聖断 の商品レビュー
戦争は始めるより終わらせる方が難しいのだなと感じた。わが身を顧みず、日本国民をこれ以上犠牲にしないことを第一とした昭和天皇の聖断が終戦に至った一番の要因であるのは間違いない。だがそれが引き出され、有効に作用したのは、鈴木貫太郎が首相であったからだと思う。鈴木は戦前、侍従長として昭...
戦争は始めるより終わらせる方が難しいのだなと感じた。わが身を顧みず、日本国民をこれ以上犠牲にしないことを第一とした昭和天皇の聖断が終戦に至った一番の要因であるのは間違いない。だがそれが引き出され、有効に作用したのは、鈴木貫太郎が首相であったからだと思う。鈴木は戦前、侍従長として昭和天皇に仕え、深いところで結びついていたのだった。 そしてその鈴木と同じ高潔の武人であり、終戦の際は陸軍の暴発を体を張って抑えた「アナン」こと阿南惟幾が、同時期に陸軍の侍従武官として着任し、鈴木と互いの人柄を認め合い、昭和天皇との結びつきを深めていた。これは奇跡的な伏線だと思った。歴史の妙としか思えない。
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日本が教訓とすべき点。 1「ジャーナリズムにあおられて、国民もまた熱烈に軍部を支持した」こと。軍部が消滅したら良い世の中になったのか?違う。 日本のマスコミは世論を煽って迎合する危険な性質を帯びていることを忘れてはならない。(コロナ禍でのマスコミが国益に逆行していることは周知のと...
日本が教訓とすべき点。 1「ジャーナリズムにあおられて、国民もまた熱烈に軍部を支持した」こと。軍部が消滅したら良い世の中になったのか?違う。 日本のマスコミは世論を煽って迎合する危険な性質を帯びていることを忘れてはならない。(コロナ禍でのマスコミが国益に逆行していることは周知のとおり) 2 原爆投下され、ソ連参戦という絶望的戦況でもなお終戦工作が困難であった理由。 物事は始めるのは勢いだけでいけるが、止めるためには命がけで文字通り捨て身が必要なこと。(鈴木貫太郎元首相は、栄誉を得るわけでもなく、ひっそり各地を転々と余生を過ごした。) 軍事官僚という特殊な既得権が一定数に達すると、既得権維持のためには国を玉砕させることすら厭わないこと。(軍事官僚が一斉にバンザイ突撃して死んでくれればさっさと戦争は終わったと思うが、なぜか徴兵した国民を突撃させて、軍事官僚は指揮官ごっこ。8月15日に切腹せずに戦後のうのうと生きた将校たちは恥を知っていたのか?) 既得権層の排除は、いったん国を失うくらいのショックが必要なのだと思った。 (会社であれば、倒産レベルのショックが必要)
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先日ご逝去された半藤一利さんの著。 ポツダム宣言受諾に至る過程を、時の首相 鈴木貫太郎海軍大将の遡っての生涯と昭和天皇との関わりから丁寧に描く。昭和前期の政治・軍部の動向、昭和天皇の苦悩など当時の様子を広く捉え、また半藤さんの話の展開が巧みで引き込まれます。 戦争の意味、なぜあの...
先日ご逝去された半藤一利さんの著。 ポツダム宣言受諾に至る過程を、時の首相 鈴木貫太郎海軍大将の遡っての生涯と昭和天皇との関わりから丁寧に描く。昭和前期の政治・軍部の動向、昭和天皇の苦悩など当時の様子を広く捉え、また半藤さんの話の展開が巧みで引き込まれます。 戦争の意味、なぜあのような悲惨な結果を招くに至ったかを再考させられ、同じことを繰り返さぬよう歴史を学ぶ意義を考えさせられた書です。
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『日本でいちばん長い日』が8月15日の玉音放送を巡る日本帝国の政府決断と軍部クーデターを描いたのに対し、本作品はそこに至る鈴木貫太郎首相の確乎たる意志と裕仁天皇の大いなる聖断を描く。 裕仁天皇と鈴木貫太郎でなければあるいは戦争は終結せず愚かな本土決戦を行った結果ドイツように南北...
『日本でいちばん長い日』が8月15日の玉音放送を巡る日本帝国の政府決断と軍部クーデターを描いたのに対し、本作品はそこに至る鈴木貫太郎首相の確乎たる意志と裕仁天皇の大いなる聖断を描く。 裕仁天皇と鈴木貫太郎でなければあるいは戦争は終結せず愚かな本土決戦を行った結果ドイツように南北分裂をしていたかもしれない。天皇の侍従長として貫太郎そして皇孫御用掛であった妻たかに対する昭和天皇の信任か二度の「聖断」をもたらし(直接的には)75年間戦争と無縁の国となった。 大日本帝国憲法下においては統帥権は天皇に帰属し、そうした点からすれば当時の米国世論で主流となっていた天皇責任追及は理解できなくもない。しかしトルーマン大統領やグルー米国務次官が見抜いていたように、仮に東京裁判で天皇が裁かれることがあれば、ひょっとすると反米国としてまた違う国状を描いていたかもしれない。「象徴として」は、本書読了後、非常に絶妙な采配であったと感じる。 捉え方は様々であろうが、本書を読み、私は鈴木貫太郎氏への感謝の念を抱かずにはいられない。
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鈴木貫太郎を通し日本の近代史を伝えている。いや、鈴木貫太郎が日本の近代史そのものなのかもしれない。こんな首相が日本にいたのかと感嘆させられる。もし、あの時鈴木が首相ではなかったら、今の日本はないだろう。
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第二次世界大戦終戦時の首相、鈴木貫太郎と天皇を中心とした終戦間近から終戦のころを主題としたノンフィクションである。 戦争を終わらせることが簡単ではないことと平和の尊さを思い知ることができる。 鈴木貫太郎は当時の時勢にピタリと当てはまった首相だったのだろう。 あまりにも鈴木貫太郎が...
第二次世界大戦終戦時の首相、鈴木貫太郎と天皇を中心とした終戦間近から終戦のころを主題としたノンフィクションである。 戦争を終わらせることが簡単ではないことと平和の尊さを思い知ることができる。 鈴木貫太郎は当時の時勢にピタリと当てはまった首相だったのだろう。 あまりにも鈴木貫太郎が立派に書かれ過ぎているような気もするが、主人公故仕方のないことか。 いずれにしても昭和初期から終戦のころまでの一連の流れの国政的大失敗を決して繰り返すことのないよう一読の価値があると思う。
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太平洋戦争を終戦に導いた鈴木貫太郎の物語。彼は「モーニングを着た西郷隆盛」と呼ばれ、多くを語らず、どっしりと構え、必要な時には強い信念のもと決断を下す。政治嫌いだったが、戦争末期に首相に担がれた。内戦を恐れ、戦争を早く終わらせたい思いを内に秘めながら、時宜をみて終戦に持って行く様...
太平洋戦争を終戦に導いた鈴木貫太郎の物語。彼は「モーニングを着た西郷隆盛」と呼ばれ、多くを語らず、どっしりと構え、必要な時には強い信念のもと決断を下す。政治嫌いだったが、戦争末期に首相に担がれた。内戦を恐れ、戦争を早く終わらせたい思いを内に秘めながら、時宜をみて終戦に持って行く様がヒシヒシと伝わってくる。ただ、少し慎重すぎたのではないかとも思う。もっと早く降伏を伝えられていれば、原爆の悲劇はなかったのではないかと、歴史にはタブーの”IF”を考えてしまう。
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昭和天皇と鈴木貫太郎を中心とした終戦にまつわるノンフィクション。今の時代の人は「勝ち目のない戦争だからもっと早くやめればよかったのに」と思うかもしれないが、そう簡単に戦争をやめられるものではない。平和を心から願った昭和天皇や忠臣・鈴木貫太郎がいたからこそなしえた事だと思う。
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「日本で一番長い日」の執筆時に集めた資料で書いたのでは?昭和天皇は本当にこんな人格者だったんだろうか?
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この本の老兵と若い天皇の関係はと言えば、「精神で繋がった親子」の一言につきます。 終戦に向けて、天皇が鈴木に「もう、ひとがいないのだ、鈴木、たのむ」と異例とも言える親密な辞令を伝えたとき、鈴木はすでに耳の遠い八十の老人でした。しかしそこからの鈴木内閣は、巧みに陸海軍を抑え、外交工...
この本の老兵と若い天皇の関係はと言えば、「精神で繋がった親子」の一言につきます。 終戦に向けて、天皇が鈴木に「もう、ひとがいないのだ、鈴木、たのむ」と異例とも言える親密な辞令を伝えたとき、鈴木はすでに耳の遠い八十の老人でした。しかしそこからの鈴木内閣は、巧みに陸海軍を抑え、外交工作を再開し(対ロシアは失敗に終わったけれど)一億玉砕へのブレーキをきっちりと掛けたのでした。そののらりくらりとした、老獪な(しかし巧みな)鈴木のやり方は、内閣内、世論、軍内からも強い反発を受けていました。昭和恐慌後のにっちもさっちもいかない閉塞感が充満した国内で、現状打破を願ったのはだれよりも国民であると言うこと、三国干渉に頭を下げ満州をも手放せば今まで以上の貧困状態は避けられないと言うこと。それを耐えることと連勝を続ける軍に希望を託すこと、メディアの先導があったにせよ多くの国民が後者を選びとった。そのなかで、真に国際協調と不戦を願う天皇の声は「一個人の意見」としてしか取り上げられなかったのは事実です。日本人らしいと思うのだけど。心の中では「戦争なんて嫌だ」と思いながらもその他大勢の意見を優先する、塾案しない。考え、行動し、意見を述べた者は、社会から抹殺されてしまう。それはそれは悪気無く。それは戦時下だからでしょうか。今でもそうじゃないかな。昭和天皇も間違いなくその中の一人だった。鈴木の一番の敵はまさにそれだったように思います。
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