人生のほんとう の商品レビュー
「常識」「社会」「年齢」「宗教」「魂」「存在」をテーマにした哲学者、池田晶子の講義録。読みながら立ち止まり、正しく考えれば惑わされないという著者の言葉を後押しに自分の思考の視点を変えてみる。
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これまで著者の本を読んできたが、今回新しいことが載っていたわけではなく凡そどこかで一度書かれた内容が含まれていた。改めて内容を把握。 その中でもユングの思想が出てきたのは新鮮で、図解して魂を説明するのはどこか腑に落ちた感がする。 257冊目読了。
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哲学エッセイの池田晶子先生が「人生」のアレコレについて講じた内容のまとめ。 人生といっても、さすがは哲学者。我々俗人が考える いあゆる人生観を言うわけではありません。 主眼となるのは「存在とはなにか」ということです。 ある個人の人生 包み込むもっと大きな領域を観るわけですね。...
哲学エッセイの池田晶子先生が「人生」のアレコレについて講じた内容のまとめ。 人生といっても、さすがは哲学者。我々俗人が考える いあゆる人生観を言うわけではありません。 主眼となるのは「存在とはなにか」ということです。 ある個人の人生 包み込むもっと大きな領域を観るわけですね。 その存在。これはなんだ?なんだ?と探っていくと必ず 答えられない。わからない。 領域に行き着きます。そうなると、普段生きているこの生活が途端に不思議なものに見えるし、なんでもいいものに見えてくる。 生の対極に死があるように見えるが、実は違う。 無とは無であるが故に、在ることはできない。 つまり「在る」だけがある。 この在るは個人の意志や人類の力で出来たわけではない。(親が生んだと言え、それは肉体であり魂はどうなのであろう?) つまり我々は何でいるのかもわからないところに、なぜか生かされている。しかもいつ勝手に終わるかわからない。そんな不思議な個の集団がこの世界であるという事。 こういう哲学的主題を考えていくと仏教の禅宗と近いところに行き着くようです。面白いですね。 いいなと思った考え ・考えるとは自覚する事 ・あれこれ思い悩むより、たかが人生と覚悟を決める ・人生の幸福とは外側に求めるものでは決してない。人生を謎そのものとして捉える事 ・私を私と思っている「コレ」は実は誰でもない。非人称の意識であることに気づく。つまりno body 。 ・肉体が衰える、肉体を失う事の恐怖とはすなわち快楽を失う恐怖である。 ・老いはまだ経験したことが無い。そういう経験したことのない事は、本当はすごく魅力的な事なんじゃないか。 ・人間として生まれた限り、やはり内省する習慣を持つべきでしょう。でないと、せっかくの晩年のごちそうを取り逃がすことになる。 ・一神教はむりやり信じる。絶対がないのに絶対を強いる。だから盲信的になり、排他的になる。 ・自分が生きている、それ自体がすでに自分の意志ではない。 ・昔は自分とは自然である、そしてたまたま自分という現象としてここに起こっているという、そういう素直な捉え方をしていたのではないか ・年を取ることを拒否することは人生を拒否する事と同じ ・いくら社会がおかしくなろうが関係ない。そんな社会はどうでもよい。ただ、私は私がしたい事だけをする。つまり魂つぃて善い事だけをする。 ・先々何々が欲しいという欲望を持つこと自体で、人は現存に存在しなくなるから満たされることができなくなる。幸福は現在においてのみ満たされることでしかない。
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自分という存在がどうして存在しているのか、また死とは何かという哲学の普遍的な問題をわかりやすく噛砕いてくれている。 昔はこういったことを考えていたが、今はすっかりそんなことを考えなくなり「当たり前」になってしまったんだなと感じた。 思考停止するのではなくいつまでも善く生きるために...
自分という存在がどうして存在しているのか、また死とは何かという哲学の普遍的な問題をわかりやすく噛砕いてくれている。 昔はこういったことを考えていたが、今はすっかりそんなことを考えなくなり「当たり前」になってしまったんだなと感じた。 思考停止するのではなくいつまでも善く生きるために考え続けたいと思った。
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この人、哲学者ではなく文筆家と呼んでくれと言ったそうですが、その気持ちは良く分かります。 本格的な(?)男性の哲学者はこりゃぁ哲学者とは認めんぞ!じゃないでしょうか。 だって、解り易すぎるし、多分に本能的な言葉遣いをしているから。 哲学って、眉間にシワを寄せて考えることと認...
この人、哲学者ではなく文筆家と呼んでくれと言ったそうですが、その気持ちは良く分かります。 本格的な(?)男性の哲学者はこりゃぁ哲学者とは認めんぞ!じゃないでしょうか。 だって、解り易すぎるし、多分に本能的な言葉遣いをしているから。 哲学って、眉間にシワを寄せて考えることと認識する立場からすると、こんな女性は哲学者の仲間に入れたくないって言うんじゃないでしょうか。 そういう男とは議論するだけ無駄と思ったので、文筆家だってイイやと彼女は思ったんじゃないでしょうか。 このあたりの事情は塩野七海さんと似ているところありますね。 彼女は歴史家と分類するには、あまりにも情緒的傾向が強すぎますから。 お二人とも哲学専攻だったことも偶然ですね。 しかし、男がなんと言おうとも、二人とも良く考え勉強しています。 伝える口調は平易ですが、内容は決して劣りません。 劣るどころか、平易な言葉を使って歴史・哲学を大衆化した功績は高く評価すべきです。 さて、この本は何回か分けて行われた講演会のテキストです。 彼女も書いているとおり、本来は行間に込められている意図も、講演会ですからかなり分かり易く説明を加えています。 その点、余計に読む人は彼女の論点が理解しやすかったんじゃないでしょうか。 彼女の着目点とその展開の過程が実に「女性らしさ」を意識させられます。 なんと言おうか、生理的といおうか、感覚的といおうか。 惜しい人を亡くしてしまいました。
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すばらしいですこれ。窓から清冽な風が入ってくるような本。 ドブさらいや煙突掃除みたいな仕事をしていて、そこに囚われているのは私の趣味ですが、時々は高山の空気をね。
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池田晶子(1960~2007年)氏は、慶大文学部哲学科卒の哲学者。哲学をテーマにした一般向けの著書を多数残している。 本書は、2004年と2005年に都内のコミュニティ・カレッジで「人生を考える」というタイトルで行った6回の講義に、加筆・修正を加えて2006年に書籍化されたもの。...
池田晶子(1960~2007年)氏は、慶大文学部哲学科卒の哲学者。哲学をテーマにした一般向けの著書を多数残している。 本書は、2004年と2005年に都内のコミュニティ・カレッジで「人生を考える」というタイトルで行った6回の講義に、加筆・修正を加えて2006年に書籍化されたもの。 本書のテーマは、1.「常識~生死について」、2.「社会~その虚構を見抜く」、3.「年齢~その味わい方」、4.「宗教~人生の意味」、5.「魂~自己性の謎」、6.「存在~人生とは何か」の6つ。 池田氏のアプロ―チの特徴は、哲学の本質的なテーマについて専門用語を使わずに考察・説明するところにあるのだが、本書では、すっと腹に落ちる部分もあれば、必ずしもそうでない部分もある。しかし、幅広いテーマにおいて多くの気付きが得られることは間違いない。 印象に残るのは、例えば以下のようなセンテンスである。 「生きると死ぬは対にはならない・・・生きている、生存している、つまり存在しているということしか、われわれは知らない。なぜならば、無としての死は、存在しないからです。・・・なぜ在ることしかないのか。それはいったい何なのだ。存在とは何か。」 「どこまでも疑っていくと、「私を私と思っている『これ』というのは、実は誰でもない、非人称の意識であるということに、必ず気がつくことになります。つまり、私は誰でもない、ノーボディ。裏を返せば「私はすべてである」ということになります。「何ものでもない」の裏返しは、「何ものでもある」、つまり「すべて」ですからね。」 「つまり人生すなわち存在には、実は意味なんかないのではないか、自分はそこに意味を与えて苦しんでいただけだった、この自縄自縛の構造というものに気がつくことですね。・・・「意味がある」に対する「意味がない」ではなくて、意味「ではない」という意味で「非意味」、この存在の非意味ということに気がつくことが、もしかしたら救いなのかなと思えなくもない。」 「なるようになるし、ならないようにはならないんですね。・・・各自が自分に善いことだけをする、自分さえ善ければいいという構えを崩さなければ、何があっても大丈夫だと思います。他人や社会を気にしない、惑わされないということです。」 ただ、池田氏の辿り着いた“悟り”のような思想は、俗世に浸かった者にとって、救われるような、救われないような、不思議な感覚を残すのも事実である。 池田氏は、2007年に46歳で急逝したが(本書出版時には癌に罹患していた)、「さて死んだのは誰なのか」との言葉を残して亡くなったのだという。。。 池田氏の遺作のような一冊である。 (2009年8月了)
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第1章、何か開ける感覚、ずっと昔に感じたことのある感覚、しかも今まで何度か味わったことのあるこの感覚、これだ!言語化されることによって心が穏やかになった。すーっと溶けていった。
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「14歳からの哲学」とともに再読。 この方の本は1冊読むのにかなりの時間がかかる。下手したら1ページ読むたびに考え込んでしまって全然進まない。
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「人生を考える」という題目で行った講義をまとめたもの。 書くということよりも語るということがメインだったので、考えに文字がついていかないといった感じではなくて、考えて言葉を選んだ感じがする。 大事な問いをいつも手放さなければ、現象のあれこれに惑わされない。 池田さんのように達観す...
「人生を考える」という題目で行った講義をまとめたもの。 書くということよりも語るということがメインだったので、考えに文字がついていかないといった感じではなくて、考えて言葉を選んだ感じがする。 大事な問いをいつも手放さなければ、現象のあれこれに惑わされない。 池田さんのように達観するにはまだまだ考えることが足りない。「あぁ、そうなんだ」と思うことばかり。
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