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脱マニュアル小論文 の商品レビュー

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2013/01/14

最初「違う」と思った。 著者は「体験・経験」を小論文の核に据える。 自分の経験から感じたことを深め、問題意識を作る。 その問題意識を提示された資料と絡め、何かを論じる。 そうしないと観念だけが先走りし、一般的な倫理を唱える空理空論しか書けない、と。 正論ではある。 ではあるけ...

最初「違う」と思った。 著者は「体験・経験」を小論文の核に据える。 自分の経験から感じたことを深め、問題意識を作る。 その問題意識を提示された資料と絡め、何かを論じる。 そうしないと観念だけが先走りし、一般的な倫理を唱える空理空論しか書けない、と。 正論ではある。 ではあるけれど、現実的に可能なのだろうか、との疑問がふつふつと。 ほとんどの高校生が、特別な経験などせず、ただなんとなく無難に日常を過ごしているのではないか? その中で、何か人に伝えられるような問題意識を育めとするのは、あまりに酷な要求なのではないか? ただ読んでいくうちに、僕の違和感は間違っていることに思い至る。 何も「特別な経験」など必要ないのだと思う。 大切なのは 「経験から問題意識を見つけだし、それを人に分かる形でアウトプットする」 と、「普段から意識」すること。 この意識が、日常を一変させる。同じ経験をしても、その経験の捉え方がガラッと変わる。 ちょうど僕が、子どもが生まれた翌日から、周りに赤ちゃんが驚くほど多いことに気付いたように。 持っている意識が違っていれば、見えるものや聞こえるものもまた、違っているのだ。確実に。 それにしても本書で例に使われている高校生の文章、おそろしくレベルが高い。 こういう訓練をされた子たちが大人になり、社会で活躍してくれるってことを、とても心強く思う。

Posted byブクログ