合いに行くことを決める。休暇を取りなし崩しのまま四国へ向かうものの…。 あー芥川賞っぽいなと思ったら、芥川賞だった。いつでも拒否できるのに拒否せずに流されていく主人公。主人公の預かり知らぬところで、激しく動いているサチコの人生。どうしようもなくながれていく人生と、暴力と絶望。 薄い小説だが、幻覚のごとく現れ、現実との間を揺れ動く世界。それらが全く同じコントラストで淡々と描かれるため、読み始めすぐにあれ?と引っかかる文章である。 芥川賞の純文学ではあるが、比喩という比喩は特に無く、主人公の想像が比喩の代わりをなしているのであろう。何度も噛み付いては引きちぎる皮膚や肉。それらが現実なのか想像なのかがわからなくなる感覚に時々襲われる。 「何をやってもダメだしもうダメだ。世間が悪いのだ」という、一時期の芥川賞作品よりは、逃げ場が常にあるあたりは好感が持てた。ただ、1冊にもう一作くらい入れてほしかったな。

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2019/09/16

良くも悪くも、暴力と汚物の描写が気持ち悪かった、という印象です。不快感を湧き上がらせるというのは、それだけ文才を感じるということでもあります。起承転結というより、ただ時系列に沿って狂気が増していきます。文庫本併録の「岬行」にも共通することだけど、途中まで何を伝えたい小説なのかよく...

良くも悪くも、暴力と汚物の描写が気持ち悪かった、という印象です。不快感を湧き上がらせるというのは、それだけ文才を感じるということでもあります。起承転結というより、ただ時系列に沿って狂気が増していきます。文庫本併録の「岬行」にも共通することだけど、途中まで何を伝えたい小説なのかよくわからず、だらだらと同じような場面が繰り返されます。でも妙にリアルで読み進めてしまい、半分あたりから、何についての小説なのかわかってくる。まさに純文学だな、という感じです。

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2019/03/14

読んでいて、想像力が掻き立てられて嫌悪感がすごい。汚いものを見る感じ。ただ、だからこそ見てしまう。この人の本はやはり好みである。

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2019/01/03

年が明けて、仕事始めが迫っている自分にぴったりの一冊であった。 読んでいると不潔な人間の脂の臭いを鼻の奥で感じて非常に不快な気分になる。 擬音語で表現するなら「ベトォッ」、「ドロォッ」って感じ。さっさと風呂に入って体を清めたいような感覚。 しかしながら、登場人物たちと一緒にこの...

年が明けて、仕事始めが迫っている自分にぴったりの一冊であった。 読んでいると不潔な人間の脂の臭いを鼻の奥で感じて非常に不快な気分になる。 擬音語で表現するなら「ベトォッ」、「ドロォッ」って感じ。さっさと風呂に入って体を清めたいような感覚。 しかしながら、登場人物たちと一緒にこの脂の浮いた汚泥のような世界に浸っているのは不思議と快感であった。 実社会ではこのような変態性欲を抱えている人ばかりでないことは留意しておかねばならない。 文章はすごく読みやすく、銭湯のシーンなど、おっさんの性欲についての表現が本当にリアルで巧みだと思う。思春期の頃に漠然と抱いていた40~50代くらいのおっさんに対する嫌悪感の正体を文章にされてしまったようである。 最近の『ボラード病』や『臣女』みたいなメッセージ性の強い作品も面白いが、この作風こそが吉村萬壱って感じがする。 一昔前を舞台にしているはずなのに、『クチュクチュバーン』のようなディストピア感が漂うのはなぜだろうか。

Posted byブクログ

2018/02/10

著者の方の対談を聴く予定があるので、借りてきました。 虫が嫌いな方、暴力描写が嫌いな方にはちょっと読むのが辛い作品なのではないかと思いました。 私は虫は平気なので良いのですが、暴力描写は苦手なので、ゾワゾワしました。

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2018/01/25

会社から単身赴任寮に帰って、一人この本を開く。 主人公は著者の分身なのだろうか、一部なのだろうか、全くの他人なんだろうか。 まぁ、そのいずれでもいいんだけど、なんかよくわかる気がして、話せる友人とゆっくり話したような読後感。 会社員向いてないのかな。 結構堅い会社に二十数年勤...

会社から単身赴任寮に帰って、一人この本を開く。 主人公は著者の分身なのだろうか、一部なのだろうか、全くの他人なんだろうか。 まぁ、そのいずれでもいいんだけど、なんかよくわかる気がして、話せる友人とゆっくり話したような読後感。 会社員向いてないのかな。 結構堅い会社に二十数年勤めて、五十歳手前でいうのもなんだけど。

Posted byブクログ