インカ皇統記(1) の商品レビュー
インカ王女とスペイン人征服者の間に生まれた著者による、インカの年代記第1巻です。 大航海時代叢書エクストラ・シリーズの文庫版となります。 キリスト教世界に向けて書かれたため、教化された文化を称賛しつつ、中立な立場でインカ文化を紹介したいという思いが伝わってきます。 インカを卑下す...
インカ王女とスペイン人征服者の間に生まれた著者による、インカの年代記第1巻です。 大航海時代叢書エクストラ・シリーズの文庫版となります。 キリスト教世界に向けて書かれたため、教化された文化を称賛しつつ、中立な立場でインカ文化を紹介したいという思いが伝わってきます。 インカを卑下する言い回しが多いのですが、著者が母方の文化を完全に否定していたとしたら、このような書は残さなかったと思うのです。 第1巻は、インカ文化について欧州の文献や親族の口承からの情報が綴られています。 文字を持たないインカですが、メソアメリカの国家よりも安定した秩序とシステムを持っていました。 太陽神崇拝の強力な神権政治ですが、民衆への公平な福利を持つ偉大な国家であったことがわかります。 軍事力を極力使わない近隣部族への外交手腕は、現代にも必要な技術と思えます。 第2巻にも期待します。
Posted by
- 1