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親指Pの修業時代 新装版(上) の商品レビュー

3.8

30件のお客様レビュー

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どんな思春期をおくっ…

どんな思春期をおくったら、こんな発想が体内から出てくるのでしょうか。右足の親指だけ、というところがまた心憎い。しかしこの作品の特筆すべきところは、主人公が性と性愛、快楽について深い考察を試みていることであって、決して身体的な畸形を主題においている訳ではないように思います。性交、む...

どんな思春期をおくったら、こんな発想が体内から出てくるのでしょうか。右足の親指だけ、というところがまた心憎い。しかしこの作品の特筆すべきところは、主人公が性と性愛、快楽について深い考察を試みていることであって、決して身体的な畸形を主題においている訳ではないように思います。性交、むしろ「特殊」にカテゴライズされる性交の描写も多々ありますが、全く濁った印象を与えないのも、個人的には気に入りました。

文庫OFF

衝撃作

ある夕暮、昼寝から目覚めたら足の親指がペニスになっていた。突拍子もない設定、アンダーグラウンドな見世物一座……アブノーマルな性を扱いながら、そもそも性的快楽とは何か?を問うた衝撃作。

やま

2024/12/22

【2024年220冊目】 ある日目が覚めると、親指が男性器になっていた――。共に会社を立ち上げた友人の死後、なぜか身体が変化してしまった一実。これは一体なんなのか。一つの変化が、一実の人生に大きな変化を巻き起こす。親指Pはどこへ行く? 上巻を読み終わった感想としては「一体何を読...

【2024年220冊目】 ある日目が覚めると、親指が男性器になっていた――。共に会社を立ち上げた友人の死後、なぜか身体が変化してしまった一実。これは一体なんなのか。一つの変化が、一実の人生に大きな変化を巻き起こす。親指Pはどこへ行く? 上巻を読み終わった感想としては「一体何を読まされているんだろう」という…。奇抜な話で、性器を題材にしているので、主にそれ系の話が続くものの、官能小説とは違うんだろうなと思わされる、どこかドライな不思議さ。これ、同じ質量と下巻でも向き合わなきゃいけないのかという、若干げんなりした部分もありつつ、話の行き着く先が全く予想できないので、ちょっぴり楽しみだったりもします。 親指に男性器を持っていても、一実の思考は平常というか、普通と言われる人達の方がどここ狂っているというか。よくよく考えると、性器ひとつでここまでファンタジーさも持たせながら話が続いていくのって、すごいことなのかもしれない。

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2024/06/11

1994年女流文学賞受賞作。 タイトルはゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』が元ネタか。教養小説の形式で性のステレオタイプを網羅しようとした作品で,最終的には予定調和に落ち着くのも分野としては王道だろう。

Posted byブクログ

2024/06/05

22歳の真野一実は、ある日とつぜん左足の親指がペニスとそっくりになってしまうという事態に見舞われます。そのことをきっかけに、彼女の身に起こったさまざまな出来事をえがいた作品です。 一実が恋人である小宮正夫と別れるエピソードから、親指ペニスというのはつまるところ人びとの意識のなか...

22歳の真野一実は、ある日とつぜん左足の親指がペニスとそっくりになってしまうという事態に見舞われます。そのことをきっかけに、彼女の身に起こったさまざまな出来事をえがいた作品です。 一実が恋人である小宮正夫と別れるエピソードから、親指ペニスというのはつまるところ人びとの意識のなかに強固に存在しつづけているファロセントリズムをあぶり出す装置なのだろうと、いったんは簡単に納得しかけたのですが、さらに読み進めるうちに、すこし奥行きのあるストーリーになっていることに気づきました。一実自身も親指ペニスを得たことで、みずからの意に反して親指ペニスを中心とする物語のなかに巻き込まれていき、性器などにひとと異なる特徴をもつ人びとが集まる「フラワー・ショー」に参加することになります。こうした思いがけない展開に、「親指ペニスは私をいったいどこへ連れて行こうとしているのだろうか」という一実自身の心情が語られます。 その一方で、盲目の音楽家である春志のキャラクター造形(とあえていいますが)には、すこし安易ではないかと気になってしまいます。とくに作品内では、正夫のステレオタイプな性愛観と対比するようなしかたで、一実と春志の関係がえがかれているために、著者が批判する性愛観とはべつのもうひとつのステレオタイプにはまり込んでしまう無防備さが見えてしまうようにも感じてしまいました。

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2021/02/26

フラワー・ショーに加入してから以降は個性の爆発みたいな感じが人物が一挙に登場して読み易かった。それまではなかなかページを捲る手がノらず。 読み難かったのは多分、地の文に一実の主観的な描写が強過ぎるからだと思う。チサトや彼女の行為を一方的に性的欲望に放埓な淫乱女としてのものとして...

フラワー・ショーに加入してから以降は個性の爆発みたいな感じが人物が一挙に登場して読み易かった。それまではなかなかページを捲る手がノらず。 読み難かったのは多分、地の文に一実の主観的な描写が強過ぎるからだと思う。チサトや彼女の行為を一方的に性的欲望に放埓な淫乱女としてのものとして描いたり、初対面の人間を矯めつ眇めつして偏った判断を下したりしておきながら、でも春志だけは特別!結婚しよう!…「私は物事を俯瞰で見れる特別な女です」感が鼻について親指ペニスがどうこうよりそっちが気になった。正直。 ジェンダー的な話はこの支離滅裂な世界観の中では考えるのさえ疲れそうなので、他の方の考察に任せたい。「ペニスは男の印」?それが右足の親指についたということは?かつ、それが同性の手によって興奮と安らぎを獲得し、勃起するというのはどういう意味を持つ?あとなぜ射精しないのだろう?等々。

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2019/12/28

とても好き。 元カレと付き合ってた頃の主人公が自分に似過ぎてて考えてしまった。 話が話だけに友達に安易にお勧めできないのが難点(笑) 下も楽しみ〜

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2019/02/02

もはや「子供ができる」以外にちんことまんこにこだわる必要はないのでは。 ついでに性器をくっつける必要もないんだな。 でもかなりの信用と信頼と愛がないと、自分たちの最上のセックスを発見できなそう。 セクシャル性癖盛り合わせ! な爽快ビルドゥングスロマン。

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2018/10/21

下巻、巻末の本人解説にて「この小説より『ナチュラル・ウーマン』の方が遥かに面白い」て言わはってて、そうな…という感じ 小説は小説だけど、氏の思想が爆発してる irohaがあんなに言葉巧みにオブラートに包んで頑張ってるのにそれを全て灰燼に帰せしめるストレートさ フラワー・ショーの...

下巻、巻末の本人解説にて「この小説より『ナチュラル・ウーマン』の方が遥かに面白い」て言わはってて、そうな…という感じ 小説は小説だけど、氏の思想が爆発してる irohaがあんなに言葉巧みにオブラートに包んで頑張ってるのにそれを全て灰燼に帰せしめるストレートさ フラワー・ショーの人たちだけでなく出てくる人みんな個性の塊で、こんなにたくさん人が出てくるのによくこんないろんなタイプを思いつくなあと感心したのだった 保さん、主人公的には割に親しみを感じられる人だと書かれてたけどわたしはこういう人いやだ…なので映子の気持ちもよくわからない… 政美さんが「いかにも」なオカマって感じに描かれてたのは松浦氏にしては、あれれ…?と思ったけど(それを許すのか?というか)好感度は高かったからいいのかな… なんにしても男性器名称が1頁に1回は必ず出てくるような小説で感覚が麻痺する ぐったり疲れた

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2018/03/25

細かくレビューを書いてしまうと物語の設定上、どうしても猥褻な表現を連発することになるので控えるが、抽象的にでも感想を残したい。 世の中で多くの人に支持(という意識もないまま植えつけられた)考え方に対して勝負を仕掛けた作品だった。 誰が作ったかもわからない、作った人間にとって都合...

細かくレビューを書いてしまうと物語の設定上、どうしても猥褻な表現を連発することになるので控えるが、抽象的にでも感想を残したい。 世の中で多くの人に支持(という意識もないまま植えつけられた)考え方に対して勝負を仕掛けた作品だった。 誰が作ったかもわからない、作った人間にとって都合のいいルールみたいなものが日常には溢れている。それが生きづらさの原因にもなったりする。 それに気がついて抗ったものは敬遠されたり変人扱いされて排除されていく。気が付いた者負けのゲームをいつまで続けるのか。違和感を押し殺して飼い慣らされることになんの意味があるのか。 私はこの小説をもっと早くに読みたかった。読んでいて感情が激しく揺さぶられた。この小説を読んだからといって現実が変わることは1ミリもないのだが、現実に向かうこの心に変化を与えてくれた。それだけで十分過ぎる。

Posted byブクログ