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ウソの歴史博物館 の商品レビュー

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2018/05/19

「熊本の動物園からライオンが逃げた」 熊本地震の際に街中にライオンが佇む写真と共に、短文投稿サイト に掲載された投稿は一緒に拡散した。 悪ふざけだったのだろうが、投稿者は偽計業務妨害の疑いで逮捕 (後、不起訴)された。 注目されたい。人の反応を見て面白がりたい。一...

「熊本の動物園からライオンが逃げた」 熊本地震の際に街中にライオンが佇む写真と共に、短文投稿サイト に掲載された投稿は一緒に拡散した。 悪ふざけだったのだろうが、投稿者は偽計業務妨害の疑いで逮捕 (後、不起訴)された。 注目されたい。人の反応を見て面白がりたい。一儲けしたい等々。 ウソやデマをまき散らす人の動機は様々。中世から2000年代前半 までの、人騒がせなウソを集めたのが本書だ。 まぁ、あるわあるわ。歴史的ウソの集大成だ。 日本ではほとんど定着していないが、欧米のエイプリル・フールは 大手メディアでさえ社をあげて盛大なウソを吐く。 「今年はスイスでスパゲッティが豊作です」と言って、スパゲッティ を収穫している映像を流すBBC。なんで木にスパゲッティがなってる んだよ~。 欧米流のユーモアなのだろうが、4月1日と分かっていても騙される 人が多いのにもびっくりだ。 ウェルズ『宇宙戦争』のラジオ・ドラマを途中から聴いた人たちが 「異星人が地球に攻め込んで来たっ!」とパニックを起こした事例 は有名だが、実際にパニックに陥った人は少なかったようだ。 後になったら笑えるウソならいいが、ピュリツァー賞返上までになった ワシントン・ポスト紙の記事「ジミーの世界」などは笑えない。記事で 照会されたヘロイン中毒の少年ジミーは、何から何まで取材したと言う 女性記者の捏造だったのだものな。 日本の事例で取り上げられているのは、考古学に多大な影響を及ぼした 遺物発掘ねつ造の「神の手」の人。やったご本人が精神的な不具合を 抱えているようなので、発掘予定にしていた偽の遺物をどこに埋めた のかも解明されてないのではなかったか。 長い間に様々な論争があったネス湖のネッシー、偽書として名高い 『ヒトラーの日記』『シオン賢者の議定書』なども取り上げられて おり、通読せずとも掲載されているいくつかの事例を拾い読みする だけでも面白い。 インターネットの登場と発展によって、ウソの拡散と浸透はスピード を増した。熊本地震の際の脱走ライオンほどではないが、日々、ウソが 増産されているように感じる。 伝達手法が発達すればするほど、ウソを見抜く力が必要になって来る のだろうな。折れた煙草の吸殻でウソを見破れた時代もあったのに。 さて、こうやって戯言を書き殴っている私も実は偽の存在だったり して…ね。

Posted byブクログ

2014/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 新製品「左利き用ハンバーガー」本日発売! 警察がエイリアンの死体を回収? マンハッタン島を二つに切断する巨大計画始動? 世間に大騒動を巻き起こしたこれら怪情報、もちろん全部ウソ。 古今東西のウソやデッチ上げを一冊に満載。 世界最初の株式詐欺から怪しいウェブサイトまで、プロのウソつきたちの活躍をご覧あれ。 [ 目次 ] 1 中世とキリスト教の展示室―一七〇〇年以前 2 贋作と啓蒙主義の展示室―十八世紀 3 大衆新聞と見世物の展示室―一八〇〇‐一八六八 4 珍獣と偽造写真の展示室―一八六九‐一九一三 5 ラジオと近代芸術の展示室―一九一四‐一九四九 6 TVとカウンターカルチャーの展示室―一九五〇‐一九七六 7 宇宙人とメディア不信の展示室―一九七七‐一九八九 8 インターネットと消費社会の展示室―一九九〇‐一九九九 9 9・11とウェブサイトの展示室―二〇〇〇年以降 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

Posted byブクログ

2009/10/04

著者のアレックス・バウザーは、歴史を学ぶ大学院生。研究の為に、インターネットの本来的な利用法を通じて考察と事例の収集の為のwebサイトを運営し、そのまとめとして本書を上梓している。 本書では、社会に大きく影響を与え、かつ、犯罪行為ではなく、ジョークとしても広く長く人々の記憶に留...

著者のアレックス・バウザーは、歴史を学ぶ大学院生。研究の為に、インターネットの本来的な利用法を通じて考察と事例の収集の為のwebサイトを運営し、そのまとめとして本書を上梓している。 本書では、社会に大きく影響を与え、かつ、犯罪行為ではなく、ジョークとしても広く長く人々の記憶に留められる「ウソ」や「ペテン」を、著者が厳選して時系列的に分類したものだ。「歴史博物館」とは良く銘打ったもので、中世から今日に至る時系列的な「ペテン」の変遷を判りやすくまとめると同時に、社会の変化をコミュニケーションの変化という視点から俯瞰した、極めてユニークな歴史研究書としても読み解くことができる。 学術研究書として始まっているところが、日本でよく出版されるwebサイトのまとめ本と大きく異なる点である。だが、そんなことで日本人の民度の低さを嘆いたりはしない。取り上げられる「歴史的ウソ」の事例が、日本のものが壊滅的に少ないのだ。 事例としては、イギリスのものが矢張りと言うか圧倒的に多い。ついでアメリカとなる。中世期のヨーロッパ諸国はしようがないとしても、おそらく八割以上の「シャレになるペテン」事例を欧米諸国で占められている。 シャレになるか否かは、すなわち、ユーモアに対する理解の深さの指標であり、知性や論理性、客観性などの思考力の指標ともいえる。ユーモアへの理解の深さは、精神的なキャパシティの大きさと同義語なのだ。 そうした事を考えると、日本からの事例は、件のゴッドハンド事件のみというのが、実に悲しい。中国ですら、三例お挙がっているのに。。。。この遺跡捏造事件は、本書でも取り上げられている、中世の聖遺物捏造や偽書のペテンと同じレベルである。つまり、日本人の精神性は中世人のそれと変わらないとも言えるだろう。 日本人だって、その素養が無いわけではない。近年では、ヤフーオークションにタイムマシンが出展された例なども挙げられるだろう。だが、本書で取り上げられるには至らなかった。一部ネットワーカーの間の祭りで終わってしまったのは、そうした害の無い不謹慎すら許されない社会が悪いとも言える。 だがもっと本質的な部分。。。つまり、日本の文化において「ペテン」は、犯罪行為あるいは、安易な利益を獲得する手段であって、騙す事を目的とする純粋性が無いからだ。 精神的余裕のない社会は、民度が低いという事になるのではないだろうか?

Posted byブクログ

2009/10/04

つまんなくて、大仕掛けなドッキリをする人がこんなにもいるなんて、世界はすばらしいなあ。しかもそれを許容してるってことにも驚く。こんなの会社でやったら怒られちゃう。怒られないか、ただかわいそうな子だ、って見られるのか。

Posted byブクログ