1,800円以上の注文で送料無料

昆虫 の商品レビュー

3.5

16件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/01/16

(アリ飼育者向けのレビューです) 直接アリに言及しているのは「第10章 ハチやアリの帰巣と偏光コンパス」くらいだが、この章がなくても十分に読む価値のある本。 昆虫がどのように周囲の情報を受容し、処理し、活動しているのか、研究の最前線を紹介しつつ、一般向けに解説した意欲的な新書であ...

(アリ飼育者向けのレビューです) 直接アリに言及しているのは「第10章 ハチやアリの帰巣と偏光コンパス」くらいだが、この章がなくても十分に読む価値のある本。 昆虫がどのように周囲の情報を受容し、処理し、活動しているのか、研究の最前線を紹介しつつ、一般向けに解説した意欲的な新書である。 個別の昆虫についての話ではなく、ゴキブリ・トンボ・ハエ・コオロギ・ハチなどトピックによって使っている昆虫は違うが、昆虫一般に共通する内容を取り上げているようだ。 昆虫の行動を見て「ちっこいくせに、ちょこざいな!」と思ったことのある方で、どんな仕組みになってるのか興味があるなら、必読。 読んでみてまず、昆虫が思ったよりも「賢い」ことにびっくりした。 「ムシは学習しない」と思い込んでいたが、ゴキブリやコオロギやショウジョウバエでさえ「学習」や「記憶」ができるとか。ムシの能力を見くびっておりました。ごめんしてね。 また、昆虫は人間に比べて非常にコンパクトな設計の神経系なのに、必要な情報だけに絞って素早く処理するルートを持っている。ハエを叩こうと思ってもなかなかうまくいかないのは、ハエの視覚は画像解像度は低いけれども時間当たりの処理量がバツグンに多い(素早い動きを見切れる)ためだとか。 ニューロンだのキノコ体だの、難しい単語がバンバン出てくるし、誰々がどこそこの研究室で、といった話も多いが、ついていけるところだけ飛ばし飛ばし読んでも非常に刺激的な内容。 「誰がどのようにして解明したか」といった話は、たいがい自慢話みたいでつまらないように思うが、この本に関しては、「ひー、そんなめんどくさいことを!」と言いたくなるような研究(ムシの脳のニューロン1コ1コに電極を刺すとか)ばっかりなので、そういうことをしてくれた研究者の方々にひたすら頭が下がる思い。あの、今まで「なんでアリの研究はちっとも進んでないの!」とかほざいてましたが、もう言いません。この本読んだら言えません。すごく当たり前のようなことでも、それを科学的に証明しようとすると、ものすごーく面倒な手順が必要になるということを知った。 アリ飼育においても、非常に実践的に役立つ本である。 まず、「アリをあんまりバカにしちゃいかんな」という戒めになる。 そして(こっちがメイン)、餌にするハエなどを確実に捕まえられるようになる。 上述したように、ハエの視覚は時間処理速度は高いが画像解像度は低い。周囲の状況はうすぼんやりとしか見えていないが、素早い動きをするものには間違いなく反応できる。この本を読んで以来、飲食店などでブーンとごちそう(アリの)が飛んできてテーブルに止まると、「いらっしゃーい!」という気分になる。まずそっと捕獲容器(管ビンや円筒ケースなど)を準備する。そして極力ゆっくりと容器をハエにかぶせる。もうね、百発百中。最後の瞬間にシュパっと動きたくなるが、そこも我慢。最後の最後までスローモーションでやれれば、ハエは全く気づかない。明暗はけっこう分かっちゃうみたいなので、容器は透明なほうがいいのかも。容器の下に紙などを差し込んで持ち上げてから蓋をすれば、可愛いアリンコちゃんたちへのお土産ができる!我が家のアリンコたちの食糧事情は、おかげで少し改善されました。 あ。でも、飲食店であまりにも奇異な動きをしているとご迷惑かも。行動目的が「ハエの捕獲」であることも含めて。なるべく目立たないようにやることをおすすめします。

Posted byブクログ

2009/10/04

第1章 昆虫の繁栄を支える小さな脳 第2章 ファーブルから現代まで 第3章 複眼は昆虫の何をものがたるか 第4章 単眼はどんな働きをしているか 第5章 空を飛ぶしくみ 第6章 匂いを感じるしくみ 第7章 キノコ体は景色の記憶に関わる 第8章 匂いの学習と記憶 第9章 ミツバチのダ...

第1章 昆虫の繁栄を支える小さな脳 第2章 ファーブルから現代まで 第3章 複眼は昆虫の何をものがたるか 第4章 単眼はどんな働きをしているか 第5章 空を飛ぶしくみ 第6章 匂いを感じるしくみ 第7章 キノコ体は景色の記憶に関わる 第8章 匂いの学習と記憶 第9章 ミツバチのダンス 第10章 ハチやアリの帰巣と偏光コンパス 第11章 微小脳と巨大脳

Posted byブクログ

2011/08/07

バイオロジーのバックグラウンドがないと全てを理解するのは難しいが、説明にも手抜きがない力作。長年、真摯に昆虫研究に打ち込んでこられた様子が垣間見えて好感が持てる。C.Elegansのように、全ての遺伝子、ニューロンの配置が解明された生物もあるが、昆虫は1ミリ立方の脳に100万個程...

バイオロジーのバックグラウンドがないと全てを理解するのは難しいが、説明にも手抜きがない力作。長年、真摯に昆虫研究に打ち込んでこられた様子が垣間見えて好感が持てる。C.Elegansのように、全ての遺伝子、ニューロンの配置が解明された生物もあるが、昆虫は1ミリ立方の脳に100万個程度のニューロンとそこそこ複雑だ。霊長類のような大型の動物との違いはもちろん多く、色覚など紫外線、青、緑に感受性があり(赤はない)、短波長側にずれている。体が小さいため視力も0.01とか0.02程度で空間分解能に劣る。その代わり明暗の検出や時間分解能は優れており、ハエには蛍光灯のちらつきも見えているそうだ。神経回路は単純で、バッタの羽のニューロンは2-3個しかない。面白かったのは、相違点よりも類似点の話。これには記憶におけるCREBの役割など、古くから保存されてきたものもあるが、動きの検出回路などのように、単眼と複眼では全く違うハードウェアにも関わらず大型動物と同じ原理のものがあり、これが異なる進化の過程を経て同じものにいたる収斂進化の好例となっている。カニッツァの三角形など、錯視も起こるそうだ。また、ゴキブリのニューロンに電極を刺す苦労や、ハチのダンスが正しく解読できたかどうかロボットを使って確認する話など、実験の現場の話もとても面白かった。■行動のしくみを一つ一つニューロンの働きに還元して理解したい

Posted byブクログ

2009/10/04

わずか一立方メートルにも満たない昆虫の脳に着目した本。 報酬系や短期記憶、長期記憶など、自分が元々興味を持っていた分野は、実験手順からも哺乳類との共通項などを感じ、大変面白く読むことが出来ましたが、それ以外の分野では自分の不勉強さを実感させられました。むつかしー!勉強し直さないと...

わずか一立方メートルにも満たない昆虫の脳に着目した本。 報酬系や短期記憶、長期記憶など、自分が元々興味を持っていた分野は、実験手順からも哺乳類との共通項などを感じ、大変面白く読むことが出来ましたが、それ以外の分野では自分の不勉強さを実感させられました。むつかしー!勉強し直さないと全部を理解することは到底出来なそうです。とは言え、昆虫の大きな目<複眼>の間にある、小さな目<単眼>や、景色の記憶に関わるキノコ体など、今まで知らなかった昆虫の構造を知ることが出来た本でした。 いやー、しかし、この本を読んでると実験体として扱われるワモンゴキブリがさすがにちょっとかわいそうに思えました。がんばれ!(?)

Posted byブクログ

2009/10/04

興味深い本だった。面白い、というには読むのに努力が必要だ。専門用語が山のように登場するためだ。そこはまあ仕方がない。神経に関わる言葉、化学的な用語、略称の山。それはまあ読み飛ばすつもりでも大丈夫ではある。 冗長性のあまりない小さな昆虫の脳がいかに優れているのかがよく判る。そしてほ...

興味深い本だった。面白い、というには読むのに努力が必要だ。専門用語が山のように登場するためだ。そこはまあ仕方がない。神経に関わる言葉、化学的な用語、略称の山。それはまあ読み飛ばすつもりでも大丈夫ではある。 冗長性のあまりない小さな昆虫の脳がいかに優れているのかがよく判る。そしてほ乳類い代表される大型の、冗長性の高い脳のあり方との違いがよく判る。 虫の眼で見た世界が自分の見ている世界とどう違うのか、この本で初めて理解出来た。複眼の歴史の本やらいろいろ出会ったことはあるけれど、ここまできちんと書いてくれないと判らない。もちろん専門用語は今でもよく判っていないのだけれど。 しかし、昆虫には自分のことを考える余裕はなさそうだ。残念ながら。

Posted byブクログ

2009/10/04

非常に専門的で、難しい。昆虫が好きでそのすごさには感動するので、何とか読み進めていけたが、脳と昆虫と両方に興味があってしかも理系の人じゃないとかなり疲れると思う。

Posted byブクログ