妄想弁護士 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
正義感に燃える新米弁護士の瀬川泉は、今日から新たな弁護士事務所でイソ弁(居候弁護士)として、頑張ることになっていた。ところが、事務所についてびっくり。就職先の所長でもある神田は、やくざのような見かけをしている拝金主義者だった。 泉の目指す弁護士の姿は、人権派で世のため、人のために働く弁護士で、理想とはまったく違う神田の元で働くことになり泉は先行き不安に……。 けれど、一緒に働くうちに次第に、泉は神田が照れ屋で素直に感情を表に出せないところだとか、誕生日にわざわざ並んでケーキを買ってくれたりするところだとか、内面の優しさに気づき始める。 ある日、泉は神田にHを迫られる夢を見てしまう……それ以来、泉の妄想はエスカレート! 些細な神田の一言から、神田に抱かれる妄想を繰り返してしまう。 そんな泉が担当することになったのは、『男同士の痴情のもつれによる殺人未遂事件』。 「ホモだぞ!?」と神田に頑強に否定されたことが気になりながらも、泉は依頼人と向き合い、依頼人に何をしてあげるのが一番いいことなのか、考え始める……。 何だか、事件をしっかり描こうとして、逆に後で無理やり処理したようになってしまっていました。 そもそも、この泉の妄想癖は必要だったのか……? というところから、考えてしまう。 何の脈略もなく、突然泉の妄想が始まるので、いったい、どこから妄想でどこから現実なのかがわかりにくい。まぁ、それがおそらく作者さんの狙いなんだと思うので、どこから始まったのかはわからない……っていうのは、いいとしても。何処で終わったのかは、もうちょっとはっきり線引きをしてほしかった。 誰かが、妄想してるところをもっと多めにいさめるとか、泉が「危ない危ない」みたいに言うとか……あんまりにも、自然に妄想から現実へ戻ってるような気がして、読んでる方がうまく切り替えができませんでした。 そして、泉の恋愛と、この殺人未遂事件を同時に進行させようとしていたので、まるで泉の恋愛の添え物に殺人未遂事件がなってしまったような気がして、こんなにはっきりと盛り込む必要があったのかな……? と、思いました。 BLである以上、恋愛感情が優先になってしまうのは仕方がないことだとは思うんですが、これから、加害者の友人に会って証言を集めるのに、出かける電車でエロい妄想してるような弁護士に弁護は普通、頼みたくないと思ってしまうはずだし。 初めて、自分だけでやる刑事事件の弁護なんだから、もうちょっと緊張感持ってやってほしいと思うのは、私だけでしょうか? 結局、一足先に、泉の恋愛が成就してしまって、後でまとめて裁判の顛末を書いてしまうことになって、無理やり一日分だらだらと書くことになってしまう。そうすると、だらだらしてる感じがする……ということであんまりよくなかったような気がします。 どっちも書きたいなら、どっちも同じテンポで進めて、裁判が終わった時に、泉の恋愛も成就するようにした方がよかったような気がします。
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