危機の宰相 の商品レビュー
どうしてこの本が長らく単行本化されなかったのか、と不思議になるぐらい、面白かった。 1960年代に対する理解が深まります。
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1960年の安保闘争により、日本が終戦以来最大の危機に陥ったといわれている。この年に首相になった池田勇人(はやと)を軸に、1960年代に「所得倍増」をスローガンに掲げ高度成長を演出したその他の2人、側近の田村敏雄、経済政策決定を補佐したブレーンの下村治との関係を克明に描いたノンフ...
1960年の安保闘争により、日本が終戦以来最大の危機に陥ったといわれている。この年に首相になった池田勇人(はやと)を軸に、1960年代に「所得倍増」をスローガンに掲げ高度成長を演出したその他の2人、側近の田村敏雄、経済政策決定を補佐したブレーンの下村治との関係を克明に描いたノンフィクション。著者は1977年「文芸春秋」に本書の原型となる原稿を書いているが、長い紆余曲折を経て単行本として完成させることを決意している。「黄金の60年代」到来から、戦後日本経済における「蜜月の終焉」までを描く。著者は日本の進む道として、三島由紀夫の言葉「世界の静かな中心たれ」という言葉で締める。
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2008.6.21読了。 思い入れの強すぎる本。 3人の敗者を結びつけ、所得倍増という戦後最大のコピーを生み、それに向かって一丸となり日本が現在のような経済大国になる道筋を作った充実した奇跡のような時代。 長く敗戦国の大蔵大臣として屈辱的な思いをしてきた池田首相にとって、東京での...
2008.6.21読了。 思い入れの強すぎる本。 3人の敗者を結びつけ、所得倍増という戦後最大のコピーを生み、それに向かって一丸となり日本が現在のような経済大国になる道筋を作った充実した奇跡のような時代。 長く敗戦国の大蔵大臣として屈辱的な思いをしてきた池田首相にとって、東京でのIMF総会で過去の海外各国からの借金を返し、国際社会の一員になったことをアナウンスできたことは、さぞ報われた誇らしい気持ちであっただろう。 私も出世が遅れ長く敗れ続けた人間だが、そこから得られたこともたくさんあり、私に必要な時期だったのだと思う。それがあるから今の自分があることは全く否定できない。いつかマイナスの札がプラスに転じることもあるのだから、辛い時期でも卑屈にならず、前向きに生きていこうと思う。寛容と忍耐、この言葉も生きていくうえで大切にしたい。
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池田と前尾がこれほど親しくなったのは不思議だ。共通点は二人とも酒が好きなこと、大蔵省においては三等の赤切符組だったこと。そして何より知り合ったのが共に大病をして大蔵省に復帰した直後だったこと。 敗戦は池田の敗者としての運命を変えた。それまでマイナス札にすぎなかったものがプラスに転...
池田と前尾がこれほど親しくなったのは不思議だ。共通点は二人とも酒が好きなこと、大蔵省においては三等の赤切符組だったこと。そして何より知り合ったのが共に大病をして大蔵省に復帰した直後だったこと。 敗戦は池田の敗者としての運命を変えた。それまでマイナス札にすぎなかったものがプラスに転化した。しかも一挙に。 人生はどこでどうなるかわからない。
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沢木耕太郎の初期作品。たぶん深夜特急の旅にでる直前の初期のルポと思う。 高度経済成長を演出した3人の「よき敗者」の物語。
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所得倍増政策を巡る、池田隼人、下村治、田村敏雄といった、大蔵という組織からは敗れた者たちが日本の戦後経済を見地位微意ていく青写真を作っていった話。今の官僚と昔の官僚はだいぶん違うものだろうけど、官僚っていいな。楽しそうだなと思った。考えて、そしてそれを国家の動向に反映させることが...
所得倍増政策を巡る、池田隼人、下村治、田村敏雄といった、大蔵という組織からは敗れた者たちが日本の戦後経済を見地位微意ていく青写真を作っていった話。今の官僚と昔の官僚はだいぶん違うものだろうけど、官僚っていいな。楽しそうだなと思った。考えて、そしてそれを国家の動向に反映させることが出来るんだからな。権力の近くにいることは重要だ。 これからの官僚の将来はどうなんだろうな?官僚組織の敗者でも、活躍できる世の中になるのかな?
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